第15回定期演奏会
曲紹介
夢のような庭/清水大輔
清水大輔氏によって「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」へ委嘱されたこの曲は、「ゆめのよう、なにわ」と委嘱団体名をもじっているユニークなネーミングとなっています。
チューニングの音から始まり、自然に曲へと入っていくため、冒頭は指揮者がいないという面白い演出となっています。難解な表現を避け、ストレートに音楽の楽しさ、明るさが追求されており、明るいファンファーレや爽やかで活発なリズムなど、演奏する側も聴く側もどちらもワクワクするような一曲となっています。
レ・ミゼラブル/クロード・ミシェル・シェーンベルク
ヴィクトル・ユゴーの不朽の名作を基にし、世界中で愛され続ける大ヒットミュージカル「レ・ミゼラブル」。その胸を打つ音楽の数々を、日本の吹奏楽界に多大な貢献をした森田一浩氏がドラマチックなメドレーへと昇華させた吹奏楽の傑作です。
本アレンジでは、囚人たちの重苦しい合唱から始まり、「夢やぶれて」「宿屋の主人の歌」「オン・マイ・オウン」など、登場人物たちの喜びや悲しみが吹奏楽の色彩豊かなサウンドで紡がれます。そして、フィナーレに向けて高らかに響き渡る「民衆の歌」の熱狂は圧巻です。
原曲の持つ壮大なスケール感と深い人間ドラマを、吹奏楽ならではの重厚なハーモニーで見事に表現しています。激動の時代を駆け抜けた人々の愛と希望の物語を、どうぞお楽しみください。
LEGEND for Shoichiro Hokazono/Marcel Kentsubitsch
この曲は、今回のゲストでもあるユーフォニアム奏者・外囿祥一郎氏のために、津堅直弘先生(ペンネーム:マルセル・ケンツビッチ)が1998年に書き下ろした作品です。
沖縄の「自然」と「戦争」をテーマにしており、曲は郷愁を誘う沖縄民謡風の素朴な独奏で幕を開けます。しかし、突如として不協和音が鳴り響き、打楽器を伴う轟音とともに、激しい空襲や艦砲射撃を彷彿とさせる地上戦の情景へと一変します。日米両国の旋律が混沌と交錯する中、激しい戦火に翻弄される人々の悲しみが描写され、最後はすべてを包み込むような劇的な終焉を迎えます。ユーフォニアムの柔らかな音色が、平和への祈りを力強く訴えかける一曲です。
管楽器のためのフィナーレ/伊藤康英
今年度の吹奏楽コンクール課題曲である「管楽器のためのフィナーレ」は、交響詩「ぐるりよざ」や「ピース、ピースと鳥たちは歌う」などで知られる伊藤康英氏による作品です。課題曲としては、1996年の「管楽器のためのソナタ」以来、30年ぶりの委嘱作品として注目を集めています。
この曲は、2つの主題が現れ、それがさまざまに変化しながら再び戻ってくる、という3つの構成からなる「ソナタ形式」で書かれています。中間部では、バッハやショスタコーヴィチといった作曲家の音楽へのオマージュも織り込まれ、聴きどころのひとつとなっています。
西洋音楽のようなドラマチックな展開を感じながら、ぜひお楽しみください。
ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ/天野正道
《ラ・フォルム・ドゥ・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ》は、「それぞれの愛の形は万華鏡のように変化する」という意味を持つ幻想的な作品です。繊細に移り変わる旋律や色彩豊かな和声、複雑に絡み合うリズムによって、多様な感情や愛の姿が鮮やかに描かれています。万華鏡を覗いた時のように、次々と表情を変える音楽が聴き手を惹き込み、華やかさと神秘性を併せ持つ独特の世界観を生み出しています。高度なアンサンブル力と表現力が求められる一方で、演奏者と聴衆の双方に強い印象を残す魅力的な作品です。
アルメニアン・ダンス パートI/アルフレッド・リード
吹奏楽の神様と謳われるアメリカの作曲家アルフレッド・リードが1972年に書き上げた曲です。半世紀も前に作曲されたものでありながら、今なお演奏される機会が大変多い名曲です。この曲は5つのアルメニア民謡により構成されています。壮大なファンファーレで始まる「あんずの木」、可愛らしく楽器が掛け合う「やまうずらの歌」、5/8拍子のリズミカルな「ホイ、私のナザン」、ゆったりと豊かに歌われる「アラギアズ」、エキサイティングに駆け抜ける「ゆけ、ゆけ」。曲はまだ先に続くかのような雰囲気で終わりますが、実はアルメニアンダンスはパート1とパート2合わせて4楽章構成の組曲として作られました。パート1が全体の1楽章、パート2の1〜3楽章が全体の2〜4楽章に相当します。パート1とパート2では出版社が異なるため、このように独立した1曲ずつのようになってしまったそうです。
交響曲第3番/ジェイムズ・バーンズ
交響曲第3番は、アメリカの作曲家 ジェイムズ・バーンズが1994年に作曲した吹奏楽のための交響曲です。
この曲は全4楽章で構成されており、バーンズ自身が「これまでに作曲した中で最も感情を消耗した作品だ。副題をつけるとすれば「Tragic」“悲劇的”が相応しく思う。」と述べるほど、多様な感情が描かれた作品です。
本日はその核心部である第3・4楽章をお届けします。
第3楽章は、愛娘を亡くした作曲者の深い悲しみが刻まれた哀歌です。消え入りそうな旋律はやがて慟哭となり、聴く者の魂を揺さぶります。しかし、その静寂を打ち破るように始まる第4楽章では、一転して生命の躍動が爆発します。押し寄せる輝かしい音の奔流は、悲劇を乗り越え、再び前を向いて生きる「希望」そのものです。
「悲劇から歓喜へ」。40分に及ぶ大作のフィナーレを飾る、魂の再生のドラマをどうぞお聴きください。