(前回の関連記事は「眠れる予言者 エドガー・ケイシー 」です)
あらゆる願望実現法を行っても、うまくいかない理由
前回の記事では、
・ロシアの神秘思想家グルジェフが行った実験で、催眠術で「人格」を
眠らされた弟子は、別人のような調子で普段とは全く違う内容を語り
始めた。
・「眠れる預言者」エドガー・ケイシーは催眠術で意識を失った状態で
数々の予言・リーディングを行った。
という話を紹介しました。
これらに共通している事柄は、
①催眠術で普段の意識が眠らされると、替りに別の人格が表れて
与えられた問いに対して答え始める。
②その答えの内容は、本人が目覚めている時の思考パターンや反応とは
全くかけ離れている。
③目覚めても本人自身は答えた内容については全く憶えていない。
の3点です。
わたしの好きな映画に「ロード・オブ・ザ・リング」という作品があるの
ですが、劇中にゴラムという人格が善悪2つに分裂したキャラクターが
出てきます。
その2重人格の描写っぷりがあまりにも絶妙で、映画館で腹をかかえて
笑った記憶があるのですが、
(http://www.youtube.com/watch?v=GhF060VmS1g&feature=related
)
人は誰でも多かれ少なかれゴラムのような分裂した意識状態にあるわけです。
(ちなみに、スピンオフ作品「ホビットの冒険」にも
http://www.youtube.com/watch?v=bnlWiLT9DP0
またゴラムが出てくるようなので必ず観に行くつもりです。)
ゴラムは自分の人格が善悪の2つに分裂していることをはっきり自覚して
いて、劇中では2つの人格同士が話し合って現実の行動を決定しています。
しかし、普通一般人はグルジェフの弟子たちやエドガー・ケイシーのように
催眠術にでもかからない限りはその事実に気づくことが出来ません。
(厳密に言えば、本人は記憶がないので周りで見ている人しか気づかない
のですが。)
よく、人生相談で
「今の生活に特別不満はないのですが、満たされた感覚がありません。」
という内容があります。
わたしから見るとこういうタイプの人は、
「人格(=後天的に形作られた性格)」レベルでは満足しているわけです。
人格は、成長する過程で社会的な常識を刷り込まれた結果に形成されたもの
ですから、例えば
仕事は年収1000万円で職場の人間関係は良好、体もいたって健康、美人で
優しい奥さんと性格が素直な1男1女の子供がいて、新築1戸建てに住んでいて
車はレクサスの最高級クラス
という境遇の男性がいたとすれば、彼の「人格」は
「自分は(世間一般の価値基準では)幸せだなぁ。」
と思うわけです。
しかし、普段は表に出てこない「本質」は
「こんな退屈な生活を俺は望んでいない。」
「違う人生を味わいたい。」
と考えている。
普段は「本質」は意識の奥に追いやられていますが、肉体疲労や、
精神的ストレス、アルコールなどといったきっかけで表に出てきます。
そして、普段の彼からは想像できないような行動に出たりします。
先ほどの例に出てきたような恵まれた境遇にいる男性が、奥さんとは似ても
似つかないような女性に入れこんで、仕事を失い、家庭も崩壊して家族が
バラバラになったという話は世間一般に溢れています。
他によく似たタイプとしてはアルコールが入ると人格が豹変する人が
います。
普段はおとなしくて決して他人に悪口を言ったりしない人が、お酒が入ると
人格が変わったように周囲の人間にからみだして喧嘩を売ったりします。
これはわたしから見ると(人格が変わる)と言うよりは、
(人格が眠りについて、その人の本質が表面に現れる。)
と表現する方が正確だと思います。
このように「本質」を抑圧して「人格」のみで生活しているような人生を
続けていると人生に満足感が得られなかったり、何かのきっかけで
破綻したりします。
以前の記事で霊能力が一時的に覚醒したA○女優が、
「生きていない人がたくさんいる。みんな機械で動いているみたい。」
と霊視した話がありましたが、人格のみで生きていると人間は
一種のロボットになってしまうわけです。
確かにロボットとして生きると、出世したり、お金が入ったりして
社会的には恵まれた人生が送れるかもしれません。
ただ、問題になるのは死ぬ瞬間です。
わたしは実際に死んだことが無いので100%正確には分かりませんが、
死んだ人の波動を読んだ経験から言いますと、意識が肉体を離れる時には
潜在意識下にあるもの(本質も含めて)が浮かび上がってきます。
するとその時に、
(自分は社会的には恵まれた人生を送った。)
(しかし、本質は何も満たされなかった。)
と人生に悔恨を残して死んでいく可能性大です。
そうなると今まで苦労して生きてきた数十年が無駄になってしまう
ような気がします。
ただ、悔恨するのは死ぬ瞬間だけですからそれはそれでいいのでしょうが、
わたしの今までの経験ではどうやら人間には輪廻転生というものがある
ようです。
(これも実際には死んだ事が無いので100%の確証はありませんが。)
生まれ変わりがあるという事は、今の人生で残した悔恨が次の人生で何らかの
