BACK STAGE OF 聖飢魔Ⅱ~ウラビデオ~/聖飢魔Ⅱ
聖飢魔Ⅱが1999年に解散を発表して行った最後のツアー「LIVING LEGEND」、そして東京ベイNKホール(現在は閉館)で開催した「THE ULTIMATE BLACK MASS」3日間の舞台裏を追ったドキュメンタリー作品。
今でこそ、聖飢魔Ⅱが再集結すれば「ウラビデオ」シリーズが発布されるのは恒例となっているが、本活動時は聖飢魔Ⅱのバック・ステージの様子は決して表に公開される事は無い世界であり、リハーサルや移動、打ち上げ、スタッフのインタビューなど、バンド活動の舞台裏をここまで公開したのは、やはり「バンドが解散したから」という事実が大きいはず。本活動時には決して行う事は無かったであろう企画作品と言えそうだ。
現在はDVD化されている本作だが、最初に発布された2000年はビデオ(VHS)形態で発布されており、ジャケットもDVDで販売されているものとはデザインが異なっていた。その後、「THE ULTIMATE BLACK MASS」完全版がDVDで発布された際に、「ウラビデオ」も初めてDVD化され同ボックスに収められている。現在の単品で販売されている「ウラビデオ」は、聖飢魔Ⅱが地球デビュー20周年を記念して再集結を果たした2005年に世に出たものだ。
因みに本作が発布される少し前に、「悪魔と過ごした日々~聖飢魔Ⅱファイナルを支えた男~」という60分の番組が地上波で放送されている。これはツアー・プロデューサーの大槻氏にスポットを当てたドキュメンタリー番組で、主に大槻氏の仕事を追った映像を中心に番組が進行しているが、本作はバンドを支えるスタッフ全員の仕事を紹介する作りに。
放送された番組と本作では、基本的に同じ映像が使用されているが、大きな違いと言えば番組では大槻氏の故郷である福島県相馬市でのミサの舞台裏が細かく取り上げられており、そこでは本作には収録されていない映像が数多く使用されていた事。それらの映像を見るには18年前である2000年に放送された番組を見るしかない。これまで番組が動画サイトにアップされているのを見掛けた事は無いが、根気強くチェックしていると見られるかも知れない。
さて本作は、ファイナル・ツアー「LIVING LEGEND」のCMからスタートする。これはチケット販売を告知するCMで、この映像に各地のプロモーターが公演日や問い合わせ先などの文字を導入し、公演が行われるエリアでテレビ放送していたもの。ミサの映像は1999年夏のZEPP TOKYO公演のものが使用されており、CMとしても今となっては貴重な映像だ。
本編は、解散ミサのラスト・シーン、当時の現行構成員と「THE SATAN ALL STARS DAY」に参加した元構成員のインタビューが挟まれ進行。地球デビュー前に映像や宣伝資料も見られる。解散ミサの最後の場面から始まり、ここに辿り着くまでの道のりを紹介するような感じで、「LIVING LEGEND」ツアーの初日である相模大野ゲネプロ(本番同様に行われる舞台の通し稽古)の様子へ。
登場の仕方についてデーモン閣下が提案を始める場面では、「創世紀」の演奏が中断されるので、演奏が止まるのは舞台裏らしい貴重なひと幕だ。30周年再集結「続・全席死刑」でもお馴染みの「戦慄のドナドナ」の手術台の演出は、1999年のファイナル・ツアーから行われていたもので、ここではその演出が出来上がるまでの工程が判る。また「続・全席死刑」ツアーでの「戦慄のドナドナ」は、最後のサビの繰り返しでタオルを振り回すが、当時は振り付けがあった。
ここから日程順に「LIVING LEGEND」ツアーの舞台裏、本番、移動、打ち合わせの様子を収録。御承知のように「LIVING LEGEND」ツアーはミサをまるごと収録した映像作品を発布されていないので、断片的ではあるが、ここで見られる映像が今のところ残されている唯一の映像となっている。ツアーの合間には既に「THE DOOMS DAY」のエンディングについての打ち合わせも行われており、解散に向けての具体的な事が徐々に決まっていた事が判る。
NKホールで行われた「THE ULTIMATE BLACK MASS」については、初日の様子は取り上げられておらず、2日目「THE SATAN ALL STARS DAY」からのスタート。ダミアン浜田陛下(当時は殿下)のインタビューを始め、元構成員の聖飢魔Ⅱに対する熱い想いが伝わるミサとなっている。
「THE DOOMS DAY」は、構成員、スタッフがそれぞれに想いを持ちつつも、最後の最後まで各セクションがプロフェッショナルな仕事を見せ、ラスト・シーンで感極まるという印象に。後にデーモン閣下が「何かを披露している時は感傷に浸る暇など無い。最後に今はただ手を振ってれば良いんだなという場面になると、これで最後なんだなという気持ちが沸いて来た」と述べていたが、それは各スタッフも同様だったのではなかろうか。
本作はバンドのドキュメンタリー作品というだけで無く、エンターテイメントの世界、そして一般社会の仕事にも通ずる要素も含まれる。各セクションがプロとしての仕事をしつつも、単に仕事をこなすだけで無く、それを全力で楽しんでこそ人に楽しさや感動を伝える事が出来る・・・それを実感する作品だ。
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