こんにちはヤンです。今回は精神科の薬物療法に関してのお話をさせていただきます。


多くの人は精神科と聞くと、カウンセリングやじっくりとお話を聞いてアドバイスをくれる心のケアの場所というイメージを抱かれる方もいると思います。


実際、カウンセリングを提供している場所も存在します。しかし、精神科医の役割としては精神的な症状を評価してそれに即した薬物療法を通じて治療することがメインとなります。このことを理解して頂ければ、初めて受診する際の違和感は減少するかもしれません。



はじめて精神科を受診される多くの患者さんのうち、精神科の薬を飲むことに抵抗を感じることはありがちな事です。その中でも「睡眠薬は依存性があるのでは?」という懸念を抱かれる方が多いです。そういった患者さんには、依存性が低い漢方薬をまず試してもらうことも一つの選択肢として提案したりもします。



一方、これまでに別の精神科や心療内科を受診し、薬の効果を実感し期待している方の中には、積極的に薬を求める方もいます。しかし、薬に関する規制により必ずしも患者さんの要望に応えられないことをお問い合わせの時や初診された際にご説明をさせていただく事があります。



薬の処方に関する現行の規制


10年、いやそれよりもっと前までは、精神科では割と多くの種類の薬を処方するのは一般的でした。「薬が効かなくなった」と患者さんからの申し出があれば割と安易に別の薬を追加したりしていくうちにどんどんと薬の種類が増えていく事がよくあったようです。 


しかし、向精神薬の過度な使用が問題視され、厚生労働省が規制を強化しています。2023年現在、抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬、そして抗精神病薬はそれぞれ2種類まで、全体としては7種類までの処方が一つの限度となっています。これを超えると、診療報酬をもって医療機関へのペナルティが科せられる仕組みとなっております。当院はこの規制を厳守する方針で運営しております。


余談になりますが、どこどこのクリニックは薬をたくさん出して儲け主義だ!と患者さんの不満を耳にする事がたまにありますが、院外処方を採用しているクリニックであれば、実は儲けを減らしてまで多く薬を出しているところになります。


精神科の薬についての適切な使用と指導


薬物治療は、用法や用量を適切に守ることで、精神症状の改善をもたらす事が多いです。私たち医療従事者としては、患者さんが回復する姿を見るのは大変喜ばしいことです。そのために薬の適正な使用に関する指導も重要な役割として考えております。


薬を飲むことにためらいを持たれる患者さんには、服用することのメリットを明確に伝えます。一方、薬に依存しがちな方には、過度な使用による副作用やリスクについての情報をしっかり伝えるよう努めています。


つまり、患者さん一人一人の薬に対する考えを把握して適切な説明と服薬指導を通し、これからも患者さんが最も安全で効果的な治療を受けられるようサポートしていけるよう、日々、精進して参りたいと思います。