中小企業の事業承継制度を強化する経産省
8月15日付け日本経済新聞朝刊5面に「贈与・相続一体課税、親の年齢制限撤廃、中小の事業承継円滑に、経産省、要望へ」の記事。
記事は、経産省・中小企業庁が19年度の税制改正で、中小企業の事業承継を円滑に進めるため、生前贈与の場合に税を軽減できる「相続時精算課税」で、事業承継に限って親の年齢制限の撤廃を要求する方針と報じる。また後継者を巡る企業の「お家騒動」を予防するため、経営にタッチしない議決権のない株式には相続税の評価を20%軽減し、議決権のある株式を後継者に集中できるようにするとも。贈与税と相続税の一体課税制度である「相続時精算課税」は、株式など資産の生前贈与を進めやすくする仕組みで、経産省は「65歳以上」という親の年齢制限を事業承継に限って撤廃し、50歳代や60歳代前半で引退する経営者が、事業を子供に計画的に継承しやすくする制度改正を打ち出すとのこと。同制度は高齢者の資産を若年層にシフトすることを目的に導入されたが、スムーズな事業承継の推進にも役立つとみて、年齢制限の撤廃を求めるもので、資産の贈与先である子供の年齢は、現行制度通り20歳以上に据え置くとか。また中小企業の事業承継で兄弟などが経営権を争う「お家騒動」を防ぐため、議決権のない株式の相続税の評価を、議決権のある普通株式に比べて20%軽減し、資本は継いでも経営を引き継がない子供の税負担を軽くし、経営をスムーズに継承できるように税制面から支援する仕組みを整えるとのこと。また、都市部より景気回復が遅い地域経済の活性化策として、農水産・工芸品など特産品を扱う新事業の設備投資を対象に、税額控除または特別償却制度を適用できる特例措置を要望する方針で、鋳造など地域を代表する技術も対象とするとか。税額控除の場合は設備投資額の7%を法人税から控除し、特別償却制度では、償却初年度に投資額の30%を通常の減価償却とは別に償却して、初年度の法人税負担を軽くする仕組みを提案するとも。中小企業庁は19年度の税制改正要望にこうした事業承継推進策と地域経済の活性化策を盛り込み、早ければ来春の制度導入を目指すと記事は伝える。17年度版の中小企業白書によると、年間約29万件に上る中小企業の廃業のうち、約4分の1は後継者難が理由で、中企庁は弁護士や税理士などが参加する「事業承継協議会」を設立し、財産分与や後継者教育などの手引きとなる「事業承継ガイドライン」を6月にまとめているとのこと。