衆議院の決算審議は4年度決算まで進捗 | 公会計の動向

衆議院の決算審議は4年度決算まで進捗

 2024年は衆議院の決算審議で進展が見られた。積み残されていた令和2年度決算、3年度決算、4年度決算を一括して審議し、6月17日に決算行政監査委員会で議決し、同18日に本会議で次のとおり議決した。

 本院は、各年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。

 一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。   

 次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。  

 1 予算への多額計上が常態化している予備費については、予備費使用額を財源とする予算の大半を翌年度に繰り越している事例や国会開会中、特に年度末に使用決定が行われていることに加え、多額の不用額を生じさせており、このような財政運営を改めるよう努めるべきである。    

 本院における決算の議決や審議内容が、次年度以降の予算編成に反映され効率的で適切な予算執行につながるよう迅速かつ適宜適切な決算審議の実現に向けた取組に一層協力すべきである。    

 公益事業については、国の財政歳入百兆円に加え、個人の金融資産を活用したインパクト投資や公益法人・NPOなどの新しい公共による課題解決を目指し、そのための寄附制度、税制や金融政策等の見直しを検討すべきである。    

 税と社会保障費の負担については、可処分所得の増加によって我が国の経済成長を加速させるため、適切な国民負担の在り方を検討すべきである。  

 2 被災者の避難先での支援については、避難先とのつながりが復興時の連携に果たす役割を考慮し、被災者に対する被災地、避難先の両地域での適切な支援が受けられるよう二地域居住対策を講じるべきである。 

 3 消防団員の確保については、処遇改善や企業の理解促進を図るとともに、消防団員に準中型免許制度の新設に伴う負担を軽減するなど、地域防災力強化のための連携した対策を講じるべきである。  

 4 外国人材受入れの課題については、今後外国人材を受入れて、定着を促そうとしている自治体に対し、多言語翻訳サービスの導入、日本語教育の充実や居住環境整備をはじめ、地域での共生社会に向けた取り組みを支援すべきである。  

 5 SDGsについては、目標達成への進捗が遅れている分野を中心に、具体的なアクションプランを策定するとともに、外交面において、我が国は途上国支援だけでなく、ポストSDGsに向けた国際的な議論に主導権を発揮すべきである。  

 6 厳しい教員不足の状況については、教師の処遇改善や選考時期等を工夫するとともに、情報リテラシーや生成AI、データ活用などの新しい教育分野に必要な教員の人材確保を図るべきである。    

 また、給料を含めた再任用教員の処遇改善に取り組むとともに、教員志望者を増やすために効果の出ている好事例を横展開するなど、適切な措置を講じるべきである。  

 7 緊急小口資金や総合支援資金については、その償還等が困難な者に対する継続した支援や相談など丁寧な対応を行うべきである。    

 被災地におけるリハビリテーション職種の活動支援については、自治体と保健医療専門職団体との平時からの連携強化を促し、被災地での介護・福祉人材の迅速な確保やロジスティクス業務への支援の在り方を検討すべきである。  

 8 総合食料自給率については、数値目標を政策評価の対象とした上で、食料安全保障の観点からその達成状況について検証する仕組み作りの検討を進めるべきである。    

 農業政策については、次世代の農業者を確保するための方策として、就農や経営に係る資金的支援、相談体制の整備及びロボットや水管理システム等を活用したスマート農業の推進を実施すべきである。  

 9 我が国のエネルギー政策については、今後の電力需要増加を見越した上で温室効果ガス削減目標の実現を図りながら、太陽光発電設備の諸問題や賦課金値上げへの対応を強化しつつ再生可能エネルギーの導入を促進すべきである。    

 中小企業、小規模事業者の脱炭素化については、既存の補助事業の対象外となっている事業についても支援や補助が受けられるようにするなどして、脱炭素に係る事業に安心して取り組める環境を整備すべきである。 

 10 財政支出の削減については、公共施設の長寿命化やかかりつけ医制度など、予防的な政策に積極的に取り組み、そのために必要な資金を調達する財政スキームを検討すべきである。また、治水対策についても、流域治水の考え方を取り入れ、地元住民の調査や意見を踏まえ適宜見直すべきである。    

 少子化対策下での国土形成については、出生率の低い自治体から高い自治体への移住を促進する施策や、地方移住者等を就農に結び付けるため、当初は身分保証をする農業公社のような施策を検討すべきである。 

 インバウンド振興については、訪日外国人旅行客の旅行消費の拡大を促進するのみならず、我が国の伝統工芸品や特産品等のプロモーションにつながる事業を推進すべきである。  

 11 在日米軍の施設区域にあるPCB廃棄物については、我が国が一部費用負担し処理しており、早急に全てを処理する必要があることから、処理方法を検討すべきである。

 二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。   

 政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  

三 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。  

 政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。