3大金融グループへの公的資金注入による株式売却益は約1兆円
10月18日付け日本経済新聞朝刊4面に「公的資金完済で攻め、3大銀、海外投資拡大、納税再開なお先、国の株売却益1兆円」の記事。
記事は、三井住友フィナンシャルグループが17日、国から資本注入されていた資金5百億円を返し終え、3大金融グループが公的資金を完済したと報じる。国の経営関与でリストラに追われてきた3大グループは国内外で「攻め」の経営戦略に軸足を移すが、厳しい貸し出し競争など先行きの収益環境は楽観できず、法人税の支払い再開にもまだ4―5年かかるとみられるとのこと。9月末から三大グループが相次いで開いた秋の部店長会議で、各行首脳は公的資金完済後の経営方針として、不良債権処理や経費削減に追われた最近数年間とは対照的に、前向きな戦略を多く盛り込み、「邦銀随一の国際展開力を顧客に役立てる」(畔柳信雄・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)、「世界のメガバンクに羽ばたけるか、今が分岐点」(斎藤宏・みずほコーポレート銀行頭取)、「公的資金の完済は一つの区切りでゴールではない」(三井住友銀行の奥正之頭取)と訴えたとか。縮小続きだった海外事業を中心に動き出しており、みずほは11月にもニューヨーク上場を果たし、米国で金融持ち株会社の設立を狙い、三菱UFJは中国の大手銀である中国銀行に出資して有望市場で手掛かりをつかみ、公的資金の完済で一歩遅れた三井住友も今月、リース事業の再編・強化で先行していて、来年には米金融持ち株会社の設立認可を得たい考えとのこと。一方、課題も山積しており、各グループにとって現在シングルA格の財務格付けを「一流銀行」の証しとなるダブルA格に引き上げるのが悲願で、格付けは海外事業の利益を左右するためだが「(格上げには)利ざやの薄さや収益源の多様化など収益力に課題が残る」(スタンダード・アンド・プアーズ)とか。3大グループへの国の資本注入額は約6兆6千億円に達したが、業績回復で銀行の株価が想定以上に上昇したため、3大グループ合計で国が得た株式売却益は約1兆円にのぼったとか。3大グループが今なお「半人前」の評価のままでいるのは、不良債権処理の過程で発生した税務上の累積損失が残るために法人税を納めていないのが一因で、尾身幸次財務相は17日の記者会見で「当面、銀行からの税収増にはつながらない」との見通しを示したとか。納税再開は2010年3月期以降になりそうとのこと。株主への利益還元策も他業種に比べて見劣りし、三菱UFJは現在、一ケタ台の配当性向を将来は30%以上に引き上げる考えだが、こうした課題を着実にクリアしていかない限り、3大グループが一人前扱いされる日は遠いままと記事は評する。