ケリーの共変原理とは…
ケリーの共変原理
（Kelley's Covariation Model）は、
社会心理学者
ハロルド・ケリーによって提案された、
人々が他人の行動の原因を
どのように推測するか
を説明する理論です。
このモデルは、
行動の原因を推測する際に、
・弁別性（Distinctiveness）
・一貫性（Consistency）
・合意性（Consensus）
の3つの次元を使用します。
これらの次元を用いて、
人々は特定の行動が
個人的な要因によるものなのか、
または状況的な要因によるものなのか
を判断します。
具体例としての適用
①弁別性
定義
弁別性は、特定の行動が
特定の状況に限られる程度です。
高い弁別性は、
行動が特定の状況でのみ起こり、
他の状況では起こらないことを示します。
例
エマがジョンと一緒にいるときだけ
笑顔になる。
エマが他の多くの人といるときには
笑顔にならない場合、
エマの笑顔は
ジョンの存在に対する
弁別性の高い反応と見なされます。
②一貫性
定義
一貫性は、
特定の行動が時間や
異なる状況において
どれだけ一貫しているかを
示します。
高い一貫性は、
同じ状況下で
行動が繰り返し現れることを意味し、
その行動が安定した要因
（例えば個人の性格特性）
によるものである可能性が高いことを
示唆します。
例
エマがジョンと一緒にいるときに
常に笑顔になる場合、
彼女の行動は
一貫性が高いと見なされます。
これは、彼女の行動が
ジョンの存在に対する
安定した反応であることを示唆しています。
③合意性
定義
合意性は、
特定の状況下で
他の人も
同様の行動を取るかどうかを
示します。
高い合意性は、
多くの人々が
同じ状況で
同様の行動を示す場合であり、
行動が状況に
起因する可能性が高いことを示します。
例
ジョンと一緒にいるときに
多くの人が笑顔になる場合、
エマの笑顔は
合意性が高いと見なされます。
これは、エマの行動が
ジョンの特定の性質や
状況によるものである可能性が
高いことを示唆しています。
《WISC-Ⅴ検査の低い指標の伸ばし方を知りたい方はコチラをクリック》
ケリーの共変原理の重要性
ケリーの共変原理は、
個人が社会的状況において
他人の行動を
どのように解釈するかを
理解するのに役立ちます。
この理論を用いることで、
人々は他人の行動が
個人的特性によるものなのか、
それとも特定の状況や文脈に起因するものなのか
を判断することができます。
《WISC検査の所見作成について学びたい方はコチラをクリック》
応用
この理論は特に
社会心理学や臨床心理学の分野で重要で、
人間関係の理解、
誤解の解消、
コミュニケーションの改善、
対人関係の問題解決
などに役立てられます。
例えば、
職場や家庭での
コミュニケーションの問題を解析する際に、
他人の行動が
個人的な特性から来ているのか、
それとも特定の状況や環境に
依存するものなのかを
区別するのにこのモデルは有用です。
また、認知行動療法などの
心理療法においても、
クライエントが自身や
他人の行動を評価する際に
ケリーの共変原理を
適用することがあります。
これにより、
クライエントは他人の行動を
より客観的に見ることができ、
自己の行動に対する
洞察を深めることができます。
《WISC-Ⅴ検査について、基礎から学びたい方はコチラをクリック》
結論
ケリーの共変原理は、
人々が日常生活において
行動の原因を
どのように帰属するかを
理解するための
有用なフレームワークです。
この理論は、
社会的認知の分野における
重要な概念であり、
人々が行動の原因を
どのように推測し、
それに基づいて
どのように反応するかを
理解するのに役立ちます。
★★
発達障害ラボ
車 重徳
