LIVE「CANTA 新宿 2018.11.03」① | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

CANTA 「俺たちの旅~season2~ また16年掛かるかな(笑)」ツアー千秋楽 新宿BLAZE 2018.11.03

話は昨年11月に今回と同じく新宿BLAZEで行われたCANTA2017年秋ツアーに遡る。そこでCANTA2018年春ツアーの日程を発表しており、CANTAとしては初めて公演を行う奈良県がその日程に含まれていたのが重要なポイントであった。2002年のデビューから16年目にして全都道府県を制覇したCANTA2018年もまたCANTAにとって重要な節目になった年と言えそうだ。

 

そういった意味では、今回の2018年秋ツアー「俺たちの旅~season2~ また16年掛かるかな(笑)」は、これまでの歩みを踏まえたタイトルでありつつ、今後の活動へ向けた決意表明とも解釈できる。一見、ユニークなタイトルに思えるが、その奥にはメンバーの明確な決意と挑戦意欲が渦巻いているように感じるがいかがだろうか。

 

今回は、その2018年秋ツアーより千秋楽の新宿BLAZE公演のレポートを書きたい。今年は台風が多く、夏にルーク篁氏(Vo,g)が悪魔の姿で行ったツアーでも台風の影響で開催が危ぶまれた公演があったのも記憶に新しい。台風の影響は秋にも引き摺り、CANTAのツアーも気象状況により、やむを得ず延期された公演もあった。千秋楽のトークでルーク氏も述べていたように、いろいろなハプニングを乗り越えて、ようやく辿り着いたツアー千秋楽となった。

 

土曜日の新宿BLAZE、開場17時、開演1730分という時間設定も例年通りである。スタンディング・フロアは後方まで満員状態で、この光景も例年通りだった。ステージで楽器を調整するスタッフも、ファンが見ると馴染み深い顔ぶれの方々ばかり。1730分を少々過ぎた頃に、MASAKI氏(b)と雷電湯澤氏(ds)が登場し歓声が上がる。登場のSEは特に無く、開場時に場内に流されるBGMがそのまま続いている。

 

暫くするとルーク氏も登場し、更なる歓声が聞かれた。各人の準備が整ったところでバンドがイントロダクションを鳴らし、場内は暗転。ステージ上は明るく照らされる。ルーク氏は、市販も決まったペイズリー柄のKG-SPELLBINDは御使用である。 暫く各人が感情の赴くままにフレーズを弾いた後、雷電氏がカウントを打ち「Tonight3」が開始される。本編の終盤やアンコールでの盛り上がるブロックに来る楽曲をいきなり1曲目に演奏する今回のメニューの組み方は斬新であり、オープニングから既に場内は熱気に満ち溢れた。確か2016年秋の新宿公演も、本曲がオープニングだったはずである。

 

楽曲はエンディングへと向かい、リズムがグルーヴィに発展するパートではルーク氏とMASAKI氏がジャンプしながら演奏し、観客もそれに合わせてジャンプを繰り返す。バンドの音は止む事無く、雷電氏が軽快なビートを叩き始めた。曲は「108」だ。観客も手拍子を打ち、本曲でもリズムに合わせて客席では上下に揺れるファンの姿が多く見られた。中盤のギター・ソロではルーク氏がお立ち台に昇り、客席に背を向ける形でギターを後頭部に構え、ジミ・ヘンドリックス仕様でテクニカルなソロを披露している。CANTA16年間のライヴを振り返ると、この技も、もはや伝統芸とも呼べそうだ。

 

大歓声の中、2曲の演奏が終了したところで最初のMC。ルーク氏が観客に挨拶を。「このツアーはいろいろあった」と回想し、台風で公演が延期になった事が挙げられる。そしてルーク氏が「ここまで辿り着けたのは皆さまのお陰でございます!」と礼を述べると客席から拍手と歓声が上がった。この部分のMCは簡単な挨拶とトークを手短に行い、早々に次の曲へ。この日の新宿公演より販売が開始された映像作品「CANTA15年 黒歴史 千秋楽」にも収録されている曲と紹介され「たった・・・」の演奏が開始された。ルーク氏がイントロのアルペジオをクリーン・トーンで弾き、MASAKI氏がベースのフレーズを被せる。そして雷電氏がアップテンポなリズムを叩き始めると観客は身体を揺らし、場内に人の波が出来る。ルーク氏は「東京!」と呼び掛けた後、歌パートに入っている。

 

「たった・・・」が終わると、すぐにピアノ伴奏のサンプリングが流され「Flower Song」がスタート。奇しくも本曲も「黒歴史 千秋楽」のDVDに収録された楽曲でもある。サンプリングに乗ってルーク氏がコードを弾き、歌メロのバックでは雷電氏がタムを駆使した低音を叩き出す。この曲を演奏している最中、ルーク氏はモニターのバランスが気になったのか、自分のマイクの音、即ちヴォーカルの音を下げるようにスタッフに合図を送る場面が、34回は見られた。

 

次もサンプリングに合わせてバンド演奏を乗せる段取りの楽曲で「Madness」。様々な愛の形をテーマにしたアルバム「LOVE FIXXXER」(2016年)の中でも、愛するがゆえに狂気に満ちた方向に進んでしまう様を描いた本曲を、ルーク氏は感情を爆発させるかのような表情で歌い上げる。本曲もまた、雷電氏の低音を駆使したドラミングが印象的だった。3曲の演奏が終了したところでルーク氏が観客に「楽しんでる?」と問い掛ける。

 

そのルーク氏はギターをKG-SPELLBIND Sevenに持ち替え、次に演奏する新曲についての説明を。2017年秋ごろよりルーク氏は、かつてのKG-Fascist Viceタイプの7弦ギターを使用していたが、今回のツアーより導入された7弦ギターは、現在のメイン・モデルであるKG-SPELLBINDを基調としながら弦が7本ある仕様のギターとなっている。それがKG-SPELLBIND Sevenと命名されたギターだ。

 

CANTAの新曲は既にバンドのTwitterで部分的に視聴できるようになっていたが、その話題を話す際、ルーク氏は「ツイーターに」と言い「Twitter・・・ツイーターはステレオの高音を調整するもの」と言い直していた。秋ツアー開始時よりシングルCDとして販売もされている新曲について、ルーク氏は「ここにいる人は皆、CDは購入済みと考えて良いね?」と問い掛け拍手が沸き起こるも、「自信無さそうな人や、すごく正直な人(購入していない人)もいらっしゃる!」と続け、場内は笑いに包まれた。

 

これから演奏する新曲を聴いて、まだ購入していない人も気分が高揚してCDを買って帰るようにと期待も込め、まずは「Ready for the love I need」から演奏が開始された。続けて「Old & Hopeful」も演奏。ベスト盤「くらくら」(2017年)に収録された「I am on my way」についてルーク氏は昨年、「7弦ギターで作曲した曲ではあるが、いかにも7弦という楽曲は避けたかった」と曲作りのアプローチを明かしていたが、ここでプレイされた「Old & Hopeful」については、部分的に7弦ギターらしいヘヴィでメタリックなリフを取り入れたパートがあるのが興味深い。ルーク氏は、アーティストとしてまだまだ楽曲の可能性を追求しているとも解釈できる。

 

続く・・・。

 

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