「死ぬ瞬間」はエリザベス・キューブラー=ロスの著書です。
発表されたのは1969年ということですから、もう50年近く前の本となります。

私は大学時代に、先生に薦められて読み、大きな影響を受けました。
夫の病気を比較的速く受け入れることが出来たのも、この本を読んでいたからかもしれません。

キューブラー=ロスが200人の死にゆく患者にインタビューし、発見した死の受容に至るまでの5つのプロセスを簡単にまとめてみます。

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●第1段階「否認」

嘘だ。何かの間違いだ。自分がそんな病気のはずはない。

●第2段階「怒り」

なぜ、自分なのだ?自分が、何か悪いことをしたか?
なぜ、あの人でなく自分がこんな目に合うのだ?

●第3段階「取引」

この病気を治せるなら何でもする。お願いだから治してくれ。
何かにすがらずにいられない状態。

●第4段階「抑うつ」

取引が無駄だとわかり、絶望し、ひどい抑うつに襲われる。

●第5段階「受容」

すべてを受け入れ、死を受容する最終段階。
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重い病気を宣告された方は、この5つの段階に思い当たる節があるんじゃないでしょうか。

第3段階の「取引」の状態は気をつけた方がいいかもしれません。
何にでもすがりたくなるから、騙されやすい状態なので。
でも、騙されて幸せってこともあるかもしれないので、難しいです。

私たち夫婦は、「否認」「怒り」「取引」の状態はすぐに越えたと思います。
夫の本当の気持ちはわからないけれど、見た目にはそう見えます。
「抑うつ」はこれからやってくるかもしれません。
もっと病気が進行して、日々、生きることが苦痛になったら・・・
今、心の準備だけはしています。

死ぬ瞬間という本を読んで、もう一つ影響を受けたことは、
このキューブラー=ロスという医師が、癌患者の疼痛コントロールにモルヒネを

推奨していたことです。
当時の日本では、モルヒネを使うようになったらお終いだ、という考えが蔓延していて、

医師はなかなかモルヒネを使ってくれませんでした。
患者の苦痛をとることより、命を長らえさせることを重んじていました。
キューブラー=ロスの本では、モルヒネを投与して痛みをコントロールした患者の方が、

実は長生きしたと書かれていたのです。
痛みと闘うこと自体が患者の体力、精神力を奪います。

私はこれを読んで、もし、将来、家族が癌になったら、医師がどう思おうと、モルヒネを使ってもらおう。麻薬漬けになってもいいから、痛みをとってあげたいと思いました。
※痛み止めにモルヒネを使う場合は、麻薬中毒にならないことがわかっています。

その後、日本でもホスピスが出来、緩和ケアの重要性が浸透してきました。
しかし、その対象は、癌患者なのです。(正確に言うと、+慢性心不全とAIDS)
神経難病患者にも、いや、その他の病で苦しんでいる方々にも、緩和ケアは必要です。
安楽死の是非を論ずる以上に、緩和ケアの必要性を論じて欲しいです。

 

全ての人が平穏な日々を暮らせますように。
 

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