WISC-Ⅴ検査の結果はWISC-Ⅳ検査の結果よりも結果が低く出るのでなぜでしょうか?
WISC-IV(ウィスク4)検査から
WISC-V(ウィスク5)検査
への移行を含め、
WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)
の異なるバージョン間の
検査結果を比較する場合、
テストバージョンの変更は、
規範データの更新、
評価の正確性の向上、
および最新の教育・心理学研究の
反映のために行われることを
理解することが重要です。
WISC-V(ウィスク5)検査のような
新しいバージョンの検査が、
以前のバージョンと比較して
異なる(時には低い)結果をもたらす
理由はいくつかあります。
1.規範データの更新
バージョン間の検査結果の違いの
最も大きな理由のひとつは、
規範データの更新です。
規範となるデータは、
新バージョンの検査が開発された時点で、
大規模で代表的なサンプルの
子どもたちから収集されたものです。
これらのデータは、
現在の集団の能力を反映し、
規範となる平均点を
設定するために使用されます。
社会が変化するにつれて、
教育、技術、医療の向上が
認知の発達や成績に
影響を与えることがある。
そのため、WISC-V(ウィスク5)検査の基準値は、
このような社会の変化を反映して更新される。
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2.テスト内容と構成の変更
WISC-V(ウィスク5)検査では、
知能の多面的な性質を
よりよくとらえ、
認知心理学や
神経心理学の最新の研究に沿うように、
テストの内容と構成に
変更が加えられた。
これらの変更には、
新しい下位検査の導入、
既存の下位検査の削除または修正、
採点システムの変更などが含まれる。
これらの変更は、
子どもの認知能力を
より正確かつ包括的に
評価することを目的としていますが、
特定の認知領域の焦点や
重み付けが変わるため、
スコアに差が出ることもあります。
3.フリン効果
フリン効果とは、
時間の経過とともに
IQスコアが系統的に
上昇する現象を指す。
その結果、WISC-V(ウィスク5)検査
のような新しいバージョンの検査の
標準化に使用される標準サンプルは、
WISC-IV(ウィスク4)検査のような
古いバージョンの標準サンプルよりも
ベースラインの認知能力が
高い可能性があります。
新バージョンの検査が標準化されると、
このようなことが考慮され、
同じ個人の成績が
集団の平均と同じ割合で上昇しない場合、
いくつかの測定で
より低い得点になる可能性がある。
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4.流動性知能の重視
WISC-V(ウィスク5)検査を含む
最近の知能検査では、
流動性知能
(獲得した知識とは無関係に、
新しい問題を解決し、
新しい状況に適応する能力)
を評価することに
重きが置かれている。
この変化は、
認知能力が動的で
適応可能であるという
現代的な理解を反映している。
しかし、このことは、
特に後天的な知識や技能といった、
より結晶化した知能を
反映する分野に
子供の長所がある場合、
得点に影響を与える可能性がある。
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5.診断感度の向上
WISCの新しいバージョンは、
学習障害や発達障害を
よりよく識別するために、
診断感度を高めて設計されている。
これは、以前のバージョンでは
識別が容易でなかった
微妙な認知障害を、
テストがより巧みに
検出できるようになったことを意味する。
このことは、個人の支援や
介入計画をより良いものにする一方で、
これらの欠陥が
より正確に評価されるようになった
特定の領域では、
点数が低くなる可能性がある。
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結論
WISC-IV(ウィスク4)検査から
WISC-V(ウィスク5)検査への移行と、
異なる(時には低い)得点の可能性は、
子どもの認知能力評価を
洗練させるための
継続的な努力を反映している。
このような変更は、
認知発達に関する理解の進歩、
現代の集団を反映するための
規範サンプルの更新の必要性、
および検査の診断的有用性を
向上させたいという願望によって
推進されている。
そのため、検査結果を解釈する際には、
検査のバージョン間で
スコアを直接比較するのではなく、
これらの変更の背景を考慮し、
総合的なプロフィールと、
それによって明らかになる
個々の長所やニーズに
焦点を当てることが極めて重要です。
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発達障害ラボ
車 重徳