自治体が地方債を売り込んでいる | 公会計の動向

自治体が地方債を売り込んでいる

 2月28日付け日経金融新聞1面に「自治体、資金調達競う――交付税削減・起債原則自由化、共同債や借り入れ、効率を重視」〔大滝康弘、山田豊〕の記事。
 記事は、国から受け取る地方交付税が減り、歳入を増やせなければ必要な資金を自前で確保する必要から、地方自治体が市場での資金獲得競争に突入していると報じる。総務省が地方財政改革のため4月から起債を原則自由化する一方、債務負担の重い自治体を会社更生法と似た仕組みで再建させる「破綻法制」の検討に着手したことも背景にあるとか。自治体の実力差が浮かび上がるのか、投資家は国と地方の出方をうかがっていると記事は伝える。来年度の地方債発行額は13兆9千億円で、公共事業費の削減で前の年度より1割減り、金利上昇圧力につながる発行増は避けられたものの、問題はむしろ引き受け手の構成が変わる点で、国の財政融資資金が初めて、市場公募債の発行で調達する額を下回ることから、発行する自治体も監督する総務省も、市場の目を意識せざるを得ない状況になっている。起債の仕組みも大きく変わり、国の許可を受けて地方債を出す現行制度を変更し、自治体が国と事前に発行計画を協議すれば、国が認めない地方債(不同意債)でも自治体の判断で個別に発行できることになった。国と地方の税財政改革(三位一体改革)も、交付税の減額により、税収と地方債で歳入を賄う必要に迫られて、自治体が市場に頼らざるを得なくなる契機になっていると記事は説く。市場公募債の発行に昨年度、今年度と相次いで参入した熊本・鹿児島両県は、来年度から早くも27自治体が手掛ける共同発行に参加するとか。共同発行は調達額が大きくなり、単独よりコストが安いが、共同発行の自治体数が増えるのは15年度の制度発足後初めてとか。一部政令市も公募債を発行し始めたが、共同債には参加を見送っており、両県の積極性が際立つと記事は評する。宮城県は来年度、県内3市町と住民向けミニ公募債を共同で発行するが、これは、全国に3例しかない取組で、県は40億円の調達をめざすとか。
 同面の「自治体、資金調達競う――北海道、官から民への借り換え続々」〔函館〕は、北海道の自治体で、政府資金が引受先になっている地方債を民間金融機関に借り換える動きが相次いでいると伝える。広尾町が昨秋、全国で初めて実施したのに続き、今夏までに根室、小樽など4市が追随する見込みで、高金利の時期に発行した債券を繰り上げ償還し、当面の元利返済額を軽減する窮余の一策だが、総務省によると、同様の借り換えは全国でも他に2例しかなく、道内自治体の厳しい財政状況を浮き彫りにしていると記事は評する。根室市は3月に港湾整備事業債など30件(約45億円)の引受先を地元信用金庫に切り替えるが、これらの起債は3―4年に集中しており、金利は最高年6.7%。税収減で返済負担が増していて、借り換えで返済期限も5―10年延長され、来年度の公債費を28億円から約24億円に軽減するとか。財政難で16―17年度に赤字予算を組んだ小樽市は8月までに財源不足対策として約8億円を民間に切り替え、新年度の公債費負担を3億3千万円削減し、この結果、18年度予算は形式上収支が均衡し、3年連続赤字を回避したとか。留萌市も公営住宅や公園整備などで発行した地方債(計55億6千万円分)を対象に、2月―3月に銀行などから借り換え、返済期限を最長14年延ばす予定とか。市町村発行の地方債のうち政府資金による引き受け分はこれまで、繰り上げ償還・民間借り換えが事実上できなかったが、総務省が昨年、制度を見直して可能になったものの、政府資金を一括償還する場合、将来発生する利子の大半を補償金として支払う必要があり、財政悪化が加速する中で「一時しのぎの対策に過ぎない」(神原勝北海学園大教授)との指摘が出ていると記事は伝える。