形で影響するのかもしれません。
こう考えると人生というものはなかなか難しいものだと思います。
「人格」に従って社会的な成功だけを望んでも満足できないし、かといって
「本質」が望む本能的な生き方だけをしていれば社会生活に適応できなく
なる可能性がある。
両者のバランスの取り方が重要なわけです。
たびたびこのブログでも書いていますが、わたしが成功哲学、ポジティブ思考を
あまり人に勧めないのもこのバランス関係が理由です。
この文章を読んでいる方の中にも、成功哲学やポジティブ思考を実践した
経験がある方がいるかもしれません。
わたしもいろいろな人を見てきたのですがうまくいく人は限られています。
私見では全体を100だとするとおそらく5%に満たないくらいだと
思います。
そして、うまくいく人というのは波動を読むと「人格」と「本質」の間の
ずれが少ないです。
このずれは少なければ少ないほど人生がうまく生きます。
なぜなら、「人格」と「本質」にずれがなければ、人生に対する目的も、
思考も行動もずれないからです。
その人のマインド・意思・思考・行動・エネルギーのすべてが1つの目的に
向けて1本の矢のように集中して注がれるわけです。
これで成功しないわけがありません。
逆にうまくいかない人というのは「人格」と「本質」が乖離しています。
この乖離の度合いが大きければ大きいほど人生がうまく生きません。
例えば成功哲学で
「全てに感謝していれば願いはかないます。」
「怒りや憎しみといったマイナスの感情は捨てなくてはならない。」
という言葉をよくみかけます。
それでうまくいく人というのは、わたしが「人格」「本質」の両方から
感謝の波動を感じます。
しかし、もともと「人格」と「本質」が真逆なタイプがいます。
例えば、
人格(日常意識)では「ありがとうございます。」を毎日唱えているけれど、
本質(潜在意識)は他人への嫉妬や憎しみ・恐怖に満ちている。
というケースです。
こういうタイプの人はポジティブ思考をすればするほど「人格」と「本質」が
乖離していきます。
例えば、成功哲学の本を読むと、
「人の役に立つことを使命にして目標を立てれば成功できる。」
と書いてあります。、
そこで人の役に立つことを目標にして何かを始める。
しかし、うまくいかない。
それはその人の「本質(潜在意識)」が反対しているからです。
「本質」は自分の中にある嫉妬や憎しみ・恐怖といったマイナスの
感情を表現したがっているわけです。
しかし、「人格」はポジティブ思考の法則に従って、逆にマイナスの感情を
押し殺そうとする。
すると「本質(潜在意識)」は激しく抵抗を始める。
「人格」が意図する人生と逆の方向に引っ張ろうとします。
極端なケースでは本人の人生や肉体自体を破壊しようとします。
そうなるとマインド・意思・思考・行動・エネルギーのすべてがバラバラで
物事がうまくいくはずがありません。
そして、マインドがぶれまくりますから、あらゆるものに手を出します。
成功法則セミナーを渡り歩いたり、いろいろな霊能者やヒーラーのところに
行ってアーチュメントを受けまくったりします。
極端な場合は、密教・道教・神道・西洋魔術などあらゆる願望実現法を
試したりします。
仙道研究家 高藤総一郎氏の著書「奇跡のスーパービジョン」の中に
次のような一節があります。
いちばん問題になるのは、トレーニングを行う際の信念のなさである。
2つ以上の神秘行を併用し、具体的にいうと、西洋の魔術と中国の符児など
のように、行体系の文化的背景が異なるものをゴチャゴチャにしてやっている
人が、ちゃらんぽらんのまま、スーパービジョンの応用に入るといった場合だ。
こんなときは、その人の気や意識状態がメチャメチャになる。
このようにあれこれ手を出していると
潜在意識に矛盾したメッセージが入り、
アーチュメントでいろいろな波動が雑多に混ざり合い、
いろいろな霊的存在がごっちゃにつながってそれぞれが
ぶつかり合います。
そして、高藤氏が言うように 、
その人の気や意識状態がメチャメチャになる。
わけです。
ですから、わたしは受講者には
「あれこれ手を出さないで、今はわたしが指導した内容のみに
打ち込んだ方がいいですよ。」
とアドバイスします。
(それでもあれこれ手を出す人はいるのですが。)
わたしのもとに寄せられる質問に、
「自分はあらゆる願望実現法を試してきた。しかし、1つもうまく
いかないし、人生が悪い方向に進んでいる。」
という内容があります。
その時は前述した高藤氏の文章を思い出します。
ちなみに高藤氏は続けて以下のように書いています。
できれば、自分に合った神秘行なり呪術なりをまずひとつ選び、
それを正しい先生についてひととおりマスターしてから
(どんな状況に立ちいたっても自分ひとりで対応できるという
自信がつくまでやって)
次の神秘行に入り、応用していく、ということを繰り返すのである。
以上の注意を守れば、まず、問題は出ないと確約しておく。
※次回の更新日は6月20日です。

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