これは、ある男が己の未熟さから、禍々しいものを世の中に放ってしまった話である。
マチアプで知り合った宮城の学芸員さん。
プロフよし、メッセージよし、潜在的PJ度高し、ということで、キモ長文メッセージでさっそく会う約束をして、2日連続デート。
ちなみに、サマヨエールはイケオジPの皆様のような魅力もなければ、弾薬も無尽蔵というわけではないので、メッセに全力を投入するのである。
太Pと同じ土俵で戦ってはならない。
お相手の専門分野のことを勉強する、詳細なフィールドがわかれば最新のトレンドもおさえておいて、それをキモ長文メッセの中でにおわせることで、ああ、この人なんか違うわ! 10馬身くらい抜けてる! という感触を持ってもらい、健全崩しからの大人会というゲスい技を得意としている。
そして会った宮城の学芸員Sさんは、細身、巨乳(個人的にはあまり好きではない)、知的、まあ申し分のない方なのであった。
ただ、手の感触がどうもしっくりこなかった。親に愛されて育ち、感情の安定した女性特有のあたたかさがなく、爬虫類のようなざらついた感触であったのだ。まあ、寒いからかな、くらいにそのときは思った。
2日連続でデートして、大人会の約束をして、その日は来た!
蔵王にでも泊まりで行こうということになっていたのだが、ここでサマヨエールまさかの食中毒。悪い貝(そちらではない)にあたったようで、Mさんとの旅行はリスケになった。
2日間のデートの中で、運動エネルギーも、位置エネルギーも失ったMさん、こちらは優位を保ったまま彼女の背後について、トリガに指をかけている、いつでも撃墜できる、そういう余裕が、宮城マチアプ界でも有数の茶飯嬢を爆誕させるきっかけになったのであった。
Mさんはもう手のうちだもんねー、と余裕をぶちかましていた自分は、他の地方都市の開拓に乗り出して、あっという間に半年が過ぎた。
その間、まだこの世界を知らなかったMさんは、茶飯で高額報酬がもらえる(巨乳で細身だからね・・・・)ということに気がついてしまった。
たしかにMさんの容姿は、百鬼夜行の蠢くマチアプでは抜けていたし、P活の世界に進出したとしても、地方ではトップに入るであろう。
大人会を匂わせて、数回会って、フェードアウト。彼女は、この黄金パターンを見つけ出したのだった。
あまたのスケベ親父が、ゲスい望みをもってMさんに突撃し、数回の茶飯で終了。
Mさんは某掲示板で「茶飯◯食」と呼ばれるようになり、いくつものアプリに登録するようになった。
あの、知的な学芸員のおもかげはどこにもなく、胸を強調したポーズの写真、整形したっぽい鼻、そして27という年齢はいつの間にか25に。
お久しぶりです、お元気ですか? 久々にお茶でもしませんか、とLineをしたところ
「どれくらいサポートしていただけますか?」
というメッセージ。サポートってなんだよ! あの2日間、たしかにあなたには財布を出さないでいいようにしたけれど、いきなりサポートしろという返信はあんまりだ。元気です、そちらはどうですか? くらい返信してもいいだろう。すっかり興ざめしてしまったが、一回会った。
そこには、かつての学芸員Mさんはおらず、魂のないサイボーグのような女がいるだけなのだった。
ちゃんとした封筒を使う派のサマヨエールなのだが、そっけない茶封筒に入れて「サポート」の代金を渡した。
Mさんは、すぐに封筒の中身を確かめた。
いけるときにいかないとダメ、というよりも、あのとき彼女の手に感じた違和感、ざらざらして冷たい、というところで、引きかえしておくべきだったと思うサマヨエールなのであった。
うろたえるな! これが地球の茶飯◯食というものだ!