政府資産・債務改革の方向
11月24日付け日本経済新聞朝刊3面に「政府資産圧縮骨抜きも――庁舎や未利用地の売却焦点、財務省、抵抗強く(官を開く)」の記事。
記事は、840兆円と巨額の政府資産を民間売却などを通じて整理しようという構想が、骨抜きになる恐れが出てきたと報じる。経済財政諮問会議が今月末に政府資産・債務改革の基本方針をまとめる考えだが、財務省の抵抗などを背景に「目標設定」が迷走し始めたとのこと。現在、整理の対象として挙げられているのは全体の4割強の金融資産だけで、国有地などを含む資産全体の見直しは「小さな政府」の大枠だが、看板倒れの懸念が強まっていると記事は伝える。日本の資産は15年度末で国が690兆円、地方などを合わせると840兆円(連結ベース)になり、主な内訳は国の庁舎など国有財産が67兆円、政府系金融機関分を含めた貸付金が3百兆円で、米国の政府資産の04年9月末150兆円と比べれば大きいとのこと。こうした状況を踏まえて、経済財政諮問会議が資産・債務改革を進めるべきだと提案し、9月の衆院選で与党が圧勝すると、竹中平蔵・前経済財政担当相が「政府の資産全体を国内総生産(GDP)比で半減」との目標設定を指示した経緯がある。国有財産を処理して売却益を国債の償還財源に充てるほか、将来の金利上昇による負債増大のリスクを減らす狙いがあるとのこと。ところが、内閣改造で風向きが一変し、今月14日の諮問会議で与謝野馨経財相のもとでの基本方針の素案として打ち出されたのは「金融資産残高を10年かけてGDP比で半減」というもので、国ベースの金融資産残高(375兆円)だけが対象とか。国の金融資産には政府系金融機関や日本郵政公社への貸付金や出資金が目立ち、例えば政策金融改革に伴い、民営化の方針が固まった日本政策投資銀行向けの貸付金だけで11兆円に上っており、融資残高90兆円の八つの政府系金融機関は今後3年で統廃合が進むし、144兆円を超す有価証券の売却なども可能で、金融資産だけが対象であれば「自然減だけで簡単に達成できる」(経済官庁幹部)との見方が強いとか。これを知った竹中氏は「控えめな提言で国民が納得できるか」と激高し、小泉純一郎首相も「国有財産の管理は役所がやっても駄目。民間に売れば売れる」とげきを飛ばしたとのこと。低めの目標に一転した裏には、庁舎の売却などを回避したい財務省の意向が働いたとの見方がもっぱらで、資産のうち不動産などの国有財産が対象から外れた理由は財務省の雇用問題と記事は評する。財務省は「庁舎を売れば新たに土地をリースする必要が生じてコスト増になる」と反論するが、竹中氏は「都内一等地の超高層マンションの隣に低層の公務員宿舎がある。本来は40階になるはずで、経済的に有効利用されていない」と押し返しているとか。民間に売れば、売却益と民の工夫による都市再生も期待でき、一等地での官舎保有は「機会損失」との主張。来週29日の諮問会議で資産・債務改革の基本方針が決まるが、焦点は資産のうち何を圧縮の「目標」にするかだと記事は説く。