ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)とは…

 

 

 

 


ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト

(WCST: Wisconsin Card Sorting Test)は、

1948年にアメリカの心理学者

デヴィッド・A・グラントと

エステル・A・バーグによって

開発された神経心理学的検査です。

 

 

 

 

このテストは、

被験者の抽象的思考や柔軟性、

問題解決能力を評価するために使用され、

特に前頭葉の機能を

測定する際に重要な役割を果たします。

 

 

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)は、

臨床心理学、神経心理学、

精神医学の分野で広く利用されています。

 

 

 

 

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ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)の実施方法

 

 

 

①準備

 

 

カードセット

 

128枚のカードがあり、

それぞれが異なる

色(赤、緑、青、黄)、

形(星、十字、三角、円)、

数(1〜4個)

の組み合わせで構成されています。

 

 

 

 

 


サンプルカード

 

被験者が基準として使用するための

4枚のサンプルカードがあります。

 

 

 

 

 


②手順

 

 

説明

 

検査者は被験者に対して、

カードを並べ替えるルールを

見つけるように指示します。

 

 

 

 

ただし、具体的なルールは

最初に教えず、

被験者は試行錯誤を通じて

ルールを発見する必要があります。

 

 

 

 

 


ソーティング

 

被験者は、

1枚ずつカードを

サンプルカードのいずれかに

並べ替えます。

 

 

 

 

並べ替えた後、

検査者は「正しい」または

「間違っている」とフィードバックを与えます。

 

 

 

 

被験者はこのフィードバックを基に

ルールを推測し、

正しいルールに従って

カードをソートします。

 

 

 

 

 


ルールの変更

 

一定の回数

(通常は10回以上)

正しいソートが続いた後、

検査者はルールを変更します。

 

 

 

 

例えば、最初は

色に基づいてソートするルールだった場合、

次は形に基づいてソートするルールに

変更します。

 

 

 

 

被験者は新しいルールを

発見するために再度試行錯誤を行います。

 

 

 

 

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ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)から分かること

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)の結果は、

被験者の認知機能、

特に前頭葉の機能に関する

以下の情報を提供します。

 

 

 

 

 



①認知的柔軟性

 

 

ルールの変更への適応

 

被験者が新しいルールに

迅速に適応できるかどうかを

評価します。

 

 

 

 

認知的柔軟性が高い被験者は、

ルールの変更にすぐに気付き、

新しいルールに従って

カードを正しくソートすることができます。
 

 

 

 

 

 

②問題解決能力

 

 

適切なルールの発見

 

被験者がフィードバックを基に

正しいルールを見つけ出す能力を

評価します。

 

 

 

 

問題解決能力が高い被験者は、

試行錯誤を通じて

効率的に正しいルールを

見つけることができます。

 

 

 

 

 


③抽象的思考能力

 

 

抽象的な概念の理解

 

被験者が色、形、数といった

抽象的な概念を理解し、

それに基づいてカードを

分類する能力を評価します。

 

 

 

 

抽象的思考能力が高い被験者は、

これらの概念を正しく識別し、

それに基づいてカードをソートできます。

 

 

 

 

 


④持続性と固執性

 

 

誤りの繰り返し

 

被験者が同じ誤りを

何度も繰り返す場合、

認知的固執性が高いことを示します。

 

 

 

 

例えば、色のルールに固執して

新しいルールに適応できない場合、

固執性が高いと評価されます。

 

 

 

 

 


⑤作業記憶

 

 

フィードバックの記憶と利用

 

被験者が以前のフィードバックを記憶し、

それを基に次の試行を行う能力を評価します。

 

 

 

 

作業記憶が強い被験者は、

フィードバックを効果的に利用して

正しいルールを迅速に

見つけることができます。

 

 

 

 

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ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)の適用例

 

 

 

①臨床心理学

 

 

統合失調症の評価

 

統合失調症患者は、

認知的柔軟性が低く、

ルールの変更に適応するのが

困難なことがあります。

 

 

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)を

使用してこれらの特性を評価し、

治療計画の策定に役立てることができます。

 

 

 

 

 


②神経心理学

 

 

前頭葉機能の評価

 

前頭葉損傷を受けた患者は、

認知的柔軟性や問題解決能力に

障害があることが多いです。

 

 

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)を使用して、

前頭葉機能の程度と損傷の影響を評価します。

 

 

 

 

 


③教育心理学

 

 

学習障害の評価

 

学習障害を持つ子どもは、

問題解決能力や作業記憶に

課題があることがあります。

 

 

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)

を使用して、これらの認知機能を評価し、

適切な教育支援を提供するための

基礎情報を収集します。

 

 

 

 

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ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)の利点と限界

 

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)の利点

 

 

簡便さ

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)は

実施が比較的簡単で、

特別な機器を必要としません。

 

 

 

 

 


多用途性

 

臨床、教育、研究など、

多様な分野で活用可能です。

 

 

 

 

 


定量的評価

 

結果を数値化できるため、

被験者の認知機能を客観的に評価できます。

 

 

 

 

 


ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)の限界

 

 

主観的要素

 

検査者のフィードバックが

被験者に与える影響が大きいため、

検査者の主観が

結果に影響を与える可能性があります。

 

 

 

 

 


文化的バイアス

 

異なる文化背景を持つ被験者に対して、

同じ評価基準を適用することが

難しい場合があります。

 

 

 

 

 


限られた評価範囲

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)は

主に前頭葉機能を評価するため、

他の認知機能に関する情報は限定的です。

 

 

 

 

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ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)についてのまとめ

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)は、

認知的柔軟性、

問題解決能力、

抽象的思考能力、

持続性、

作業記憶などの

認知機能を評価するための

重要なツールです。

 

 

 

 

特に前頭葉機能の評価において有効であり、

臨床心理学、神経心理学、

教育心理学の分野で

広く利用されています。

 

 

 

 

ウィスコンシン・カード・ソーティング・テスト(WCST)は

簡便で多用途性が高い一方で、

主観的要素や文化的バイアス、

評価範囲の限界などの課題もあります。

 

 

 

 

これらの利点と限界を理解し、

適切に活用することが重要です。

 

 

 

 

 

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