WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の指標得点における有意差とはどういった意味なのでしょうか?

 

 

 

 

 

ウェクスラー式 児童用 知能評価尺度

第5版(WISC-V)においては、

 

指標得点の有意差とは、

検査で評価される

様々な認知領域間の格差が、

 

一般集団で通常予想される範囲を

超えることを指します。

 

 

 

 

このような相違は、

相対的な強さと弱さの

領域を浮き彫りにすることで、

 

子ども特有の認知プロフィールに対する

貴重な考察を提供することができるのです。

 

 

 

 

これらの相違を理解することは、

教育的介入を調整し、

学習障害を診断し、

心理学的治療に情報を提供する上で

極めて重要であるといえるでしょう。

 

 

 

 

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WISC-V(ウィスク5)検査の構成

 

 

WISC-V(ウィスク5)検査は、

5つの主要な指標得点で

子どもの認知能力を評価します。

 

 

 

 

その5つの指標とは

・言語理解指標(VCI)

・視空間指標(VSI)

・流動性推理指標(FRI)

・ワーキングメモリ指標(WMI)

・処理速度指標(PSI)

です。

 

 

 

 

上記の各指標は、

認知機能の異なる側面を測定し、

子どもの知的能力の

全体的な理解に寄与するのです。

 

 

 

 

 

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有意差の理解

 

 

指標得点間の有意差は、

各指標に関連する

測定の標準誤差を

考慮した統計分析によって

決定されています。

 

 

 

 

有意差があるということは、

一般的に、得点間の不一致が

偶然だけで予想されるものよりも

大きいことを意味し、

 

異なる領域にわたる

認知能力の真のばらつきを

示唆しているといえるでしょう。

 

 

 

 



たとえば、ある子どもの

言語理解指標(VCI)の指標得点が115

(平均より1標準偏差高い、

言語理解能力が平均以上であることを示す)

 

で、処理速度指標(PSI)の指標得点が85

(平均より1標準偏差低い、

処理速度が平均以下であることを示す)

であったとします。

 

 

 

 

言語しかい指標(VCI)の指標得点と

処理速度指標(PSI)の指標得点間の

 

この大幅なギャップ(30)

は重大であると考えられ、

子どもの学習と発達への

影響を理解するために、

さらなる調査が必要であるといえるでしょう。

 

 

 

 

 

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有意差の意味

 

 

WISC-V(ウィスク5)検査の

指標得点の有意差は、

さまざまな意味を持っています。

 

 

 

 

 



1.教育戦略の調整

 

子どもの認知の

長所と短所を理解することで、

教育者は個々に合った

学習経験をデザインすることができます。

 

 

 

 

例えば、言語理解指標(VCI)が高いが

処理速度指標(PSI)が低い子どもは、

言葉による指導や、

素早い情報処理を必要とする課題の

時間を増やすことが有効であるといえるでしょう。

 

 

 

 

 



2.学習障害の識別

 

指標得点間の著しい差は、

特定の学習障害を

示している可能性があります。

 

 

 

 

視空間指標の指標得点は高いが、

ワーキングメモリ(WMI)と

処理速度(PSI)の指標得点が

低い子どもは、算数が苦手で、

算数障害(ディスカリキュリア)の

可能性を示唆しているかもしれません。

 

 

 

 

 



3.認知処理に関する洞察

 

指標得点間の大きな差は、

子どもがどのように情報を

処理するかについての

考察を提供します。

 

 

 

 

流動性推理指標(FRI)の指標得点が高く、

ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が低い子供は、

 

プレッシャーがかかっていないときには

問題解決に優れているが、 

 

ワーキングメモリ内の情報操作に苦戦し、

動的な場合や時間制限のある場面での

成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 



4.心理的・感情的サポート

 

指標得点間にバラつきがあることを

認識し ている子どもは、

欲求不満や自尊心の低下を

経験す ることがあります。

 

 

 

 

このような大きな差を認識することで、

困難な分野に対処する一方で、

得意な分野に自信をつけるための

的を絞った支援を行うことができるのです。

 

 

 

 

 

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ケース例

 

 


ケース1:Tくん

 

TくんのWISC-V(ウィスク5)検査の

検査結果によると、

言語理解指標(VCI)は120、

視空間指標(VSI)は115であるが、

 

処理速度指標(PSI)は80でした。

 

 

 

 

言語理解力と処理速度の間に

大きな隔たりがあることから、

Tくんは複雑な言語情報を

理解することには長けているが、

 

素早い処理を必要とする課題には

苦戦していることがわかります。

 

 

 

 

この大きな差は、

Tくんが英語や歴史のような

科目は得意だが、

 

時間制限のあるテストや

ペースの速い科目は

難しいと感じる理由を

説明することができます。

 

 

 

 

テスト時間の延長や

プロセス重視の指導方法など、

Tくんに合わせた介入を行うことで、

Tくんの学習をサポートできる可能性があります。

 

 

 

 

 



ケース2:Jくん

 

Jくんの流動性推理指標(FRI)は130で、

卓越した問題解決能力と

推論能力を示しているが、

 

ワーキングメモリ指標(WMI)は85で、

ワーキングメモリが平均以下で

あることを示しています。

 

 

 

 

この大きな差は、

Jくんが複雑な概念や関係を

理解することはできるが、

 

多段階の数学問題のような、

複数の情報の保持や

操作を必要とする課題には

苦戦する可能性があることを示唆しています。

 

 

 

 

記憶法や情報のイメージ化など、

ワーキングメモリを強化する戦略は、

Jくんにとって有益である可能性があるでしょう。

 

 

 

 

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結論

 

 

WISC-V(ウィスク5)検査の

指標得点の有意差は、

個々の子どもの認知能力の

多様な状況を照らし出し、

知能の多面的な性質を強調しています。

 

 

 

 

保護者、教育者、心理学者は、

このような不一致を見極めることで、

子どもの長所を生かしつつ、

課題に対処するための

的を絞った支援を提供することができます。

 

 

 

 

このようなオーダーメイドのアプローチは、

学力と人格の発達を促進するだけでなく、

学習と認知についてのより

詳細な理解にも貢献します。

 

 

 

 

このように、WISC-V(ウィスク5)検査は、

子どもの発達を総合的に評価する

強力なツールとして機能し、

 

子ども一人ひとりの可能性を

最大限に引き出す支援を

目的とした介入を導くことが可能になるのです。





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車 重徳

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