第467回「TPD Hey, Girls 全曲紹介」① | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

Hey,Girls!/東京パフォーマンスドール

これを書いている現在、東京パフォーマンスドールが12月に行う渋谷ストリームホールでの公演チケットがソールド・アウトになったとのニュースが飛び込んで来た。アルバム発売の前日におめでたいニュースだ。チケット完売、アルバム発表、ライヴと今週は非常に濃密な週となりそうである。

 

さて、今年2018年はTPDとファンにとって大きな変化が訪れた年であり、ひとつの節目ともなる重要な年だった。まずは話を春ごろまで遡らねばなるまい。4月のワンマン・ライヴ直前に発表されたメンバー3人の卒業発表はファンに衝撃を与え、419日の渋谷公演は、急遽、メンバー3人の卒業公演となった。とにかく4月は短期間で様々な変化が訪れ、誰にとっても心の整理もつかず、暗雲が立ち込めるような気分だったのではなかろうか。

 

だがTPDの名前をこれからも守り続けて行くメンバー6人は、早くも新体制でシングル「Shapeless」を発表。6人体制のTPDが初お披露目となったリリース・イヴェント初日のレポートを読み返して見ると「9人体制のメンバーで残した作品は今でも色褪せる事の無い素晴らしいものばかりであり、それがTPDの土台である事は間違いない。しかしながら、6人で新たな未来を切り開こうとしている今、6人が繰り出す歌やパフォーマンスをどう受け止め、どう向き合い、メンバーと共に未来を見出すか。それはファンひとりひとりに託されおり、今が正にその時なのだ」と、当時の私は書いている。

 

6月に日本橋で行われたダンスサミットは本当に素晴らしいステージだった。何より、6人のメンバーから溢れる自信に満ちたオーラは美しく、研ぎ澄まされたパフォーマンスの鋭さは圧巻だった。6人での活動を通して、楽曲やステージでも6人編成でのTPDのカラーが確立し、もはや6人体制という言葉は不要となり、この編成がTPDとなった。本作「Hey, Girls」は現在のTPDとファンにとって非常に重要な作品だ。はっきり言えば4月の時点では、年内にアルバムがリリースされる事など想像も出来なかった。闇の中からの再出発、そして再生。本作のリリースが実現したのはメンバー6名の頑張りが結実した事は間違いない。

 

さて本作はアルバム本編の他、Blu-rayが付属した初回盤ADVDが付属した初回盤B,赤の流星の楽曲を収録したCDとセットの初回盤C、本編のみの通常盤と4種類の仕様で作品がリリースされている。因みに通常盤は本編のみと書いたが、これでしか聴けない楽曲がボーナス・トラックとして収録されている事を付け加えておきたい。当サイトでは楽曲を中心に紹介しているため、通常盤に軸足を置いて話を進めて行こう。

 

Hey, Girls

今回のアルバムのリーダー・トラックで、ビデオ・クリップも制作された楽曲。本作のリリースに先駆け、「渋谷LIVE CIRCUIT1023日の渋谷WWWX公演のアンコールで初披露されている。デジタルによるサウンド・メイキングを主体としたオケは、デジタルらしいクール且つスリリングな音作りであるが、決して機械的には成り過ぎず、日の光りが差してくるかのような温かみも感じる仕上がりに。歌詞は迷いや葛藤を乗り越えて前に進んで行くような応援ソングとなっており、解釈によってはTPDの姿そのものを投影しているとも受け取れそう。掛け声やシンガロング・パートが随所に盛り込まれ、聴き手の耳に残る強力なパートに。オケはデジタル中心だが、エンディングにはギター・ソロもある。今後のライヴやイヴェントにおいて重要なレパートリーとなるであろう1曲。

 

Lovely Lovely

恋愛をテーマにした曲。恋愛を題材にしているとひと言で言っても様々なタイプの楽曲が世には存在するが、本曲は付き合う前、もしくは付き合ったばかりの初々しい主人公の様子を描いたような内容に。

 

こちらもデジタルによる煌びやかな音作りが全面的に押し出されたテクノ・ポップ風味の1曲。タイトルから連想する可愛らしいイメージとデジタルのシャープさがブレンドされ、部分的に音声変換されたヴォーカル効果が取り入れられている分、近未来的な色合いも感じさせる。とは言え、クールなイメージというよりはキュートなイメージの比重が高い仕上がりで、タイプは異なるが系統的には「Kiss x Bang Bang!」辺りの楽曲を想起させる部分も。リズムが変化している訳では無いが、間奏の一部分のみファンキーなリズムに聴こえるアレンジが面白い。

 

Collection feat. Taku Takahashim-flo

タイトルを見ても判るようにm-floTaku Takahashi氏が提供した楽曲。「Hey,Girls」「Lovely Lovely」とアルバムが開始されて共にデジタル風味の楽曲が続いているが、同じデジタル・サウンドを軸とした曲でも、本曲は前の2曲とは完全に色合いが異なる作品。本曲は非常に大人びた独特の空気感が宿る1曲で、良い意味で無機質な世界観を感じさせる。アレンジとしては本曲も部分的に音声変換されたヴォーカル・パートもあり、ラップとまでは行かないが言葉をリズミカルに発するパートも。

 

歌詞は主人公の日常を描いたものと書けば語弊があるが、表向きの顔と本当の顔を使い分け、現代社会の中で何となく満たされない気持ちや葛藤を抱えながら生きている主人公をイメージさせる。しかしながら、歌詞を読み解いて行くと、その中で自分なりに幸せや生き方を見つけ、前に進んで行く様子を描いているようだ。サビの随所に登場する「Happy Girl」というワードは、前後の言葉も合わせると本当の意味での幸せと受け取れるパートもあれば、幸せになりたいという願望を叫んでいるように解釈できる場面も。とにかく、聴き手によって様々な解釈ができそうな1曲だ。

 

現状打破でLove You

20183月発表のシングル「TRICK U」のカップリングとして収録された曲ではあるが、恵比寿ガーデンホールでのライヴなど、EPSummer Glitter」(20179月)発表に従う2017年夏のステージで既に新曲として披露されていた1曲。振り付けは橘二葉氏が担当。現在のライヴではメンバー全員で歌われる事の多い本曲ではあるが、当時のTPD9人編成で、その中より6人が選抜されたユニット曲として元々は歌われている。よってビデオ・クリップは小林晏夕氏を含む編成で制作。

 

恋をした主人公が気持ちを打ち明けて、その恋を発展させたい・・・即ち現状を打破して前に進みたいというのがタイトルや歌詞に繋がっている。楽曲はアップテンポで煌びやかなオケで進行するポップ・ナンバー。これまで数々のライヴやイヴェントでも披露されている事から、ファンにはもうお馴染みとなっている1曲。

 

続く・・・。

 

 

 

 

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