PSYCHO村上の怪奇骨董音楽箱

 

11月3日は「レコードの日」らしい。それに因んで都内のレコード店ではセールを開催したり、ここぞと言わんばかりに貴重盤を大量出展している店が多かった。近年ではレコードの再評価もあってか、レコード=オシャレなアイテムという認識が広まっているようだ。

実際にレコード・ブームについて扱った動画を見ていると「レコードの何が魅力ですか?」という質問に、若者が「レコードを聴いてるって言うとオシャレな感じがするから女の子にモテそう」と回答している方がいた。

 

何とも不純な動機のように思えるが、いつの時代もブームを、ある種のファッションとして捉える層が一定数いるのは事実。例えばCDのバブル期と言われた90年代には、ヒット曲のCDを所有している、CDを聴くという行為自体が「カッコいい事」と捉えられていた。

 

そうなると別に音楽に興味はなくとも、ファッションとしてCDを買う層が出て来る。アーティストの熱心なファンからすると不純な動機は許せん!となるかも知れないが、シーンの活性化を考えると、これは悪い事ではない。

 

ヒットしたアーティストが東京ドームや大阪城ホールでコンサートを開催できるのは、熱心なファンのみならず「にわか層」が一定数いるから。流行りの歌だから聴いている、流行りのアーティストだからコンサートに行くという層だ。

 

その後、にわか層は熱が冷めると去って行き、残った熱心なファンの数に合わせてホールやライヴハウスなど、会場の規模を縮小して公演を開催するのが一般的と思う。中にはドーム級の規模を維持して、何十年と活動を継続させるアーティストもいるのだが、それは一部の大物に限られるだろう。

 

少々話が逸れたが、令和の現代にレコードが若者のファッション・アイテムのように扱われるのは興味深い現象と感じる。にわか層と表現すると語弊があるかも知れないが、熱心なコレクターだけでなく、一定数の方に「何となくカッコいい」と思わせる辺り、レコード・ブームが「その域」にまで達している事が判る。

 

統計によると、レコードの売り上げは10年前(2013年)の25倍に膨れ上がり、それに準じて生産数も上がっているらしい。ここ数年で入手困難だったアルバムが再販されたり、かつてはCDのみでの発売だった作品がレコード化。コレクターにとっては散財しそうな状況が続いているが、市場が活性化されてるのは良い事だ。

 

都内のレコード店に行くと、次なるブームの仕掛けを図っているのか、90年代に主流だった縦長の8cmシングル、更にはカセット・テープをフィーチュアしたコーナーが設けられている。将来、どのような現象が起きるか見逃せない。流行はやがて廃れると言われるが、レコードの音色を愛するリスナーは今後も消える事はないだろう。

 

ひとつ確実なのは、私は長年レコードを聴こうが、CDを聴こうが、カセット・テープを聴こうがモテた事はない。先に紹介した「レコードを聴いてるって言うとオシャレな感じがするから女の子にモテそう」と言う若者が、その後、モテモテになったのか気になるところ。