WISC-V(ウィスク5)検査は決まった順番で下位検査を実施しないといけない理由とは…
WISC-V(ウィスク5)検査を
決められた順序で実施することは、
検査の標準化を維持し、
結果の正確性と信頼性を
確保するために非常に重要です。
この構造化されたアプローチは、
心理アセスメントの
いくつかの重要な原則に根ざしており、
検査実施と結果の解釈の両面で
重要な機能を果たします。
WISC-V(ウィスク5)検査を
一定の順序で実施する必要がある
主な理由は以下の通りです。
①標準化
WISC-V(ウィスク5)検査は
標準化されています。
つまり、個々の検査の得点を
評価する際に
比較するための規範を確立するために、
多数の児童サンプルに対して
検査が実施されています。
異なる個人、
異なる環境において、
検査結果が妥当で
信頼できるものであるためには、
各検査が同じ手順で
実施されなければなりません。
これには、あらかじめ
決められた順序で
下位検査を実施することが含まれます。
この一貫性により、
検査が実施される条件が
誰にとっても同じであることが保証されるため、
検査実施順序の違いによって
生じる可能性のあるばらつきを
最小限に抑えることができるのです。
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②疲労と練習効果のコントロール
特定の順番で下位検査を実施することで、
疲労と練習の影響を
コントロールすることができます。
ある種の下位検査は、
他の下位検査よりも
精神的な負荷が高い場合があり、
負荷の高い下位検査を、
子どもが体力気力ともにあふれている
状態での最初に実施するのと、
同じ下位検査を、
子どもが疲れている状態での
最後に実施するのとでは、
結果が異なる可能性があるのです。
同様に、いくつかの下位検査は、
練習効果やウォームアップ効果をもたらす可能性があり、
適切な順番でなければ、
その後の下位検査の成績に
影響を与える可能性があるのです。
固定された検査順序は、
すべての子どもが同等の条件下で評価され、
スタミナや検査形式への慣れではなく、
彼らの能力が得点に
反映されることを保証するのに役立ちます。
③心理学的考察
下位検査の順番を工夫することで、
子どもが検査を受けながら
自信をつけることができます。
楽しい魅力的な、
または難易度の低い下位検査から始めることで、
子どもを検査自体になじませ、
不安を軽減し、
有能感を促進することができます。
これは、子どもの能力を
正確に測定するために
非常に重要であるといえるでしょう。
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④実施回数を超えた比較可能性
WISC-V(ウィスク5)検査で
再測定される児童は、
年齢的な発達の結果であれ、
トレーニング等の影響の評価であれ、
下位検査の順序が決まっていることで、
異なる検査機会間で結果が比較できます。
この比較可能性は、
子どもの認知プロファイルの変化や
安定性を正確に評価するために不可欠です。
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⑤試験の効率と流れ
あらかじめ検査実施の
順序を決めておくことで、
検査官は準備を整え、
異なる種類の下位検査間を
スムーズに移行することができ、
検査実施の流れを最適化することができます。
このような検査実施の整理は、
検査の実施プロセスを効率化するだけでなく、
検査全体の流れを通して
子どもの関心を維持することにも役立ちます。
1つの下位検査から
別の下位検査へと
順序よく進行することで、
指示や準備に費やす時間を
減らすことができ、
その結果、検査実施にかかるの時間を
最小限に抑え、
子どもの疲労を軽減することができます。
⑥解釈の明確さ
最後に、固定された検査の順序は
結果の明確な解釈をサポートします。
検査の開発者は、
標準的な順序に基づいて
下位検査間の相互作用を分析しているため、
この検査の順序から逸脱すると、
解釈プロセスが複雑になる可能性があります。
決められた順番に従うことで、
どの下位検査の成績も、
検査設計の意図どおり、
検査全体の構成に照らして
理解できるようになります。
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要約すると、
WISC-V(ウィスク5)検査を
決められた順序で実施することは、
検査実施プロセスの完全性を維持し、
検査結果の妥当性と信頼性を確保し、
すべての受検者に
公平な評価環境を提供するために
不可欠であるといえるでしょう。
この構造化された検査アプローチは、
受検者の心理的な快適さをサポートし、
効率的な実施を保証し、
認知能力の正確な解釈を助けるのです。
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