ダブルバインド（二重拘束）理論とは…
ダブルバインド（二重拘束）理論は、
グレゴリー・ベイトソンと
その研究チームによって
1950年代に提唱されました。
この理論は、
特に統合失調症患者と
その家族間の
コミュニケーションパターン
に焦点を当て、
病理の原因としての
コミュニケーションの問題点を
指摘しています。
ダブルバインドは、
相反するメッセージが
同時に伝えられ、
受け手が
どちらのメッセージにも
適切に反応できない状況を指します。
これにより、
受け手は混乱し、
ストレスや
心理的な圧迫を
感じることになります。
以下に、
ダブルバインドの具体例と
その影響について説明します。
ダブルバインドの特徴
①相反するメッセージ
同時に矛盾する
二つのメッセージが伝えられます。
②脱出不可能
受け手は
どちらのメッセージにも
適切に反応することができず、
脱出する方法がありません。
③繰り返し
このようなコミュニケーションパターンが
繰り返し発生します。
④重要な関係
通常、これらのメッセージは
親子のような
重要な人間関係の中で発生します。
《WISC-Ⅴ検査の低い指標の伸ばし方を知りたい方はコチラをクリック》
具体例
例1: 親子のコミュニケーション
母親が子どもに対して、
「私にもっと愛情を示して」
と言いながら、
子どもが愛情を示そうとすると
「あなたはいつも私に甘えてばかり」
と拒絶する。
この場合、
子どもは母親からのメッセージが
矛盾しているため、
どのように行動していいのか
混乱します。
子どもが愛情を示せば拒絶され、
示さなければ愛情がないと非難されます。
例2: 褒められることへの反応
父親が子どもの成績を褒めるが、
その際に声のトーンや
表情が不満げであった場合、
「よくできたね」
という言葉と
その非言語的なメッセージ
（不満げな表情やトーン）
が矛盾します。
子どもはこの矛盾したメッセージを
どのように解釈すればいいのか分からず、
自分の成績に対する自信を失うかもしれません。
ダブルバインドの影響
ダブルバインドのコミュニケーションは、
受け手に深刻な心理的ストレスを
引き起こす可能性があります。
この状況は、
特に子どもが自己の感情や
行動に対する
正確なフィードバックを
得られないときに、
自己認識の混乱や
身元確認の問題を
引き起こすことがあります。
長期的には、
自己疑念、
不安、
さらには心理的な障害の発生に
つながることもあります。
《WISC-Ⅴ検査について、基礎から学びたい方はコチラをクリック》
結論
ダブルバインド理論は、
特に家族内の
コミュニケーションパターンと
心理的健康との関連を
理解する上で
重要な枠組みを提供します。
矛盾するメッセージを
受け続けることは、
特に発達途上にある子どもにとって、
深刻な心理的影響を
及ぼす可能性があります。
この理論の理解は、
心理的な健康を促進し、
より健全なコミュニケーションパターンを
育むための重要な一歩となります。
★★
発達障害ラボ
車 重徳
