(前回の関連記事は「一流の条件
」です)
人生の明暗をわけるもの
前回の記事では、
①あらゆる分野の一流の人間は並外れた内部感覚を有している。
②その内部感覚を利用して、同じ分野の二流以下の人間が気づかない
レベルで優劣の差をつける。
③結果、その分野で圧倒的な強さを維持することが出来る。
という事を説明しました。
わたしは「5%理論」という考え方を持っています。
これはあらゆる分野で成功する人間と出来ない人間を
分けるのは5%の違いだという考えです。
これは何度か書いていますが、プロ野球において打率3割と
2割5分の差はとてつもなく大きいです。
年間出場試合数が100試合以上で大きな怪我もなく、
打率3割をキープして解雇になった選手を、わたしは
今まで見たことがないです。
それが5%下がって打率2割5分あたりになると一気に解雇に
なる可能性が高まります。
それでも球団上層部や監督のお気に入りだったり、まだ若くて年棒が低い、
同じポジションに有力なライバルがいない、などの有利な点があれば
生き残るケースもままあります。
しかし、年棒が高い、年がいっている、怪我で出場数が少ないなどの
悪条件が重なって打率が2割5分に下がると危うくなります。
過去にも、
セギノール(日ハム)⇒打率2割4分9厘 ホームラン21本 ⇒解雇
小笠原(巨人)⇒打率2割5分 22試合出場 ⇒一軍登録抹消・事実上の解雇
松井秀喜(アスレチックス)⇒打率2割5分1厘、12本塁打 ⇒解雇
という感じでチームの主軸選手であろうとばっさりクビを切られます。
これ見ると、
「たった5%の成績の違いで解雇されるとはプロ野球の世界は厳しいな。」
と思う方がいるかもしれません。
でも、わたしから見るとどんな世界でも5%の違いが明暗を分けます。
例えば就職試験です。
同じようなレベルの大学を出て、同じようなスーツを着て、
同じような志望動機を書いて、面接で同じような内容の
受け答えをする。
その結果、ある学生は面接を受けた企業の全てから内定をもらう。
それに対して、違う学生は何十社受けても面接を落ち続けたりする。
しかし、両者の違いって実は些細だったりします。
これは国際線のスチュワーデス(現在のCA)をしていた方に
聞いた話ですが、彼女が面接を受けた時は、志望者の女性たちが
一列に並ばされて1人ずつ順番に大広間に通されました。
実はこの時点で選別されたそうです。
その基準は、ドアを通る際に次に入る人のためにドアを手で
押さえておいて入室した人は合格で、自分が入ったら即
ドアから手を離す人は不合格でした。
これによって、無意識に他人への配慮が出来る人間か、
出来ない人が見分けられるわけです。
わたしから見れば、CAのサービス業という仕事の性質を
考えると、これは単純かつ非常に効果的な選別法だと
思います。
でもこれって、不合格になった人にしたら不思議でしょうね。
本人にしてみたら、自分は合格になった人と同じような学歴で、
筆記試験も結果は出しているし、面談もしっかり対応した。
おまけにルックスでも勝っている気がする。
それでも不合格。
ドアを通る時に、次の人のために押さえておくかどうかなんて、
試験全体からみたら5%どころか、1%にも満たないほんの
些細なことです。
それでも人生の明暗が分かれます。
おそらく、企業の面接で受かる人と落ちる人の違いも、こんな
些細ではあるけれども、その志望者の人間性が垣間見える
違いなのだと思います。
人生ってこういうものなんですね。
以前、わたしがエレベーターを待っていて、ドアが開いた時に
横にいた大学生くらいの若者がすっと操作パネルのところに
移動して「何階を押しますか?」と聞いてきたことがあります。
その態度もきびきびしているし、声もはっきりしています。
瞬間、わたしは、
この若者は恵まれているなぁ。
と思いました。
しっかりした躾の出来る親がいたのか、本人の素質がいいのか、
彼は基本的な礼儀が身に付いた、周囲の人間から好感を持たれる
人間に育ったんですね。
こういうタイプの人は、エレベーターに限らず人生のあらゆる局面で
5%の部分に配慮した行動ができますから、それができない人との
間に決定的な優劣の差をつけることになります。
おそらく彼が面接を受けたら内定をもらえるのでしょう。
逆に、エレベーターを待ってる時からズーッとスマホで
ゲームをやっていて、中に入っても画面から目を離さない
大学生もいました。
しょうがないから、先に入ったわたしがパネルのところに
行って、
「何階、押す?」
と聞いたら、
スマホの画面を見たまま、ぼそっと
「ごかぁい・・・(5階)」
と答えました。
その姿があまりにもだらっとした感じで覇気がないので
心の中で、
なんだ、まるで中の人が抜けた後のふなっしーみたいな
ふぬけた男だな!
