社労士会ボウリング大会の
決勝戦で
特別賞を受賞し
獺祭を受け取ったパンダ
であったが、
気が付けば、
そこは七条駅。
七条駅のホームで
駅員から終電が出たことを
伝えられ、
途方に暮れたパンダは
とりあえず駅の出口に向かった。
さて、どうしようか?
タクシーで帰るか?
ネットカフェで寝るか?
距離もあるし、
ネットカフェで朝まで寝てから
始発で帰るか。
そう決めて
駅を出ようとしたところ
ある重大な事実に気が付く。
カバンがない・・・・・
慌てて電車を飛び降りたので
網棚に置いていたカバンを
電車の中に忘れてきたのだ。
しかもカバンの中に財布を
入れていたのでお金もない。
ズボンのポケットを何回もさがしたが
財布も定期券も無く、
あるのはスマホと
特別賞でもらった獺祭(日本酒)だけだった。
お金が無いから
ネットカフェには行けない。
タクシーで帰るか?
いや、深夜2時に家に着いて
妻にタクシー代金を払わせるなんて
恐ろしくて無理。。。。
悩みに悩んだ結果
1つの結論を導き出した。
歩いて帰ろう!
酔っぱらって思考回路が
混乱していたため
最もあり得ない選択肢を
選んでしまった。
ふと、朝の天気予報で
深夜から明け方にかけて
台風が近畿地方を通過する
という情報が流れていたのを
思い出した。
しかし、パンダは
今のところ風も弱いし
小雨やから大丈夫!
と判断し、
立ち上がり歩き始めた。
幸いにも
スマホがあったので
七条から自宅までの経路を
アプリで調べてみた。
残り25km
酔っぱらった状態では
この距離の長さを判断できず
そのまま歩き続けた。
30分ほど歩いて
再度スマホを見ると
自宅まで残り24km
全然進んでいない。
さらに歩き続けると
段々雨が強くなってきた。
スマホのナビを見ながら
さらに歩き続けたところで
最悪なことに
スマホのバッテリーが残り1%
になった。
この時点で自宅までは
まだ20km以上ある。
どうしようか?
タクシーで帰ったほうがいいかも。
と一瞬思ったが
周辺にはタクシーが走っている様子もなく
今歩いているところがどこかも
分からなくなっていた。
とりあえず、線路沿いを
歩いていけば帰れる
と思い歩き続けたが
途中で線路沿いの道は途切れ
どちらに向かって歩けばいいか
分からなくなってしまった。
とりあえず道路の案内板と
勘をたよりにひたすら歩いた。
手には獺祭を持ちながら・・・・
3時間くらい経過し、
気付けば河川敷沿いの道を
歩いていた。
街灯もなく、案内板もなく
本当にどこに向かって歩いているのか
わからなかった。
びしょ濡れになりながら
夜中、河川敷を
日本酒を持ちながら歩く光景は
おそらく周りから見たら
完全な不審者である。
幸いにも夜中に河川敷を歩いている人は
誰もいなく、
孤独の中ただひたすら歩き続けた。
ようやく大きな道を見つけ、
歩き続けると見覚えのある建物を
見つけた。
久御山のイオンだった。
勘で歩いていたが
なんとか方向は合っていた。
とはいっても、自宅までは
まだ10km以上ある。
いつの間にか日本酒を入れていた
紙袋は雨で溶けてしまっていた。
夜も明けかけていた。
自宅まで残り10kmを
切ったところで足が止まる。
膝に激痛が走る。
しばらく立ち止まったが
立ち止まったところで誰も
助けてはくれない。
痛みをこらえながら
再び歩き始めた。
24時間テレビで
100kmマラソンに挑戦する
芸能人の気持ちが少しわかった。
その後も何度か
立ち止まりながらも
歩き続け
なんとか自宅にたどり着いた。
時刻は朝9時を過ぎていた。
インターホンを鳴らし
玄関を開けてもらうと
妻が心配そうな顔をして
「おかえり。何も連絡ないから心配しててん?」
というわけもなく、
冷たい視線だけが返ってきた。
ここからは想像がつくと思うが
1週間、妻は口を聞いてくれなかった。
最終的に妻はパンダに
反省文を書くよう命じ
無期限の謹慎処分を受けることになった。
⇒ 第39話へ続く