朝日が国保の保険料長期滞納者への対応を批判的に報道 | 公会計の動向

朝日が国保の保険料長期滞納者への対応を批判的に報道

 朝日は7月4日に「国保滞納で保険証取り上げ、受診抑制の21人死亡」の記事。

 記事は、国民健康保険(国保)の保険料の長期滞納を理由に、正規の保険証を市町村に返還させられ、代わりに「被保険者資格証明書」を交付される加入者が急増しており、17年度は全国で約32万世帯に上り、12年度の3・3倍と報じる。滞納対策の一環だが、証明書で受診した場合、医療機関の窓口でいったん医療費を全額自己負担しなければならず、受診を手控えるケースが後を絶たず、朝日新聞社の取材では、12年以降に少なくとも21人が受診抑制の末、死亡していると伝える。昨年9月末に松江市内の病院に担ぎ込まれた建設業の男性(当時62)は腸が破れ、腹膜炎で腹が腫れ上がっていたが、緊急手術の同意を求める医師に「手術はあかん。保険証がない。高くなると払えん」 とし、手術後、医療ソーシャルワーカーに「督促状が何度も届いたが、払えんかった。払わんで保険証だけもらうわけにもいかん。自分が悪い。我慢しとった」 と話したとか。バブル崩壊後の不況で仕事が激減し、13年ごろから滞納額が膨らみ、資格証明書に切り替わったとのこと。自力で起き上がれないまま、1カ月後に多臓器不全で死亡したとか。千葉市内のトラック運転手の男性(当時60)は15年春に資格証明書に切り替わった頃から「頭が痛い」「めまいがする」と周囲に漏らしていたが、受診を勧められても「こんな保険証で病院に行けない」と、市販の痛み止めを飲んでいたとのこと。同年10月、市の無料検診で肺がんの脳への転移が分かったが、「手のつけようがない」と医師に告げられた2カ月後に亡くなったとか。自治体によっては、有効期限の短い短期証は、役所の窓口での交付が原則で、受け取りに行かないまま、無保険状態になる人もいるとのこと。今年1月、石川県加賀市の温泉街で働く仲居の女性(当時55)が救急搬送の翌朝、末期の子宮がんで死亡したが、5年以上前から保険料を滞納しており、短期証を取りに行かず、市販薬で我慢していたが、知人は「役所に行けば滞納分の支払いを催促されるので、行けなかったのだろう」と話しているとか。女性の死は県議会で取り上げられ、県は3月10日、窓口での短期証の留め置きが長期化しないよう、全市町村に改善を求めたとのこと。朝日新聞社が6月、全国約700カ所の病院などでつくる全日本民主医療機関連合会を通じ、病院関係者や遺族を取材した結果、本人が生前、資格証明書や短期証による受診抑制を明確に口にしていた例は21あり、資格証明書11人、短期証7人、どちらか不明3人で、不況の影響や交通事故の賠償金返済などで経済的に困窮した人が多く、独り暮らしは11人だったとか。資格証明書の交付は昭和62年から始まり、国民健康保険法の改正で12年度から市町村に交付が義務化されていて、厚生労働省国保課は「まじめに払っている人に不公平感を生じさせず、滞納抑止の効果がある」としているとのこと。開業医の6割が加入する全国保険医団体連合会(東京)が16年に17都府県で実施した調査では、資格証明書を持つ人の受診率は、一般の国保加入者と比べ1~4%にとどまっていたとか。


 記事は、支払い能力がある人に限っての制度であると紹介しているが、21例について支払い能力があったのか否かの検証は行っていない。