朝日は労働保険特会を調べて記事を書いているが…… | 公会計の動向

朝日は労働保険特会を調べて記事を書いているが……

 朝日は11月5日に「雇用・労災保険料から3800億円 厚労省外郭団体へ」を配信。

 記事は、企業や従業員が納める雇用保険などの保険料が主な財源となっている「労働保険特別会計」から15年度、厚生労働省の69の外郭団体に、補助金など計3800億円余りが支出されていたと報じる。17年度予算でも、62団体に計3600億円余が計上されており、このうち51団体の役員に、今年5月現在、延べ180人の同省出身者が就任しているとのこと。記事はこれを保険料から多額の資金が「天下り法人」に流れ込んでいた形と評する。団体の中には予算の無駄遣いが指摘されているところもあり、厚労省は見直しを進めていると記事は伝えるが、以降の記述には「予算の無駄遣いが指摘されている」団体のことは触れられていない。労働保険には、失業手当などをまかなう「雇用保険」と、職場などで事故にあった時の治療費などに充てる「労災保険」があり、同特会はそれぞれ「雇用勘定」と「労災勘定」に分かれていて、17年度予算で見ると、雇用勘定の収入は3兆2721億円となっていて、大半は企業や労働者からの保険料で、ほかに失業手当に充てるため一般会計からも4261億円が投じられており、失業手当などの保険給付への支出は2兆1782億円を見込んでいるとのこと。労災勘定では、保険料に一般会計13億円を加えた1兆527億円が入り、労災にあった人の治療費や年金支給などには9284億円を予定しているとか。各勘定での収支の差額の多くが外郭団体に流れ、保険給付と関係のない事業に使われると記事は評する〔保険給付に関係あるかどうかより、特会の目的に関係があるかどうかが大事なんだがなあ〕。決算額が確定している15年度の両勘定を調べたところ、厚労省所管の独立行政法人や公益法人など計69団体に、補助金など総額3807億2100万円が交付されており、うち16団体には両勘定から資金が交付されているとか。勘定別に見ると、雇用勘定からは44団体に計2697億6200万円が支出されていて、交付額が最も多かったのは、「雇用・能力開発機構」の約1519億円で、同勘定からの全交付額の6割近くを占めるとか。同機構は16年度、失業予防などが目的の「雇用保険3事業」の助成事業を31事業行っているが、利用実績を調べると、実績がゼロだった1事業など、予算に対して実際に使われた額が3%に満たないのが4事業あり、これらを含め、実績が予算額の半分以下の事業は13あって全体の4割を超えていると記事は伝える〔まさか、このことを予算の無駄遣いなどと思っているんじゃないだろうな〕。労災勘定では41団体に計1109億5900万円を支出しており、「労働福祉事業団」(現在は「労働者健康福祉機構」)の約572億円が最も多いとか。このうちの51団体の役員には、複数の団体で理事を兼務する者や、報酬を得ていない非常勤役員も含め、延べ180人の厚労省出身者が就任。同省OBの常勤役員が多い団体には、「高齢・障害者雇用支援機構」と「産業安全技術協会」の各5人、「福祉医療機構」の4人などがあると記事は伝える。こうした現状について、同省雇用保険課は「特別会計の予算執行などへの批判は厳粛に受け止め、事業の大幅な見直しを進めており、補助金なども絞り込んでいる。今後はさらに交付額、交付先の団体数ともに減るはずだ」としていると記事は伝える。