パストラーレシンフォニックバンド第14回定期演奏会
曲目紹介
■交響的序曲/ジェイムズ・バーンズ
この曲は1991年、アメリカの作曲家ジェイムズ・バーンズにより作曲されました。アメリカ空軍バンドの設立50周年記念委嘱作品であるこの曲は、作曲の依頼を受けてからしばらく進めていた曲を1度ゴミ箱に捨てた後、わずか2週間で完成させたといわれています。
曲は急-緩-急の三部形式で構成されており、華やかな金管楽器のファンファーレで始まり、管楽器や打楽器の明るいサウンドによって進行していきます。中間部は木管楽器のソロを中心に、ゆったりとしたテンポでノスタルジックに展開され、再びテンポが戻り前半の主題が奏でられた後、冒頭のファンファーレを挟み華々しくフィナーレを迎えます。タイトルの通り豪華で演奏会の始まりにふさわしい、吹奏楽の魅力の詰まった作品です。
<トランペット・ソロ>
今年の定期演奏会では、NHK交響楽団主席トランペット奏者の菊本和昭先生にソリストとしてお越しいただきます。指揮は元NHK交響楽団主席トランペット奏者の津堅直弘先生、夢のタッグで3曲お届けいたします。
■ハリー・ジェームスに捧ぐ/岩井直溥
ハリー・ジェームスはジャズやポピュラー音楽で一世を風靡したアメリカのトランペット奏者であり、数多く残された録音は今なお世界中で愛され続けています。この曲は彼の代表作でもある「スリーピーラグーン」「チリビリビン」の2曲で構成されています。
■サンチェスの子供たち/チャック・マンジョーネ(岩井直溥)
ジャズ・フュージョンで全米を沸かせたトランペット・フリューゲルホルン奏者のチャック・マンジョーネにより作曲されました。メキシコの貧困家庭の実態をありのままに描き出したオスカー・ルイス著『サンチェスの子供たち』が映画化された際の主題歌となっている一曲です。彼はこの曲により2度目のグラミー賞を受賞しました。
■大河ドラマ「秀吉」メインテーマ/小六禮次郎(伊藤康英)
1996年に放送された竹中直人主演のNHK大河ドラマ「秀吉」のメインテーマです。この作品は最高視聴率37.4%というNHK大河ドラマの中でも特段の高視聴率を獲得し、作品内で度々登場する秀吉の台詞「心配御無用!」は当時の流行語にもなりました。この演奏を聴いた後には、NHK大河ドラマの曲をもっと聴きたくなっていることでしょう。
■2024年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲より〜マーチ「メモリーズ・リフレイン」/伊藤士恩
マーチ「メモリーズ・リフレイン」は、現役大学生の伊藤士恩氏によって作曲され、今年度の吹奏楽コンクール課題曲に選ばれました。自身の楽器の音色を好きになってほしい、合奏の楽しさを知ってほしいという思いが込められています。タイトルの「リフレイン」は、音楽用語である“繰り返し”と、“思い出を回想する”という意味を重ねたもの。ゲーム音楽やポップスの要素も取り入れられ、親しみやすい旋律が魅力です。曲に込められた思いやメロディの繰り返しによる音の掛け合いに、ぜひ耳を傾けてみてください。
■ラ・メール ~クロード・ドビュッシーのレミニサンス/三澤 慶
トランペット奏者であり、また 作・編曲家として吹奏楽、室内楽、オーケストラの為の作品を多数発表している三澤慶氏が作曲した東京隆生吹奏楽団の2024年度委嘱作品です。
冒頭、フルートの6連符から始まる波の揺らぎに乗せて航海が始まります。寄せて返す波は、決していつも穏やかなものではなく、時に強く激しく形を変えていきます。また、大海原を進む船が突然の嵐に遭遇したり、凪の海での渡り鳥たちとの戯れ、そして水平線に沈みゆく雄大な夕日の情景など様々な景色を曲中で表現しています。
なお、曲中では、交響詩「海」などで知られるクロード・ドビュッシーの作品の中に散見される音階や、和音の特徴的な響きも使用されています。ぜひ、私たちと一緒に海の冒険をお楽しみください。
■シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」/福島弘和
2010年、春日部共栄高等学校の委嘱により作曲されました。作曲者である福島弘和氏といえば、前年2009年に同校の委嘱により作曲された「ラッキードラゴン」が非常に有名ですが、「祈りの鐘」も「ラッキードラゴン」と並び、コンクールや演奏会で取り上げられることの多い人気曲のひとつです。
冒頭の幻想的なチャイムから始まり、木管の旋律が美しい静寂部、疾走感と迫力のある終盤等、5つの構成(テンポ設定)になっており、所々で鐘を連想させるリズムを各楽器が奏でているのが印象的です。
作曲者自身も曲名をつけた理由を、『冒頭や中間部、最後の部分で、「鐘」の音色、旋律が印象的に鳴り響くと良いなと思ったから』と語っています。それぞれの場面を楽しみながらお聞きいただければ幸いです。
■巨人の肩に乗って/ピーター・グレイアム
《巨人の肩に乗って》というタイトルは、1676年に哲学者ニュートンがフックに宛てた手紙の一節「もし私が他の人よりも遠くを見渡せたのだとすれば、それは巨人の肩の上に立っていたからだ」に由来し、アメリカの偉大な金管奏者たちへの敬意が込められています。三楽章構成の本作は、第1楽章でブルックナーの交響曲第8番の第4楽章を思わせる荘厳な金管ハーモニーから始まり、第2楽章ではゴスペル「Steal Away」を基に、アメリカと2人の金管の巨匠たちを追悼。第3楽章では一転して超絶技巧が炸裂し、力強くドラマティックに締めくくられます。緻密さと迫力を併せ持つ演奏をぜひご堪能ください。