百合子さんの住む東海の工業都市では、そこらの大衆食堂に「キスフライ」があります。
地方のPJのタバコくさいキスと(シフト制で働く人は喫煙率高い)、ご当地の魚は、地方活動の華と思います。
さて、東海の工業都市の「キスフライ」、どういうものかというと、三河湾でよくとれる「ニギス」という魚のフライです。
天丼にのっているシロギスよりずっと大きくて、安い。
どのぐらい大きいのかというと、痩せたサンマくらいある。なので、フライにしたものが3匹も皿にのれば、お腹いっぱいになります。ちょっと小骨が多いのが難点かな?
ニギスは、白身の魚で味もなかなかよくて、北陸の旅館の朝食には、この魚(北陸ではメギスと呼ぶことが多い?)か、カレイの一夜干しが出ることが多い。つまり、カレイとおなじくらいおいしい魚なのです。
珍しく、ニギスのフライを帝都の食堂で見かけました。
さっそく注文。
思えば、マヨエールの地方の食の知識は、ほとんどがPJからです。
PJに教わった地方グルメ、と題してYoutubeチャンネルでもやったら人気になるかな、なんて考えてみます。
鰺ヶ沢でたらふくヒラメのフライを食べたあとは、黒石の温泉付きラブホなんて、けっこう人気出るのではないのかな。
そんなことを考えているうちに、ニギスフライが。
でも二匹です!
これはどういうことだ!
東海の工業都市では、最低三匹だというのに!
気を取り直して、ニギスフライを食べます。辛子をべったり一面に塗って、ソースをかけるのがコツなのですが、辛子がついていない。はじめての食堂で辛子を頼むのも何なので、この食べ方は断念です。
小骨がやたらに気になる。百合子さんのねっとりした身とは違う。
もう記憶のかたすみにしかない、名もなき地方のPJたちのような味でもあります。抱くと骨にあたるような、そんな感じの記憶がふっとよみがえります。
たしかにおいしい魚なのだけれど、小骨のほかに、味が少し淡白すぎて、やはり調味料が必要です。
三河湾のニギスは、大味になりがちなのかも。北陸の、日本海のものは、小ぶりでおいしいのですが。
さすが帝都。衣が黄金色できれいです。油が新しいのだろう。
工業都市の大衆食堂は、肉をたくさん揚げるからか、油が傷むのがはやく、衣が茶褐色なんですよねえ。
酸化した高級脂肪酸、おばさんのにおいのするニギスフライは、マヨエールの好物ですw
黄金色の衣のフライより、工業都市の大衆食堂のフライだな。
工業都市では、今日も朝から、夜勤明けの人たちが、ニギスフライに辛子をべったり塗って、ビールを飲んでいることでしょう。
百合子さんとはいつどうなるかわかりませんが、マヨエールはニギスという魚が大好きです。
おわり