民間の活用を図る都市部の自治体病院と集約を図る地方の自治体病院 | 公会計の動向

民間の活用を図る都市部の自治体病院と集約を図る地方の自治体病院

 9月8日付け日本経済新聞朝刊5面に「半ばの改革(4)傾く自治体病院――迫る効率化、民育成カギ(公共を競う)終」の記事。

 記事は、戦後各地にできた自治体病院がこのところ振るわず、都市部を中心に民の存在感が高まっていて、全国にざっと1千施設、全体の1割ほどを占めるものの、6割が赤字で、これまで、経営が悪くても自治体が補助金でテコ入れしてきたものの、小泉内閣の地方財政改革で交付金が減り、余裕がなくなっていて、自治体がようやく再編や経営効率化に動き出したと報じる。福岡県では、今年度末に病院事業から事実上撤退することにしていて、昨年4月に三つの県立病院を民営化や民間委託し、残る2病院も現在、売却先の選定作業を進めているとか。「県立でなければならない必然性に乏しい」と県知事の麻生渡(67)が決断したとのこと。民間病院に押されていることが背景で、県立が強かった10年ほど前、救命救急センターとして参入した北九州総合病院の副院長(62)は「民でできることは民でと考え、医療を担ってきた」と語っており、いまや民の中核病院は22に増えて勢力図を塗り替えているとか。神奈川県では病院事業庁長に民間病院の経営経験がある人物(66)を充てて昨年度から大胆な改革を進めており、高度ながん治療のサービスを提供する県立がんセンターでは、これまでメスやガーゼなどの手術用具は院内の様々な場所に在庫しておき、手術前に職員が1時間かけて一つ一つそろえていたが、それを外部業者に全面委託したとか。患者ごとに異なる用具を事前にパックにして借りるようにし、在庫管理費ゼロなど経費の削減効果は年1500万円で、準備時間も不要になり人件費も圧縮できるとか。昨年度は赤字転落懸念から一転、黒字上乗せに成功したとのこと。神奈川でも民が攻め込んでいるが、庁長は「がんの放射線治療などまとまった投資が必要な高度医療や、担い手の少ない小児科などでは、官の役割はまだある」と語っており、リストラで筋肉質にしながら存続をめざすとか。「官から民へ」の流れが加速してきた都市部とは異なり、人口減が激しい地方の青写真はまだ描けていないと記事は、青森県五所川原市立西北中央病院の院長(64)が「県内にもかつて全国展開する民間医療機関が大型病院を開いたこともあったが一年で撤退した。自治体病院を売りたくても手を挙げてくれる民間は見あたらない」と苦笑いすると伝える。青森県は人口十万人あたりの医師数が16年に164人と全国平均の201人を大幅に下回っており、県健康福祉部課長(55)は「地域医療を空白にはできない。自治体病院の役割はここでは大きい」と語っているとか。県は11年末から県内を6地域に分けて医師を集約し、高度医療を展開する中核自治体病院を育てる再編策を進めており、他の自治体病院は入院ベッドを減らして診療所への転換を進めているとか。市立西北中央病院を中核とする「西北五地域保健医療圏」では地域のベッド数をいまの約1千床から23年度をメドに8百床程度に減らすかぜ、それでも黒字転換は遠いとか。