WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査以外の知能検査は何があるのか?
知能検査には多くの種類があり、
それぞれ異なる方法で
子どもの知能や能力を評価します。
以下に、WISC-V(ウィスク5)や
WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査以外の
代表的な知能検査を紹介し、
それぞれの検査が何を評価するのかを説明します。
①スタンフォード・ビネー知能検査(Stanford-Binet Intelligence Scales, SB5)
スタンフォード・ビネー知能検査(SB5)の概要
スタンフォード・ビネー知能検査(SB5)は、
子どもから成人まで
幅広い年齢層を対象とした知能検査です。
この検査は、知能の多面的な側面を評価し、
特に高知能児や低知能児の評価に適しています。
スタンフォード・ビネー知能検査(SB5)の評価内容
スタンフォード・ビネー知能検査(SB5)は、
以下の5つの認知領域を評価します。
流動性推理(Fluid Reasoning)
新しい問題を解決する能力
知識(Knowledge)
一般的な知識と学習した情報
定量推理(Quantitative Reasoning)
数の概念と計算能力
視覚-空間処理(Visual-Spatial Processing)
視覚的および空間的な
情報の処理能力
作業記憶(Working Memory)
情報を一時的に保持し、操作する能力
スタンフォード・ビネー知能検査(SB5)で子どもの何が分かるのか
スタンフォード・ビネー知能検査(SB5)を通じて、
子どもの知能プロファイルを詳細に理解し、
特に知識の習得や問題解決の能力、
視覚-空間認識、数的推論、
記憶力に関する強みと
弱みを把握することができます。
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②バイリー乳幼児発達評価(Bayley Scales of Infant and Toddler Development, BSID)
バイリー乳幼児発達評価(BSID)の概要
バイリー乳幼児発達評価(BSID)は、
1ヶ月から42ヶ月の乳幼児の
発達を評価するための検査です。
この検査は、発達の遅れを
早期に発見するために広く使用されています。
バイリー乳幼児発達評価(BSID)の評価内容
バイリー乳幼児発達評価(BSID)は、
以下の領域を評価します。
認知発達(Cognitive Development)
認知的なスキルと問題解決能力
運動発達(Motor Development)
粗大運動と微細運動の能力
言語発達(Language Development)
受容言語と表出言語のスキル
社会-情緒発達(Social-Emotional Development)
対人関係や感情の発達
適応行動(Adaptive Behavior)
日常生活での適応スキル
バイリー乳幼児発達評価(BSID)で子どもの何が分かるのか
バイリー乳幼児発達評価(BSID)を通じて、
乳幼児の発達の全体像を把握し、
特に認知的、運動的、
言語的な発達の遅れを早期に発見し、
必要な介入や支援を計画することができます。
③レーヴン色彩マトリックス検査(Raven's Coloured Progressive Matrices, CPM)
レーヴン色彩マトリックス検査(CPM)の概要
レーヴン色彩マトリックス検査(CPM)は、
5歳から11歳の子どもを対象とした
非言語的な知能検査です。
この検査は、言語的要素を排除することで、
文化的なバイアスを最小限に抑えた評価が可能です。
レーヴン色彩マトリックス検査(CPM)の評価内容
レーヴン色彩マトリックス検査(CPM)は、
図形のパターン認識と
推論能力を評価します。
被験者は不完全な図形パターンを見て、
欠けている部分を選択することで、
視覚的なパターン認識能力と
抽象的な推論力が測定されます。
レーヴン色彩マトリックス検査(CPM)の子どもの何が分かるのか
レーヴン色彩マトリックス検査(CPM)を通じて、
子どもの非言語的な推論能力や
視覚的なパターン認識力を評価し、
言語的な制約を受けない
知能の側面を理解することができます。
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④グッドイナフ人物画知能検査(Goodenough-Harris Draw-a-Person Test)
グッドイナフ人物画知能検査の概要
グッドイナフ人物画知能検査は、
子どもが人の絵を描くことを通じて
知能を評価する検査です。
簡単に実施でき、
特別な用具を必要としないため、
広く利用されています。
グッドイナフ人物画知能検査の評価内容
子どもに「人の絵を描いてください」と指示し、
その絵を評価基準に基づいて採点します。
評価は、細部の描写、
プロポーション、全体の完成度などに
基づいて行われます。
グッドイナフ人物画知能検査の子どもの何が分かるのか
この検査を通じて、
子どもの視覚的・空間的な認識能力、
運動スキル、認知的な成熟度を
評価することができます。
特に、言語的な指示が難しい幼児や
文化的なバイアスを排除した
評価が必要な場合に有効です。
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⑤カウフマンアセスメントバッテリー(Kaufman Assessment Battery for Children, KABC-Ⅱ)
カウフマンアセスメントバッテリー(KABC-Ⅱ)の概要
カウフマンアセスメントバッテリー(KABC-Ⅱ)は、
2歳6ヶ月から18歳までの
子どもを対象とした知能検査で、
複数の認知領域を評価します。
特に学習スタイルや
認知プロセスに焦点を当てています。
カウフマンアセスメントバッテリー(KABC-Ⅱ)の評価内容
カウフマンアセスメントバッテリー(KABC-Ⅱ)は、
以下の5つのスケールから構成されています。
認知処理能力(Sequential Processing)
情報を順序立てて処理する能力
同時処理能力(Simultaneous Processing)
同時に複数の情報を処理する能力
学習能力(Learning Ability)
新しい情報を学習し、記憶する能力
計画能力(Planning Ability)
問題解決のための計画を立てる能力
知識(Knowledge)
獲得した知識とそれを応用する能力
カウフマンアセスメントバッテリー(KABC-Ⅱ)から子どもの何が分かるのか
カウフマンアセスメントバッテリー(KABC-Ⅱ)を通じて、
子どもの学習スタイルや認知プロセスを理解し、
特に学習障害の診断や
個別の教育計画の策定に役立てることができます。
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WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査以外の知能検査のまとめ
これらの知能検査は、
それぞれ異なる方法と視点で
子どもの知能や認知能力を評価します。
スタンフォード・ビネー知能検査(SB5)は
多面的な知能評価を提供し、
バイリー乳幼児発達評価(BSID)は
幼児の発達の遅れを早期に発見します。
レーヴン色彩マトリックス検査(CPM)は
非言語的な推論能力を評価し、
グッドイナフ人物画知能検査は
視覚的・空間的な認識能力を測定します。
カウフマンアセスメントバッテリー(KABC-Ⅱ)は
学習スタイルと認知プロセスに
焦点を当てています。
各検査は、子どもの特性やニーズに応じて
適切に選ばれるべきです。
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