自治体の財政状態について新指標
12月7日付け日本経済新聞朝刊3面に「自治体の破綻防止、財政4指標に公表義務――総務省方針、年明けに法改正案」の記事。
記事は、総務省が地方自治体に財政状況を示す四つの指標の公表を義務付ける方針を固めたと報じる。財政破綻の判断基準となる実質収支比率など既存の2指標に加えて、一時借入金の状況や地方公社、第三セクターの経営状態も把握できる新しい2指標を導入し、住民が自治体財政を監視しやすいようにして、財政悪化の初期から自治体に再建を促すとのこと。地方自治体の再建法制の見直しを進める総務省研究会が8日公表する最終報告書に盛り込むと記事は伝える。総務省は年明けの通常国会に地方財政再建促進特別措置法の改正案を提出するが、早ければ各自治体の20年度決算から、指標の公表が義務付けられる見通しとか。地方財政の健全さを計る既存の指標には「実質収支比率」と「実質公債費比率」の二つがあり、実質収支比率は標準的な自治体の財政規模と比べた実質収支の赤字額の割合を表すもので、現行法制では赤字比率が一定水準を上回った際、自治体は自主再建か国の管理下で再建を進める財政再建団体への移行かを選ぶことになるが、同収支比率は一般会計と特別会計を合わせた普通会計が主なカバー対象で、観光や公共交通など不採算事業を抱えることが多い公営事業会計は一部だけが対象となっており、財政破綻した北海道夕張市が赤字隠しに使った一時借入金も把握しにくいとのこと。総務省が地方債の発行を認める目安として18年度から採用している実質公債費比率は、自治体の債務負担の重さを示す指標で、公営事業会計などは含むが、自治体の財政悪化の原因となることが多い地方三公社(土地開発・道路・住宅供給)などは対象外とか。こうした既存指標の弱点を補うため、総務省は年度ごとの資金の流れを示すフローの指標と、積み上がった債務の多さを示すストックの指標の二つを新たに導入することにしており、新指標の詳細な仕組みは今後詰めるが、フロー指標では収支悪化が指摘されがちな国民健康保険や介護保険事業も対象にし、財政悪化の兆しをつかみやすくし、ストック指標では、財政規模に対する将来の債務負担の割合などを示せるようにするとのこと。三セク、地方公社、地方独立行政法人など地方財政にかかわるすべての会計を対象とし、債務の全体像を把握できるようにするとか。総務省は指標悪化に応じ2段階で再建を促す早期是正措置も導入。四つの指標のうち総務省が定める基準を一つでも超えた場合、まず自主的な再建を促し、それでも財政悪化が止まらず指標が悪化し続ける場合に、国などの関与の下で強制的に歳出削減を進めさせるとか。
同面の「自治体の破綻防止、財政4指標に公表義務――債務減免は先送り、制度改正課題残る」は、昭和30年の制度創設から1度も大幅な制度変更がなかった、地方自治体の財政再建団体制度が来年から見直され、総務省の研究会がまとめる新しい再建法制の案は、四つの指標を設け、財政悪化の初期から自治体に経営健全化を義務付けるのが特徴だが、債務の減免問題などの結論は先送りとなり、残された課題も多いと評する。現在の財政再建団体制度は、あくまで自治体が自力で債務を返済することが前提だが、巨額な債務を抱えた場合、行政サービスを維持できなくなるため、債務を棒引きしたり一部免除したりする債務調整の是非も焦点の一つとなっていたとか。研究会が結論を先送りしたのは、導入すれば金融機関に動揺が広がり、財政力の弱い自治体の資金調達に影響を与えかねないためで、研究会は国から地方への税源移譲など分権改革が進み、地方債が完全に自由化された段階で導入を検討していく、としているとのこと。しかし債務調整の実現のハードルは高く、債務調整する場合、裁判所が自治体の再生計画を認可できるのか、借換債も対象とするか、など課題は山積しているとか。研究会は引き続き債務調整の議論を続け、4月以降は、国と地方の役割分担を議論する地方分権改革推進委員会に委ねる考えとか。金融市場にも影響を及ぼす問題だけに、関係者の議論を呼ぶことになりそうと記事は伝える。