市税事務所を設置し始めた指定市
朝日は1月5日に「指定市が独自「税務署」続々立ち上げ 徴収率アップ狙う」〔寺西哲生〕を掲出。
記事は、全国の指定市に、独自の「税務署」を設ける動きが広がっていると報じる。19年秋に大阪市と神戸市が設置したのに続き、北九州市が今月開設するほか、今後3年で札幌、川崎、名古屋の各市が検討中とのこと。区役所ごとに行っていた徴税業務を市税事務所に集中させることで、人件費削減と徴収率アップの両立を狙うものであり、不況で地方税収が大幅に減り、徴税の重要度が高まっていることも拍車をかけると記事は伝える。大阪市の船場法人市税事務所(中央区)の滞納整理担当者(42)は「徴税能力は区役所時代に比べ確実に上がっている。今後は能力の高い府税、国税とも良い勝負ができる」と語っているとか。同市は19年10月、市内7カ所で市税事務所を立ち上げ、これまで24区の税務課が行っていた徴税や賦課業務を集約したが、同市によると、分散していた人員を集中することで徴税能力が高まる利点があるとのこと。例えば、税金を滞納した企業が倒産した場合、府税事務所や国税局よりも早く企業や企業の支店、法務局などにかけつけ、不動産や預金などを先に差し押さえられるかが勝負になり、船場法人市税事務所では、区の税務課職員を集約させることで、倒産情報をキャッチしてすぐ、10人以上が一斉に動けるようになったとか。同市全体の差し押さえ執行件数は19年6~11月に2582件だったのが、20年6~11月では9093件と3.5倍に跳ね上がっており、担当者は「滞納者に対しても、市民サービスの前線基地である『区役所』を名乗るのと『市税事務所』を名乗るのでは与える圧力が全然違う」と話しているとのこと。本庁内に滞納整理業務などを集約させた神戸市も、19年9月に設置してから一定の効果を上げているとか。先進地の実績を受け、ほかの指定市も続々と後に続いており、22年4月に市内3カ所での開設を目指す名古屋市は、11年度から減り続けていた未収額が19年度に増加に転じていて、新年度は、「トヨタショック」による税収減を約300億円と見込んでおり、徴収率向上は緊急の課題とか。同市では、全体の2.4%の滞納者が滞納額の41.5%を占めていることから、高額滞納に特化したチームの立ち上げも検討しているとのこと。北九州市は今月開設していて、7区を市内2カ所に集約しており、札幌市は22年秋に、川崎市も23年10月の立ち上げを検討しているとのこと。背景には19年の税源移譲もあり、所得税(国税)の一部が住民税(県、市税)に移され、県や市町村が徴収する税額が増えており、また、不況により自治体の職員削減が進んでいて、効率化も求められるとか。一方、集約化により、サービス低下を指摘する声もあり、名古屋市は1138人の税務職員を2割削減し、21億円の人件費削減を見込むが、「職員が減ることで窓口対応がおろそかになるのでは」との指摘も上がってて、同市は督促業務の外部委託や税務証明の発行業務を区役所にも残すなどしてサービス維持を図る考えと記事は伝える。