林業公社解散論
MSN産経ニュースは3月17日に「林業公社って必要? 長期債務総額1兆1794億円 」を掲出。
記事は、都道府県が設置する全国40の林業公社の長期債務が平成20年3月時点で総額1兆1794億円に上り、返済困難になっていることが、農林水産省と森林整備法人全国協議会の調査で分かったと報じる。莫大な借金はさらに増加傾向にあるが、国は「誰も手入れしない森林を公社が管理し、荒廃を防いでいる」と存続を主張しているが、都道府県では「これ以上、赤字を増やされてはかなわない」と、解散する動きも広がりつつあると記事は伝える。林野庁によると、林業公社は、民有林を管理し、育てた木材を伐採・売却して収入を得ている公益法人で、設立時の資金は都道府県が出資しているが、原則として自治体の収支とは別会計で、木材収益で独立経営を行うことになっているとのこと。しかし、最近では収益が伸びず、多くの公社では運営費を借金で穴埋めしており、原因は、木材価格の長期低迷で、外国から安い木材が流入したため、国産木材の価格は昭和58年ごろのピーク時と比べて7~8分の1程度になっていて、その結果、公社の木材収益は落ち込み、債務が膨らんだとの由。現在、長期債務がないのは40公社のうち2公社だけで、34公社は債務が100億円を超え、多くの公社は「現状の木材価格では、とても返済できない債務レベル」(林野庁)とか。2つの林業公社を持つ滋賀県では債務の合計は1080億円にもなるとか。債務のほとんどは政府系金融機関と設立主体の自治体からの借金で、返済見通しのない公社に、多くの公費がつぎ込まれている形だが、それでも国や多くの自治体は存続を主張するとのこと。その理由を林野庁は「誰かが森林を管理しなければ、自然環境悪化や山崩れなどの原因になる」と説明するが、存続派の自治体には天下り先の確保という思惑もありそうと記事は評する。国は、政府系金融機関からの貸し付けの返済期間を20年延長し、年間20~50億円の税金を投じ利子支払いも補助していて、政府系金融機関に新たな貸し付けも行わせ、存続を後押ししているとまこと。これに対し、一部の自治体では数年前から「このままでは債務が膨らむばかり」と、公社解散を求める声が高まっており、岩手と大分両県は計約820億円の債務を抱えた公社を実際に解散、神奈川県も22年度には解散する方針とのこと。各県の担当者らは「公社を解散し、自治体が直接、民有林を管理すれば、山は荒れないし、人件費などの費用を削減できる」と主張しているとか。ただ、公社を解散しても借金が消えるわけではなく、自治体が背負わなければならず、自治体が貸し付けた資金も返済されないが、それでも神奈川県の担当者は「返済のあてがないなら、今でも実質は県の借金のようなもの。公社という別会計組織に借金を計上して、隠れ借金になるなら、解散した方が財政も健全化する」と話しているとか。