ロールシャッハテストのエクスナー法(包括システム)とは…

 

 

 

 

 


エクスナー法(包括システム)とは、

ジョン・E・エクスナーによって

開発されたロールシャッハテストの

標準化された解釈法です。

 

 

 

 

エクスナーは、

従来のロールシャッハテストが持つ

主観性を減少させ、

 

より信頼性と

一貫性のある解釈を

可能にするために、

このシステムを構築しました。

 

 

 

 

包括システムは、

反応の記録、

符号化、

解釈の方法を体系化し、

ロールシャッハテストの結果を

統計的に分析するための

標準的な手順を提供します。

 

 

 

 

 

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エクスナー法の主な構成要素

 

 

エクスナー法は、

以下の主要な構成要素から

成り立っています。

 

 

 

 

 



①反応の記録

 

エクスナー法では、

被験者の全ての反応を

詳細に記録します。

 

 

 

 

これには、言語的な反応だけでなく、

非言語的な行動

(カードの回転、ためらい、表情など)

も含まれます。

 

 

 

 

 



具体例

 

被験者が

「このインクブロットは蝶のように見える」

と答え、カードを回転させた場合、

その行動と発言の両方が記録されます。

 

 

 

 

 



②反応の符号化

 

エクスナー法では、

反応を詳細に符号化

(コーディング)します。

 

 

 

 

これには、反応の内容、

場所、決定因、形態の質、

内容、特殊スコアリングなどが含まれます。

 

 

 

 

 



場所(Location)

 

反応がインクブロットの

どの部分に基づいているかを示します。

 

 

 

 

全体(W)、部分(D)、小部分(Dd)

などに分類されます。

 

 

 

 

 


決定因(Determinants)

 

反応がどの要素に

基づいているかを示します。

 

 

 

 

形(F)、運動(M)、

色(C)などがあります。

 

 

 

 

 


形態の質(Form Quality, FQ)

 

反応がどれだけインクブロットの形に

適合しているかを評価します。

 

 

 

 

一般的(+)、普通(o)、

不適合(-)などに分類されます。

 

 

 

 

 


具体例

 

「このインクブロットは

二人の人がダンスをしているように見える」

と答えた場合、

場所はW(全体)、

決定因はM(運動)、

形態の質は+(一般的)となるかもしれません。

 

 

 

 

 



③スコアリング

 

反応が符号化された後、

標準化された

スコアリングシステムを用いて

分析されます。

 

 

 

 

スコアリングには、

数多くの尺度や指標が用いられます。

 

 

 

 

 



総反応数(R)

 

被験者が提供した

反応の総数。

 

 

 

 

 


平均反応時間(RT)

 

各カードに対する

反応までにかかった平均時間。

 

 

 

 

 


コンテンツカテゴリー

 

人物(H)、動物(A)、

植物(Ad)など、

反応の内容に基づく分類。

 

 

 

 

 


具体例

 

被験者が10枚のカードに対して

30の反応を示し、

その内の15が

人間に関連する反応(H)だった場合、

 

Hの割合が高いと解釈され、

社会的な関心や

対人関係に焦点を当てている

可能性があると評価されます。

 

 

 

 

 



④解釈

 

スコアリングされたデータを基に、

エクスナー法は被験者の人格特性、

情緒状態、認知スタイルなどを解釈します。

 

 

 

 

解釈は、個々の反応だけでなく、

全体的なパターンに基づいて行われます。

 

 

 

 

 



具体例

 

被験者が多くの反応で

色を強調している場合

(Cの決定因が多い)、

情緒的な反応が強く、

感情的に不安定である

可能性が示唆されます。

 

 

 

 

一方、形態の質が高い反応

(FQ+)が多い場合は、

現実検討能力が高いと解釈されます。

 

 

 

 

 

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エクスナー法の利点

 

 

 

標準化

 

エクスナー法は、

ロールシャッハテストの実施、

記録、符号化、スコアリング、

解釈の全ての段階を標準化することで、

信頼性と一貫性を向上させます。

 

 

 

 

 


統計的裏付け

 

大規模なデータベースに基づいており、

反応の標準値や頻度が

提供されているため、

個別の結果を比較して

解釈することができます。

 

 

 

 

 


多面的評価

 

被験者の認知、

情緒、対人関係など

多面的な側面を

包括的に評価することができます。

 

 

 

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エクスナー法の具体的な応用例

 

 

 

臨床診断

 

 

例1

 

ある患者が統合失調症の疑いがある場合、

エクスナー法を用いた

ロールシャッハテストで、

非現実的な反応や

形態の質が低い反応(FQ-)

が多く見られることがあります。

 

 

 

 

これにより、現実検討能力の低下や

認知の歪みが示唆され、

統合失調症の診断に役立つことがあります。

 

 

 

 

 



例2

 

うつ病の患者では、

反応数が少ない(Rが低い)

傾向が見られることがあります。

 

 

 

 

エクスナー法を通じて、

情緒的な抑制や

エネルギーの低下が示され、

適切な治療計画の策定に役立ちます。

 

 

 

 

 



法医学

 

 

例1

 

犯罪者の心理評価において、

エクスナー法を用いた

ロールシャッハテストが行われ、

衝動性や対人関係の問題が

反応パターンに現れることがあります。

 

 

 

 

これにより、再犯リスクの評価や

リハビリテーションプランの策定が行われます。

 

 

 

 

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ロールシャッハテストのエクスナー法(包括システム)について結論

 

 

エクスナー法(包括システム)は、

ロールシャッハテストの

標準化された解釈法として、

信頼性と一貫性を提供します。

 

 

 

 

反応の記録、符号化、

スコアリング、解釈の全ての段階を

体系的に行うことで、

被験者の無意識の内容や

心理状態を詳細に

評価することができます。

 

 

 

 

このシステムは、

臨床診断や法医学、

カウンセリングなど

様々な分野で応用されており、

被験者の多面的な理解と

適切な支援を提供するための

貴重なツールとなっています。

 

 

 

 

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