2月のある日、妹から電話がありました。
母が転倒して左腕を複雑骨折し、救急車で運ばれた病院では、肺癌があるから手術出来ないと言われた。
肺癌でかかっている総合病院で診てもらえと言われたので、一緒にきて欲しいと。

 

医者の言葉は冷酷でした。
骨がグチャグチャになってるから、手術するとしたら何時間もかかる大手術になる。
肺癌があるから命の保証が出来ない。
腕をとるか命をとるかの賭けになるけど、それでも手術する?
もう骨はくっつきません。腕は動きません。
一生、三角巾で腕を釣って暮らしてもらいます。
結局、何の治療も受けず、帰ることになりました。

 

母は、かなり足が弱ってたのですが、それまでは一人で暮らせていました。
転倒したのは、歩行器を使って買い物に出た帰りだったようです。
実家の近くのガタガタの狭い路地で転倒して動けなくなってたところを、郵便配達のおじさんが見つけてくれて、家まで背負ってつれてきてくれたそうです。
腕の骨折の後、母は起き上がることすら出来なくなり、寝たきりになってしまいました。
隣に住む妹が3食運び、オムツを替え、身体を拭いてやってます。

 

とにかく、まずは介護ベッドを入れようと、ゴミ屋敷状態になっている実家を片付けに行きました。
もう履くことはないだろう靴、もう着ることはないだろう洋服、いらないと思うものを、どんどんゴミ袋に入れていきます。

妹と二人で片付けていると、隣の部屋から、ウオウオーという声が・・・。
「お姉ちゃん、お母さんが変」と言って、妹がとんでいきました。
「どうしたん?息出来ないの?苦しいんか?」と妹が母に聞いてます。
「お姉ちゃん、違うわ。お母さん、泣いてるわ」
母は「世話かけてごめん」と言いながら、ウオーウオーと大声をあげて泣いていました。
私は、母を抱きしめながら、
「大丈夫。泣かなくていいから。私らが赤ちゃんのとき、おむつ替えてくれたんでしょ。親子なんだから、心配しなくていいから」そう言いながら、いつの間にか、私も泣いていました。
妹は「息が出来なくなったかと思って心配したんだから」とブツブツ言いながら、呆然と立っていました。

 

私も夫の世話があるので、長時間、家を空けることが出来ません。
幸い、実家まで自転車で行ける距離なので(と言っても30分くらいかかりますが)、ちょくちょく様子を見に行っています。
本当は、デイサービスを頼んで入浴させてやりたいのですが、今、コロナの影響で、新規で受け付けてくれるところはなさそうです。

 

早くコロナが収束しますように。そして、母が平穏に暮らせますように。

 

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