Mさんの就職先は、名前こそ立派なものの、ザ・昭和の中小企業で、官公庁からの仕事がずーーっとあるからなんとか存続しているような、そんな会社だった。古参社員は、新聞各紙を読み終わるとランチにいって、そのまま行方不明。
中堅が馬車馬のように働くが、数年で馬鹿らしくなりどこかに出奔するので、新人のMさんにも、いきなり重要な仕事が降り掛かってきた。これは、チャンスか、はたまた!?
PJに昇格したMさんと、下町の焼き肉屋に。黄色い看板の、北朝鮮系の老舗である。
味はいい。そして安い。注文を受けてから、板前が肉を切り、その場でちゃちゃと調合したタレと合える「一本漬け」をいまだにやっている立派な老舗だ。叙々苑でも今もこれをしているかどうか。料理に罪はないのだ。
前回交わったときに、埼玉の女のにおいがしたので、ろくなものを食べていないのだろうと、少し奮発することにした。そして、大人会。(もうPJだからね・・・)
ロース、ミノ、ホルモン、どれも見事に包丁が入って、よくタレとからんでいる。煙をもうもうとあげながら、久々に肉を貪り喰った。
「ウチの手取り、19万なんよ」
「ええー、それでそんなに仕事させられるの? 」
「外食ばっかりになって、貯金もできないし」
「君はまだまだだね、外国人研修生たちのたくましさ、見たまえ。そのへんのどぶ川の鯉食ってるだろ」
自分はMさんと何回も「パコった」。この言い方は本当に下卑ていて、それを彼女はよく使うので
やまとことばでは、目合(まぐわい)とか、枕を交わすとかいうんだ、言葉使いをもっと学ばないといいPは捕まらないぞw と自分は言ったw
大人会の翌日、自分はMさんの住む埼玉の街の商店街に連れ出して、魚屋で発泡スチロールの容器をいくらかもらってきた。
そして、Mさんの狭いアパートの庭に並べて、傘の先で突いて、ボコボコ穴をあけた。
「そのへんの駐車場で砂利とってきて」
呆れた顔のまま、Mさんは砂利をとりにいった。埼玉の駐車場にはまだ砂利があるw
砂利を発泡スチロール箱の底に敷いて、ホームセンターで買ってきた培養土をどばーーっと入れた。
「さあ、できた。これで野菜を育てられるだろ」
あきれた顔のMさん。
「発泡スチロールって・・・」
「これでも育つんだよw 成城石井の野菜は高すぎるだろ?」
「ウチもっとおしゃれな菜園がいい・・・」
「なんだ君は! ソ連崩壊後のキューバの都市菜園のことを学校で習わなかったのか! 化学肥料、除草剤、いつ切られるかわからないP、そういうものに依存していると、いざというときに困窮する。でも君には、どぶ川の鯉はまだ無理だろ? こういうところから、がんばっていかないと!」
Mさんはドン引きした表情で、自分を見つめた。
結局のところ、マヨエールはまだPとして甘いのだ。もっと極上のPJにリソースを集中するべきなのに、貴重な時間を発泡スチロール菜園に使ってしまう。
でも、情を交わした女なのだ、彼女は。もっと、都会でたくましく生きていく術を教え、いいPに釣り合うPJに育ててやらねばという、こちらなりの気持ちもあった。(Jさんのような強いPJならここまでしないw)
作業のあと、Mさんのアパートでまた交わった。
剛毛は剃られていなかったw
脚を絡めたときに、じょりじょりとした感覚があり、それにもまた興奮したのであった。