11月分交付税支払延期への対応 | 公会計の動向

11月分交付税支払延期への対応

 朝日新聞サイト鳥取ページが11月7日に掲出した「県、自治体に融資 」〔佐藤常敬〕は、赤字国債を発行するための特例公債法案の成立が遅れ、同国債を財源とする政府の地方交付税の11月分の交付が見合わされたことを受け、鳥取県が資金繰りに苦しむ県内の自治体に対し、「県市町村資金貸付基金」から一時的に資金を支援することを決め、平井伸治知事が6日、定例の記者会見で明らかにしたと報じる。県財政課によると、基金から最大約80億円の枠で、希望する自治体に低利で貸し付けるとのこと。今回、県は市場金利よりも低利な年利0・3%程度で融資することを予定しているとか。年4回に分けて支払われる交付税のうち、11月の予定額は県分が約340億円、市町村分が約214億円で、県は保有する現金に余力があるため、年内は資金繰りの心配はないとのこと。しかし、市町村の中には、手持ちの現金の不足などから既に、金融機関からの一時借り入れに踏み切ったところもあり、米子市は10月末に約10億円を金融機関から借りていて、同市財政課の担当者は「市民生活に影響を出さないための措置だが、本来的には発生しない金利負担のことを考えると憤りを感じる」と話しているとか。平井知事は会見で、「国のごたごたを自治体の財源の蛇口を止めることで処理しようとしている。財源を保障する立場の国家がすべきことではない」と批判したとのこと。


公表資料:知事定例記者会見(2012年11月6日)


 読売オンライン兵庫ページが11月7日に掲出した「県内市町、悩む資金繰り 特例公債法案成立遅れ 」は、赤字国債発行に必要な特例公債法案の成立が遅れている影響で、国から自治体への地方交付税交付金の支払いが滞り、県内の市町でも資金繰りに追われていると報じる。読売新聞が県内41市町に尋ねたアンケートでは、32市町が財政調整基金などで一時的に立て替える「繰り替え」を行うなど資金調達を余儀なくされており、財政担当者からは「国政の混乱を地方に持ち込まないでほしい」と憤りの声が上がっていると記事は伝える。地方交付税交付金は、自治体間の財政の均衡を図るために人口などに応じて国が配分するもので、交付は4、6、9、11月の年4回だが、今月2日に支払われるはずだった11月分は、道府県分、市町村分とも延期されたままとか。県財政課などによると、今月の交付予定額は県が765億円、市町は718億円で、交付額が予算の49%を占める香美町を最大に、市町平均で12・7%を占める重要財源であり、担当者は穴埋め策に奔走しているとのこと。読売新聞が各市町に、交付遅延に伴う資金不足の補填策を複数回答可で尋ねたところ、▽財政調整基金などの繰り替え(27市町)、▽金融機関からの借り入れ(6市町)、▽地方債発行(3市)、などが挙がっているとのこと。約6億円が不足する神河町は基金繰り替えに加え、金融機関から4億円を借り入れ、宝塚市は基金繰り替えと来年3月予定の地方債発行を年内に前倒しする意向とか。6億円が交付されていない小野市は、遅延が続けば12月10日の職員ボーナス支給を年明けに先送りする方針を表明しており、12月分の職員給与などと合わせた5億円が不足する見込みの猪名川町は、定期預金を取り崩して不足分を賄うといい、自治体は「しなくてもいい苦労で翻弄されている」と政府への不満を募らせていると記事は伝える。一方、財源にゆとりがあり、当面の対策を見送った自治体も、神戸、明石各市など5市町あったとか。現時点で、交付金遅延による事業への影響は出ていないが、「基金の残高が過去最低水準になる」(豊岡市)との声や、複数の自治体から基金繰り替えで利子が逸失されるなど財政悪化を懸念する声も出ているとのこと。県財政課の担当者は「いつになれば、いくら交付金が入るかも分からず、最悪の事態を想定しようにも不確定要素が多すぎる」と頭を抱えていると記事は伝える。