外形標準課税逃れで資本金を1億円以下にする動き
11月16日付け日経産業新聞28面に「エクソンモービル、資本金500億円→1億円――やっぱり節税目的?」〔村上憲一、今田利彦〕の記事。
記事は、米メジャー(国際石油資本)エクソンモービルの全額出資日本法人、エクソンモービル(東京・港)が12月に資本金を現在の5百億円から1億円に減らすと報じる。同社は節税目的ではないと説明するが、専門家の間では外形標準課税の軽減策との見方が多いとか。利益を徹底追求するメジャー流とも言えるが、中小・中堅企業の間で同様の手法が広がる可能性もあると記事は解説する。エクソンモービルは12月22日付で資本金を499億円減資し、これと、資本準備金のうちの142億円を合わせた641億円を「その他資本剰余金」に振り替えて、同時に利益準備金53億円も当期未処分利益に振り替えるとのこと。未処分利益と資本剰余金はともに将来、株主への配当原資として使え、同社は今回の措置の狙いについて「資本構成を最適化でき、配当可能額が増える」と説明しているとか。ある会計士も「配当原資を増やして、米本社に環流させる狙いがあるのではないか」と指摘しているとも。ただ、今回の減資によりは、資本金が1億円以下になることで、16年度に導入された外形標準課税の適用対象から外れるという「効果」もあるとか。外形標準課税は赤字企業にも法人事業税を負担してもらうため導入されたもので、エクソンモービルが12月に減資すると2005年12月期決算から適用対象外になり、同社の04年12月期は合併の影響などで48億円の経常赤字だったが、仮に今期も赤字だとすれば、適用対象外になることで税負担は確実に軽くなることになる。節税額は不明だが、資本金にかかる税額分だけで1億円の節税になる計算で、同社も「結果的に税を含む管理コストを低減させる効果がある」と認めているとか。エクソンモービルは日本で「エッソ」「モービル」「ゼネラル」のブランド名でガソリンスタンドを展開しており、また、一部上場の東燃ゼネラル石油に50.02%出資する親会社でもあって、有限会社形態をとって役員を社長など少人数に絞り、監査役も置かないなどコスト削減を徹底しているが、同社の売上高は04年12月期で1兆7728億円もある。これほど規模の大きな会社による5百分の1の減資については、多くの会計専門家が「聞いたことがない」と口をそろえているとか。実は資本金を減額したり増資を踏みとどまったりして外形標準課税の適用から外れようとする動きは、同税の導入が決まった直後から資本金1億円前後の中小・中堅企業の間で出ており、これは、節税面だけではなく、外形標準課税が適用されると納税申告の事務手続きが煩雑になることも背景にあるとのこと。3月期決算会社が来年3月末までに資本金を1億円以下にすれば、今期は外形標準課税は適用されないということで、利益が出ている会社の場合はメリットが小さいが、赤字会社は税負担が軽減され、ある公認会計士は「株主数が少なく、社会からの注目度が比較的低い非上場の外資系企業やオーナー企業などから相談を受けている」と明かしているとか。