少し前のことです。本州最北端のPJと小旅行にいったときのこと。

温泉宿に泊まったのですが、そこで吉次(きんき)の塩焼きがでました。

関東ではきんきといわれる、かさごのような脂の乗った魚で、けっこうなお値段です。

 

皮は脂が浮いていて、でも、養殖の魚のような嫌な脂じゃあないです。

彼女の大好きな、辛口の日本酒をびいどろの盃で舐めるように飲みながら、これからの脂っこい行為のことを考えて、一匹おいしくいただきました。

 

彼女はいつも、低い声を断続的にあげる。クライマックスに近くなると、女の声になるのですが、この変容がどうにも好きでした。

 

帰りに市場の隣にある、汁が売り物の大衆食堂に行きます。ここは彼女が大好きで、特に貝の汁がおいしい。

次はいつ頃来るとか、そういう話をして、もそもそご飯を食べて別れるのですが、この日はお土産を買いに市場に寄るという自分に彼女がついてきてきたのでした。

 

新鮮な鱈、身がまだ透き通っていて、血合いが真っ赤で鮮やかな鱈、そんな鱈でも買って帰って、たらちりにでもして食べようと思ったのですが、彼女はこのカレイおいしいから、食べてみてと2キロくらいの大きなカレイを指しました。表面は、彼女のざらざらするところなんかより、もっとざらざらして、それこそサメのようで、だからサメガレイという名前だそう。

 

吉次よりおいしいから、塩焼きにして、最後にレモンをちょっと絞ってと彼女がいったとおりにしたら、本当に上品な白身で、臭みもまったくなく、おいしかった。そしてすごく安かった。2キロで2000円もしなかったと思います。

彼女は、高くておいしいものではなくて、安くておいしいものをすすめてくれる人でした。

 

それ以来、魚屋で見かけると必ずサメガレイを買います。東京だと鮮度がよくなく、フライにしたほうがいい場合もありますが、鮮度がよかったら塩焼きがおいしいです。

PJにおいしい魚を教えてもらうのも、地方活動の楽しさです。

 

おわり