ロールシャッハテストの片口法とはどういうものなのか?

 

 

 

 

 

ロールシャッハテストの

片口法(かたぐちほう、Katauchi Method)は、

日本の心理学者である

片口安史(やすし)によって開発された、

ロールシャッハテストの

独自の分析方法です。

 

 

 

 

この方法は、ロールシャッハテストの

伝統的な解釈に

新しい視点を加えるものであり、

被験者の心の深層に迫るための

独特のアプローチを提供します。

 

 

 

 

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片口法の特徴

 

 

片口法は、被験者の反応を通じて、

その人のパーソナリティや

精神状態をより深く理解することを

目指しています。

 

 

 

 

以下に、片口法の主な特徴と

具体例を挙げて説明します。

 

 

 

 

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①主観的解釈の重視

 

 

片口法では、被験者の

主観的な解釈を重視します。

 

 

 

 

これは、被験者が

どのようにインクブロットを見ているか、

その見方がどのようにその人の

パーソナリティや感情状態を

反映しているかを理解するためです。

 

 

 

 

 



具体例

 

被験者がインクブロットを見て

「この形は嵐の海に見える」

と答えた場合、

 

片口法ではその答えの背景にある感情や

心理状態を探ります。

 

 

 

 

嵐の海は、不安や恐れ、

感情の乱れを

象徴している可能性があります。

 

 

 

 

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②語りの内容と構造の分析

 

 

片口法では、被験者の語りの内容と

その構造を詳細に分析します。

 

 

 

 

これは、被験者の認知スタイルや

思考パターンを明らかにするためです。

 

 

 

 

 



具体例

 

被験者が詳細で一貫性のある

ストーリーを語る場合、

その人は整理された思考と

高い認知機能を持っていると

解釈されるかもしれません。

 

 

 

 

 

一方、話が飛び飛びで

不整合な場合、

認知的な混乱や

精神的なストレスを

示している可能性があります。

 

 

 

 

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③文化的背景の考慮

 

 

片口法は、日本の文化的背景を

考慮して開発されたため、

被験者の文化的要因を

解釈に組み込むことが特徴です。

 

 

 

 

 



具体例

 

日本の被験者がインクブロットを見て

「これが鯉のぼりのように見える」

と答えた場合、

片口法ではこの答えを

文化的背景に関連づけて解釈します。

 

 

 

 

鯉のぼりは日本の

伝統的な子供の日の象徴であり、

成長や勇気を示すものとして

解釈されるかもしれません。

 

 

 

 

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片口法の具体的なプロセス

 

 

片口法は、以下のプロセスを経て

実施されます。

 

 

 

 

 



①反応の収集

 

まず、ロールシャッハテストの

標準的な手順に従って、

被験者の反応を収集します。

 

 

 

 

被験者に10枚の

インクブロットカードを順に見せ、

それぞれについて

「何に見えるか」を尋ねます。

 

 

 

 

 



具体例

 

被験者がカードIに対して

「これは蝶に見える」

と答えた場合、

その反応を詳細に記録します。

 

 

 

 

 



②反応の詳細な分析

 

次に、収集した反応を

詳細に分析します。

 

 

 

 

この際、片口法では

以下のポイントに注目します。

 

 

 

 

 



内容(Content)

 

反応が何を示しているか

(人物、動物、自然物など)

 

 

 

 

 


決定因(Determinants)

 

反応がどの要素に基づいているか

(形、色、運動など)

 

 

 

 

 


位置(Location)

 

インクブロットのどの部分に

反応が基づいているか

(全体、部分など)

 

 

 

 

 


具体例

 

被験者が「これは蝶に見える」

と答えた場合、

内容は「動物」、

決定因は「形」、

位置は「全体」となります。

 

 

 

 

 



③語りの内容と構造の分析

 

被験者の語りの内容と

その構造を分析し、

その背景にある感情や

認知スタイルを明らかにします。

 

 

 

 

 



具体例

 

