PSYCHO村上の怪奇骨董音楽箱

 

2024年は、ゴジラの誕生から70周年を迎える。それを記念して東京ミッドタウン日比谷で「ゴジラ博」と銘打った展示会が開催された。これは歴代の作品で使用されたゴジラをはじめとする怪獣のスーツ、模型、ミニチュア、絵コンテ、台本など、貴重な品々が展示される催し。実際に撮影に使用されたものを見る事ができるのだ。

 

東京ミッドタウン日比谷は、東宝関連のビルが建ち並ぶ場所にある。東宝を象徴する作品という意味か、敷地内には元々ゴジラの銅像が建てられており、これを踏まえると今回の展示会は「本拠地」で開催されたとも言える。ミッドタウン日比谷の6階のスペースが展示会場だった。

混雑を見越してか、前売り券は1時間ごとに区切られた時間制(16時以降はフリー)で販売されている。しかし私が足を運んだのは平日だったので、昼間でも特に時間制限はなくフリーで入場できた。

 

入場時にスタッフの方から「展示物の写真と動画の撮影は可能。ただしブース内のテレビに流れている映像を撮影するのはNG」と説明が。展示ブースに入ると、伊福部昭氏の楽曲が流されており、これぞゴジラ!と唸った。

まずは昭和ゴジラのブース。映画「ゴジラ」(1954年)に登場する初代ゴジラ(見た目が綺麗なので展示用のレプリカかも知れない)のスーツ、そのゴジラを海底に葬り去ったオキシジェンデストロイヤー、潜水服、電車の模型が展示されていた。

 

これらは以前の展示会でも見た事があるのだが、個人的に毎回驚くのが電車。ゴジラが品川に上陸した際、線路内に入ったゴジラの足に衝突するあの電車だ。展示品は、どう見ても模型なのに、映像の中では本物に見えるのだから、その撮影技術、表現の技術たるや凄まじい。

少々進むと「怪獣大戦争」(1965年)や「ゴジラvsメカゴジラ」(1993年)のメイン・テーマが場内BGMに。基本的に1作目「ゴジラ」以外の昭和シリーズはポスターの展示のみで、早々に平成ゴジラのブースとなった。

というのも、昭和シリーズの多くは撮影で使った小道具類が残されていないようだ。ゴジラにも歴史があり、昭和シリーズは低予算で作られた作品も多い。小道具類を残せば保管料が掛かるので処分されたはず。また、ウルトラマンに登場するジラースのように、使い回されて原型を留めていないスーツもあるに違いない。

 

それはさて措き、平成シリーズは展示物が充実していた。ビオランテ第一形態のデザイン決定後の試作模型、「ゴジラvsキングギドラ」(1992年)に登場するゴジラザウルスの頭部、「ゴジラvsスペースゴジラ」(1994年)のリトルゴジラ、「ゴジラvsデストロイア」(1995年)のゴジラジュニアなど。大きさからしてゴジラジュニアは、デストロイアに囚われて飛行し、地面に叩き落されるシーン(何とも気の毒だ!)のものと思われる。

 

個人的に、おおっ!と思ったのが、こちらのキングギドラ。「ゴジラvsキングギドラ」内の海底に沈められたキングギドラのシーンで使われたもの。しかしながら、劇中ではゴジラの熱線で真ん中の頭を吹き飛ばされているので、頭が3つあるのは展示用だろうか。

さて、今年は「ゴジラ対メカゴジラ」(1974年)の公開から50周年のため、メカゴジラのブースが設けられている。手前が飛行シーンで使われた1993年版のメカゴジラ、奥に見える頭部は昭和メカゴジラ。また2メートル越えの機龍も展示されている。

他には「ゴジラ2000」(1999年)から「ゴジラFAINAL WARS」(2004年)までのゴジラ。次のブースでは、シン・ゴジラ、海外版ゴジラのスーツもあり。ここ数年のゴジラは着ぐるみアクションではなくCGなので、これらは展示会用のスーツだろう。

最終ブロックは、公開が記憶に新しい「ゴジラ-1.0」(2023年)。前回、東京ドームシティ内で「ゴジラ博」が行われたのが2021年。その時は、まだ「ゴジラ-1.0」は公開されていないので、同作からの展示物は初出し。

 

中でも目玉となるのが、巨大ジオラマ・セット。2メートル越えのゴジラと共に、銀座のシーンを再現したセットは多くの人で賑わった。セットの一部にスマートフォンを固定できるレールがあり、それを使っての動画撮影も可能。粋な計らいだ。

他にも、壁には絵コンテが掲示され、テレビには制作過程を追ったインタビュー映像が放映されていた。また劇中で吉岡秀隆氏が演じる野田が、ゴジラに急激な圧力変化を与えて撃退する「海神作戦」を説明するシーンの模型もあり。以上が展示ブースで次が出口に。出るとゴジラ関連のグッズが販売されていた。

 

「ゴジラ博」は定期的に開催されており、会場の規模によって展示物の数が異なる。2021年の東京ドームシティでは「怪獣大戦争」で使われた戦車の模型があり、2014年の池袋サンシャインでは「ゴジラvsスペースゴジラ」で使われた、ランドモゲラーとスターファルコンの現物もあった。

 

よって今回は展示し切れなかった物もあると思うので、今期「ゴジラ博」に足を運んだ方でも、まだまだ興味深い展示物があるのは間違いない。一説によると、こういった展示会の動員によって、撮影後の小道具や模型等を保管すべきか、処分すべきかの判断材料になるらしい。貴重な資料を未来に残す意味でも、次回「ゴジラ博」の情報をチェックして足を運ぼう。