WISC-Ⅴ検査の幼児版であるWPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査とはどのような検査なのか?
WPPSI-Ⅲ
(Wechsler Preschool and Primary Scale
of Intelligence-Third Edition)は、
デビッド・ウェクスラーによって
開発された知能検査で、
2歳6ヶ月から7歳3ヶ月の子どもの
知能を評価するために設計されています。
この検査は、子どもの認知能力を多面的に評価し、
知能のプロフィールを作成するために使用されます。
《WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の構成》
ウェクスラー式の知能検査である
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査は、
以下の主要な指標を評価します。
全検査IQ(FSIQ: Full Scale IQ)
子どもの全体的な知能を
評価する総合的な指標です。
全検査IQは、
決められた下位検査の評価点を
総合して算出されます。
言語理解指標(VCI: Verbal Comprehension Index)
言語的な理解力と表現力を評価します。
主に言語に関する能力を測定します。
知覚推理指標(PRI: Percetive Reasoning Index)
視覚的な認識力と
空間的な推理能力を評価します。
処理速度指標(PSI: Processing Speed Index)
視覚的および動作的な情報処理の
迅速さと効率性を評価します。
《WISC-Ⅴ検査の低い指標の伸ばし方を知りたい方はコチラをクリック》
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の下位検査
ウェクスラー式の知能検査である
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査は、
子どもの年齢に応じて
異なる下位検査が実施されます。
以下は、主な下位検査の一部です。
単語(Vocabulary)
言葉の意味を理解し、
説明する能力を評価します。
類似(Similarities)
二つの物事の共通点を
説明する能力を評価します。
絵の概念(Picture Concepts)
一連の絵から共通の概念を
見つける能力を評価します。
行列推理(Matrix Reasoning)
パターンの中で欠けている部分を
選ぶ能力を評価します。
積木模様(Block Design)
赤と白の積木を使って
模様を再現する能力を評価します。
符号(Coding)
特定の記号を
対応する数字に基づいて
描写する能力を評価します。
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の評価点から分かること
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の結果は、
子どもの認知能力について
多くの情報を提供します。
具体的には、以下の点について
理解することができます。
①言語能力
言語理解指標(VCI)の評価点から、
子どもの語彙力、言語理解力、
言語的な表現力を評価します。
高得点の子どもは、
言語を使って複雑な概念を理解し、
表現する能力が高いことを示します。
②視覚的・空間的能力
知覚推理指標(PRI)の評価点から、
子どもの視覚的な認識力と
空間的な推理能力を評価します。
高得点の子どもは、
視覚的な情報を迅速かつ正確に処理し、
空間的な関係を理解する能力が高いことを示します。
③抽象的推論能力
知覚推理指標(PRI)の評価点から、
子どもの抽象的な推論能力と
問題解決能力を評価します。
高得点の子どもは、
新しい情報に適応し、
論理的に考える能力が高いことを示します。
④短期記憶と作業記憶
ワーキングメモリ指標(WMI)の評価点から、
子どもの短期記憶と作業記憶の能力を評価します。
高得点の子どもは、
情報を一時的に保持し、
それを操作しながら
課題を遂行する能力が高いことを示します。
⑤情報処理速度
処理速度指標(PSI)の評価点から、
子どもの視覚的および
動作的な情報処理の迅速さと
効率性を評価します。
高得点の子どもは、
視覚的な情報を迅速かつ正確に処理し、
動作を迅速に行う能力が高いことを示します。
《WISC検査の所見作成について学びたい方はコチラをクリック》
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の重要性
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の結果は、
子どもの教育や発達支援において
非常に重要な役割を果たします。
特に以下の点で役立ちます。
①学習支援計画の作成
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の結果を基に、
教育者や親が子どもの強みと弱みを理解し、
個別の学習支援計画を立てることができます。
例えば、言語能力が高い子どもには、
読書やディスカッションを通じて
言語力をさらに強化する方法が有効です。
②発達のモニタリング
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の結果は、
子どもの認知発達をモニタリングするための
基礎情報を提供します。
これにより、早期に発達上の問題を発見し、
適切な支援を提供することが可能になります。
③教育プログラムの適応
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査の結果を基に、
教育プログラムを子どもの特性に合わせて
適応させることができます。
例えば、視覚的・空間的能力が高い子どもには、
図表やモデルを使った学習方法が効果的です。
《WISC-Ⅴ検査について、基礎から学びたい方はコチラをクリック》
WISC-Ⅴ検査の幼児版であるWPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査についてのまとめ
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)検査は、
子どもの認知能力を
多面的に評価するための重要なツールです。
この検査を通じて、
子どもの言語能力、
視覚的・空間的能力、
抽象的推論能力、
短期記憶および作業記憶、
情報処理速度について
深く理解することができます。
教育者や親は、
WPPSI-Ⅲ(ウィプシー3)の結果を基に、
子どもの成長と発達を
効果的にサポートするための
具体的なプランを立てることが重要です。
これにより、子どもたちは自己肯定感を高め、
学業や将来のキャリアにおいて
成功を収める可能性が高まります。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
発達障害ラボ
車 重徳