グッドイナフ人物画知能検査とは…
グッドイナフ人物画知能検査
(Goodenough-Harris Drawing Test, GHDT)は、
子どもの知能を評価するための
投影法検査です。
この検査は、
1926年にアメリカの心理学者
フローレンス・グッドイナフ
(Florence Goodenough)
によって考案され、
その後、1963年に
デール・B・ハリス
(Dale B. Harris)
によって改訂されました。
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)は、
被験者に人物画を描かせ、
その描画内容を評価することで、
子どもの認知発達や
知能を測定する手法です。
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の実施方法
①準備
用具
白紙と鉛筆を用意します。
色鉛筆やクレヨンは通常使用しません。
環境
静かでリラックスできる環境を整えます。
②手順
指示
被験者に「人の絵を描いてください」
と指示します。
具体的な性別や年齢、
服装などについての指示は与えず、
自由に描かせます。
描画
被験者は自分のペースで
人物画を描きます。
描画の時間制限はありませんが、
通常は10〜15分程度で完了します。
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グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の評価のポイント
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の評価は、
描かれた人物の各部分の詳細と、
その全体的な構成に基づいて行われます。
具体的な評価ポイントは以下の通りです。
①体の各部分
頭部
頭が描かれているかどうか、
頭髪の有無や詳細などを評価します。
例えば、髪の毛が
詳細に描かれている場合、
細部に注意を払う能力を示します。
胴体
胴体の有無、形状、
服装などを評価します。
胴体がしっかり描かれている場合、
基本的な人間の形態の理解を示します。
手足
手足の有無、関節の描写、
指の本数などを評価します。
関節や指が
正確に描かれている場合、
身体の構造に対する
理解があることを示します。
②ディテールの追加
目、鼻、口
顔のパーツが描かれているか、
その配置や詳細を評価します。
例えば、目の位置が正確であり、
瞳や眉毛が描かれている場合、
細部に対する注意を示します。
耳
耳の有無、位置、
詳細を評価します。
耳が適切な位置に描かれている場合、
空間認識能力を示します。
服装やアクセサリー
衣類や装飾品の描写を評価します。
例えば、シャツのボタンや
ベルトなどが詳細に
描かれている場合、
観察力や記憶力が
優れていることを示します。
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の評価スケール
評価は、各部分の描写に
対してポイントを与え、
その合計得点を基に
知能を測定します。
グッドイナフによって
設定された標準スコアは、
子どもの年齢に基づいた
知能指数(IQ)に変換されます。
具体的には、以下のように
各項目に点数が付けられます。
・頭:1点
・目:1点
・鼻:1点
・口:1点
・耳:1点
・髪の毛:1点
・首:1点
・胴体:1点
・腕:1点
・手:1点
・指:1点(両手にそれぞれ5本の指が描かれている場合、追加点)
・足:1点
・その他の詳細(服装、アクセサリーなど):加点
得点が高いほど、
子どもの知能が高いと評価されます。
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グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の適用例
①臨床心理学
知能評価
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)は、
子どもの知能評価に使用され、
特に発達遅滞や学習障害の
診断に役立ちます。
例えば、学校で
学習に困難を抱える子どもが
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)を実施し、
詳細に描かれた人物画が示された場合、
その子どもが知覚的・運動的に
正常に発達していることが確認できます。
②教育心理学
学習支援
教師はグッドイナフ人物画知能検査(GHDT)を使用して、
子どもの認知発達レベルを理解し、
適切な学習支援を
提供することができます。
例えば、図形描写が
未発達な子どもには、
視覚的・運動的スキルを
強化するための
特別な教育プログラムを導入します。
③カウンセリング
自己表現の支援
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)は、
子どもが自己表現をする際の
ツールとしても利用されます。
カウンセラーは、
子どもが描いた絵を通じて、
その子どもの感情や考えを理解し、
適切なサポートを提供します。
例えば、家庭環境に問題がある場合、
子どもが描く人物に
家族構成や感情が
反映されることがあります。
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グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の利点と限界
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の利点
簡便さ
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)は
簡単に実施でき、
特別な道具や長時間の準備を
必要としません。
幅広い適用範囲
子どもから大人まで、
さまざまな年齢層に適用可能です。
自然な表現
被験者が自由に描くことで、
自然な内面の状態を反映します。
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の限界
主観的解釈
評価が検査者の主観に依存するため、
一貫性を保つのが難しいことがあります。
文化的バイアス
文化的背景によって
描かれ方が異なるため、
文化的バイアスを考慮する必要があります。
知能の全面的評価ではない
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)は
特定の側面(視覚的・運動的スキル)
に焦点を当てており、
知能のすべての側面を
評価するわけではありません。
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)についてのまとめ
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)は、
子どもが描く人物画を通じて
知能や認知発達を評価するための
投影法の心理検査です。
この検査は、
簡便で幅広い年齢層に適用可能であり、
臨床心理学、
教育心理学、
カウンセリングの分野で
広く利用されています。
グッドイナフ人物画知能検査(GHDT)の評価は、
人物の各部分の詳細と
全体的な構成に基づき、
被験者の認知能力や
発達状態を理解する
手がかりを提供します。
しかし、主観的解釈や
文化的バイアスなどの
限界もあるため、
他の評価手法と
併用することが推奨されます。
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