被験者が「これは蝶に見える。

蝶は美しいけれども、短命で儚いものだ」

と語った場合、

その語りから

被験者が美しさや儚さに対する

感情を抱いていることが読み取れます。

 

 

 

 

 



④文化的背景の考慮

 

被験者の文化的背景を考慮して、

反応を解釈します。

 

 

 

 

日本の文化や

社会的背景に基づく

特定のシンボルや象徴を理解し、

それを解釈に反映させます。

 

 

 

 

 



具体例

 

被験者が「これは鯉のぼりのように見える」

と答えた場合、

その反応を日本の文化的背景に

関連づけて解釈します。

 

 

 

 

 

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片口法の具体的なプロセスと応用例

 

 

 

臨床心理学の応用

 

 

例1

 

片口法を用いて

うつ病患者の

心理状態を評価する際、

患者がインクブロットに対して

否定的な解釈

(例:「これは黒い雲で、嵐が来そうだ」)

を多く示す場合、

内的な悲観主義や

不安感を反映している可能性があります。

 

 

 

 

これにより、治療計画の立案において、

患者の感情的なサポートや

認知行動療法(CBT)を

含めることが考慮されます。

 

 

 

 

 



例2

 

統合失調症の患者の評価では、

片口法を用いて

反応が非現実的または

奇抜な内容

(例:「このインクブロットは

宇宙人が地球を侵略しているところに見える」)

である場合、

 

現実検討能力の低下や

認知の歪みが

示されることがあります。

 

 

 

 

このような情報は、

統合失調症の診断や治療計画に役立ちます。

 

 

 

 

 



教育心理学の応用

 

 

例3

 

片口法を用いて

学習障害を持つ

子どもの心理評価を行う場合、

反応の内容や決定因の分析から、

その子どもがどのように情報を処理し、

どのような認知スタイルを

持っているかを理解することができます。

 

 

 

 

例えば、視覚的な情報に

基づいた反応が多い場合、

視覚学習スタイルが強いことが示唆されます。

 

 

 

 

 



具体例

 

子どもが「これは家に見える」

と言った場合、

家族や家庭環境に対する思いが

反映されているかもしれません。

 

 

 

 

さらに、詳細な構造を描写する場合、

その子どもは細部に

注意を払う能力が高い可能性があります。

 

 

 

 

 

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片口法の利点と限界

 

 

 

利点

 

 

主観的解釈の強調

 

片口法は、被験者の主観的な視点を重視し、

その人の個別の心理状態や

感情を深く理解するのに適しています。

 

 

 

 

 


文化的背景の考慮

 

日本の文化的背景を

反映した解釈を行うことで、

日本人被験者の

特有の心理特性を

より正確に理解することができます。

 

 

 

 

 


多面的評価

 

語りの内容、構造、

感情状態など多面的な要素を考慮するため、

包括的な心理評価が可能です。

 

 

 

 

 


限界

 

 

主観性の高い解釈

 

主観的解釈に依存するため、

解釈者の経験やスキルに

大きく影響される可能性があります。

 

 

 

 

 


標準化の難しさ

 

片口法は標準化された

スコアリングシステムを持たないため、

解釈の一貫性や再現性が

他の方法に比べて劣ることがあります。

 

 

 

 

 


時間とリソースの必要性

 

詳細な分析と解釈には

時間と労力が必要であり、

専門的な訓練を受けた心理士が必要です。

 

 

 

 

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ロールシャッハテストの片口法についてのまとめ

 

 

片口法は、ロールシャッハテストの

独自の分析方法として、

日本の文化的背景を考慮しつつ、

被験者の主観的な視点を

重視することを特徴としています。

 

 

 

 

主観的解釈と文化的要因を取り入れた分析は、

被験者の心理状態や感情を

深く理解するのに役立ちます。

 

 

 

 

しかし、標準化の難しさや

主観性の高い解釈による

限界もあります。

 

 

 

 

 

片口法を用いる際には、

その特性を十分に理解し、

適切に応用することが重要です。

 

 

 

 

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車 重徳

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