沖縄は、かつてのアジアのように、昼間からだらだらして働かない男の尻を蹴飛ばして、真面目に働く女性たちが健在だ。


そのせいか、女性は男というものをあまり頼りにせず、自ら生きていかねばと若いうちから考えるようである。


海外マチアプで知り合ったMさんは、元アメ女(米軍の軍人専門のこと)で、その活動に見切りをつけて大学に入ったという変わった経歴の持ち主だった。はじめは、お互いに日本語でやりとりしてなかったかもしれない。大学院生というわりには、品性のない、語学学校上がりみたいな英語だなあと感じていたのは、彼女の元アメ女という経歴によるところが大きいのかもしれない。


軍人といっても、下士官(non commissioned 通称ノンコム)と士官(commissioned officer)の間では、天と地の差がある。

育った環境も、人格も、教養もまったく違う。アメ女は、ノンコムなんかありえないと上をめざすのだが、しっかりとした家庭で育ち、地元の高校ではスターで、みっちりとリベラルアーツを士官学校で仕込まれた米軍士官とアメ女の間に、肉体以上の会話が成り立つのは、よほどのエピソードでもないと難しいのではないか。


Mさんは、これではノンコムと一緒になってモンタナのトレーラーハウス暮らしの将来しかみえないと、大学進学したのだった。


場末の食堂で、Bランチを一緒に食べた。Mさんは、小柄ながらも気の強そうな、いかにもアジアのおかみさんという風格があった。


このランチというのは、古い洋食屋にあるような、フライ盛り合わせにご飯とナポリタンがついているようなもので、内容によって、Aランチ、Bランチ、Cランチとわかれる、沖縄の伝統的?な洋食プレートだ。


自分の友人に、ウエストポイント出身者がいるので、彼らが学校で仕込まれる「垂直食べ」を真似して見せた。いっさい下を向かない。(彼はすさまじい紳士で、ときおりギリシャの古典を引用する教養人である。)


「こうやって毎日食べるの仕込まれて、軍事学のほかに、リベラルアーツ仕込まれて、あと育ちもクソいいだろ、士官は。あと多分、本国に本命いるよ。」

「うち、ノンコムはもういいんよ、つーかもうアメ女じゃないし!」

じゃあなんで、海外用マチアプにいたんだよw と笑いをこらえて、おしゃべりを続けた。


ちなみに、マチアプ界の先鋭的なエロ親父は、中華SNS(WeChatとか)に潜入し、技能研修生を狙うらしいw (エロが語学習得のモチベなのかも。)


「まあ、まあ、ほかに、沖縄のおいしいもの教えてよ。俺、なかみ汁というのを食べてみたいんだ。」

アメ女じゃねーし!とブチ切れていたMさんの顔は晴れて、なかみ汁、よく知ってるね!と、この後が楽しみな展開になってきた。