金融機能強化法に基づく公的資金の申請 | 公会計の動向

金融機能強化法に基づく公的資金の申請

 8月29日付け日本経済新聞朝刊7面に「公的資金、優先株で300億円前後――紀陽HD、来月上旬に申請」の記事。

 記事は、紀陽銀行(和歌山市)と和歌山銀行(同)を傘下に持つ紀陽ホールディングス(HD)が28日、9月上旬に金融機能強化法に基づき公的資金の注入を申請すると発表したと報じる。金額は3百億円前後で、傘下の2行が合併する10月10日までに金融庁の認可を得て、優先株で年内に注入を受けるとのこと。同法の初適用となる見通しで、今後同法の活用が広がり、地域金融機関の再編が加速しそうと記事は伝える。大阪市内で会見した片山博臣・紀陽HD社長は「自己資本の健全性に懸念はないものの、リスクを取って貸出資産を増やすのには十分でない」と説明し、「内部留保で資本を積み上げる手もあったが、競争が激化するなかで猶予はなく、公的資金で時間を買う決断をした」と述べたとのこと。紀陽HDが同時に公表した中期経営計画によると、3百億円の公的資金が注入されると、連結自己資本比率は9.52%から11%台に上がり、自己資本の増強をてこに今後ベンチャー企業向け融資や経営不振企業の再生融資などに積極的に取り組み、周辺の大阪府や奈良県にも本格進出する一方、インターネット上に「仮想支店」を設けて預金の獲得や投資信託の販売を拡大するとのこと。紀陽HDは中期経営計画をベースに収益目標などを盛り込んだ経営強化計画を策定し、公的資金の申請と同時に金融庁に提出し、同庁は会計士など専門家を交えた第三者機関「金融機能強化審査会」で計画の内容を審査したうえで、注入を正式に決める見通しとか。ただ、公的資金の注入が経営拡大に直結するわけではなく、紀陽、和歌山の両行が地盤とする和歌山県は、景気回復が他地域に比べて遅れ気味で、貸し出しを伸ばすのは容易ではないと記事は評する。金融機能強化法は金融機関の経営体力を強化するため、公的資金を予防注入できる法律で、2004年8月の施行後、適用実績がないが、主に再編に取り組む地域金融機関を対象としており、西日本シティ銀行と資本提携する豊和銀行(大分市)も今後注入を求める方針で、地域金融機関の間で申請が相次ぐ可能性もあると記事は解説する。