「架空予算」の報道は日経×で朝日が○
10月28日付け日本経済新聞朝刊5面に「今年度の予算執行、各省庁自主点検、94億円ムダ発覚――経産省がワースト」の記事。
記事は、財務省は27日、各省庁に今年度予算の執行状況を調べるよう求めたら、総額94億円のムダが発覚したと発表したと報じるが、話は執行されていない予算に関してのことであり「ムダ」という表現は当たらないはず。もちろん財務省も「ムダ」とは言っていないと思われる。記事は、各省庁は18年度予算の概算要求を見送ったり減額したものの、自主点検だけに氷山の一角と評するが根拠は不明。民間ではムダ追放の取り組みが根付いているが、消費税率の引き上げなど国民負担の増加が迫るなかで、市場規律が働かない政府部門のムダ追放が課題となっていると記事は伝える。この調査は、財務省が各省庁に今年度予算に計上されている一定額以上の事務費や事業費について、(1)過去3年間で1円も使われていない、(2)当初と異なる目的に使われている、(3)過去2年にわたり予算が50%未満しか使われていない、の3基準で洗い出しを要請したもので、その結果、全省庁合計で324件、94億5200万円のムダが見つかったとか。経済産業省では石炭火力発電を天然ガスに転換するための補助金が過去3年に1度も使われていないのに、今年度も24億円の予算が計上されているとか。財務省でも課税資料収集のための「家屋利用状況照会経費」が同様に6300万円計上されるなど合計10億円のムダが見つかったとも。基準を広げ、調査を徹底すれば予算のムダはさらに拡大するとみられると記事は伝える。背景には予算査定の問題もあり、細川興一財務次官は同日の記者会見で「個々の経費の内訳にも踏み込むのが予算査定の原点だが、徹底の仕方が足りなかった」と反省し、「査定は全体の額を厳しく抑制することに重心が置かれ、個別の無駄遣いには目が行き届かなかった」(幹部)と記事は伝える。記事は、事後チェックの機能も甘いとし、財務省による予算執行調査は散発的で、会計検査院の取り組みは法令違反が中心と評するが、これも誤り。予算執行調査は4月から6月まで集中的に行われるものであり、また、会計検査院の取組が法令違反中心だったことは設立以来ないはず。もともとは明治政府の財政窮迫と薩長独走に対処するために設置された機関。
☆財務省サイトの27日の次官会見
☆財務省の予算執行調査
☆会計検査院サイトの検査の観点 の説明
日経に比べると朝日の27日の配信「各省庁の「架空予算」、計324件に 財務省まとめ」は真っ当。「各省庁の予算が実際には使われていなかったり、使われ方が計上した項目と異なったりしている「架空予算」の問題」と正確に把握していて「ムダ」などという表現は採っていない。記事は、少額の架空計上がほかにもあると見られており、財務省は今年末までの査定で洗い出しを進め、結果を再公表する方針と伝えている。架空予算は8月に各省庁が主な事例を公表しており、財務省は今回の調査で、(1)3年連続で要求どおりに使われた実態がない、(2)2年連続で要求と異なる使われ方をしていた、(3)2年連続で使った金額が予算額の半分に満たなかった、の3基準で集計し直したとのこと。324件の予算額の単純合計は約139億円で、件数の多い順では外務省の76件、厚生労働省の56件、財務省の42件となっているとか。廃止・縮減額では経済産業省が約43億円と飛び抜けて多く、電源開発促進対策など特別会計がらみの事業が大半を占め、特別会計予算の査定の甘さも浮き彫りになったと記事は評する。