となぜか無性にイライラしたのを憶えています。
こういうタイプに対してわたしが言う事は何もないのですが、
おそらく彼は内定はなかなかもらえないでしょう。
このように〈エレベーターに乗る〉という単純動作でも、
5%の部分に注意が行くかどうかで、他人に与える印象に
かなりの差が出ます。
それでもエレベーターで乗り降りするだけなら特に
問題は起きません。
しかし、ちょうどプロ野球選手が怪我や年齢で苦しい時に、
打率が5%下がることが命取りになるように、人生の
重大な局面では、この違いが決定的な差を生みます。
例えば、ある工場で正社員を1人リストラしなければ
ならなくなったとします。
その時、同じような勤続年数で、作業成績も同レベルの
社員A、Bの2人が遡上に上がったとします。
こういう時に5%のちょっとした違いが明暗を分けます。
この場合、社員Aは朝、工場長に会った時には、必ずこちらから
笑顔であいさつして、2、3言くらいは軽く会話を交わす習慣を
つけている。
それに対して社員Bは下を向いてぼそっとあいさつするだけ。
ここで工場長がAとBのどちらを残すかといえば、それは
社員Aに決っています。
間違いなく社員Bがリストラされます。
客観的に評価すれば、BはAよりも仕事のスピードや正確度は
上かもしれない。
それでもBがリストラされる。
人間は感情の生き物ですから、客観的に高い評価ができる人間よりも、
5%の対応で好感を抱かせる人間を優遇します。
ですから、わたしは20代前半くらいまでの若い受講者で
これから就職する人には、
「他の人よりも早く出勤して余裕が出来た時間に1日の仕事の段取りを
考えて、 朝会った人には社長だろうが、掃除のおばさんだろうが、
こちらから笑顔で挨拶をする習慣をつけるといいですよ。」
とアドバイスします。
この習慣をつけるだけで、リストラ等の危機があった時に
生き残れる確率がグンと上昇します。
というのも、95%の人間は絶対に上記のような行動は
出来ないからです。
また、不思議なもので、色々な願望実現法に手を出したり、
開運グッズをじゃらじゃら身につけている人達を観察していると、
絶対に5%の重要な行動が出来ていません。
これは治療家も同じです。
60分治療するとして、5%にあたる最初の2~3分で
全てが決まります。
まずは初対面の瞬間に患者さんに
「この人は信頼できそうだ。」
という印象を与えられるかどうかです。
ここで、自信の無さや、だらしない印象を与えるとアウトです。
次に、患者さんの身体に手を置いた時に与える感覚です。
この時、手が冷たかったり、じめっとしていたり、まさぐるような
気持ち悪さを感じさせたり、痛みを感じさせる力の入れ方をすると
これまたアウトです。
患者さんは2度と来ません。
わたし自身も指導の効果を常に一定以上キープするために、
食事量や運動量に気をつけて、定期的にマッサージや骨格の
バランスを整える治療を受けています。
その時、治療家を選ぶポイントはやはり第一印象です。
わたしが定期的に通っている治療家は、落ち着いていて安心感を
与える雰囲気を出しています。
次に身体に手を置いた時に、温かくて、ふわっと気持ちがいい
圧をかけてきます。
もちろん、わたしは気功をしていることや、鍼灸の資格を持って
いることは一切話さないで、一般の客として受けているのですが、
この人の技量は大したものだな。
と治療のたびに感心させられます。
予約表を見るとやはりびっしり埋まっています。
こういう人は5%の部分の重要さがわかっているのでしょう。
それに対して、わたしから見て雰囲気がよくなかったり、手の感触が
悪いなど、5%の部分がダメなタイプの治療家を何人か知っています。
彼らを観察していると、とにかくあれこれ色々な治療法やらセミナーに
手を出しまくります。
しかし、重要な部分がダメだから、いくらお金をつぎ込んであれこれ
技術を身に付けても一向に患者が増えません。
知り合いの治療家で鍼灸・柔整・理学療法の資格を取って、
さらに○○治療法・○○ソロジーなどあれこれ身につけて開業して
ダメだった人もいました。
これだけ時間と金をつぎ込んでダメというのも興味深いです。
わたしは5%と95%のどちらの生き方を選ぼうとも、それは本人の
好き好きだし、いろいろな人生があった方が世の中面白いと思います。
ただ、、両者の違いが生じる原因にだけは好奇心を刺激されます。
これも理由はいろいろあるのでしょうが、その1つは身体内部への
意識の持ち方にあるのではないかと考えています。
これについて機会があれば説明したいと思います。
つづく
※次回の記事更新日は4月1日になります。
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