こんばんは。プラススタディの福嶋です。
今日は母の日でしたね。昼間車で出かけましたが、いくつか横を通った花屋さんではカーネーションを買って出てくるお父さんと娘、みたいな場面が判で押したように繰り返されておりました。
そんな中、詩人の長田弘さんが亡くなった、というニュースが。実際に亡くなったのは1週間前の5月3日だそうです。
塾で国語を教えていればたいていの人は詩あるいは随筆を授業などであつかったことのある方ではないかなと思います。
灘中でもかつて長田さんの詩が出題されたことがあり、灘クラスを担当していたときに過去問解説であつかいました。
「食卓一期一会」という詩集から二編が出題されていたのですが、作者である長田さんの言葉遣いの巧みさと、それをうまく問題に活かす灘中の先生方のどちらもに「すごいなあ」と思ったのを覚えています。やはり、「どんな問題を作るか」は学校の先生方の腕の見せ所ですね。
で、その詩の中に、「スがはいっていない一日」という表現があります。
この詩では、「身の詰まったいい大根」が「いい一日」のたとえとして使われています。
つまり、「スがはいっていない一日」=「身の詰まった大根のように充実した一日」ということになるわけです。
この表現の意味を問う問題が灘中でも出題されていたので授業で解説したのですが、「???」となっている生徒が多かったのを思い出します。「スが入る」という表現自体が何のことかわからないと。
料理を手伝ったことのある小学生なら「大根にスが入る」とか「茶わん蒸しにスが入る(たつ)」という表現は聞いたことがあるかと思います。「スが入る」とは、本来「詰まっているもの、均質なものの中に空間ができてしまうこと」を指します。
受験国語ではよくあることですが、実際には「スが入る」という言葉そのものを知らなくても、詩のほかの部分から類推は可能です。ただ落ち着いて考えられない生徒は根拠なく想像して(創造して?)間違えてしまっていました。「酢」とか「素」とか「巣」とか。
ちなみに、「スが入る」の「ス」、漢字で書くと「鬆」です。意味知っててもこの漢字は知らない人が多いだろうなと思います。
ただこの漢字、見覚えないですか?
これ、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう」」の「鬆」です。
ピン、と来ました?
骨粗鬆症というのは、簡単にいうと骨に無数の穴があいてスカスカになってしまう症状です。これも「ス」の状態ですよね。
やっぱり、言葉や漢字というのは意味のあるつながり方をしているものだなあと思います。
字そのものが難しくて通常ひらがな表記をされる漢字が意外と盲点になりやすいような気がします。
ちょっと堅いといえば堅いですが、こういうところからも、ことばへの興味を広げていけないかなあと思います。
どこかで時間が取れたら、また長田さんの作品に触れてみたいと思います。
それでは今日はこのへんで。