大阪市の調査委ががんばっている
9月22日付け日本経済新聞朝刊43面に「大阪市ヤミ年金「返還求めず」、議会答弁の室長更迭――筆頭助役も辞職へ」の記事。
記事は、大阪市の関淳一市長が21日の記者会見で「職員へのヤミ年金で支出した公費の一部返還を求めない旨の誤った答弁を市議会で行い、市政改革への信頼を揺るがせた」として、市長室長(51)を同日付で更迭したことを明らかにしたと報じる。土崎敏夫筆頭助役(67)から辞職の申し出があり、二十六日付で辞表を受理する考えも表明したとか。室長は、今春に発足した改革本部を統括する事務方のトップ職の経営企画監を兼務しており、1964年採用の土崎助役は“たたき上げ”の代表格とされていたとのこと。市政改革本部は今月末までに改革のマニフェスト案を公表する予定で、今後の改革に影響を与えそうだと記事は評する。室長は16日の市議会財政総務委員会で、ヤミ年金・退職金の財源に支出された総額328億円の公費のうち未返還の189億円について「地方自治法上の時効(五年間)が成立し、請求は不可能」と答弁したが、市監査委員で「時効成立」の判断が出ているものの、返還の適否を争う住民訴訟が大阪地裁で継続中とのこと。記者会見で関市長は「裁判所の判断を待っているのに、あたかも市の見解であるかのように答弁した」と説明し、事前に答弁内容を伝えられていなかったことなども挙げ、「このようなことが積み重なると、改革への市民の信頼が揺らぐ」として、更迭に踏み切ったとか。市議会事務局と協議し、答弁内容を修正すると記事は伝える。室長も土崎助役も今回の進退について「ノーコメント」としているとか。
9月23日付け日本経済新聞大阪朝刊16面の「辻委員長、「骨抜き、庁内で企てが…」――前回報告書への対応批判(大阪市を問う)」は、大阪市のカラ残業やヤミ年金問題で、互助連合会給付金等調査委員会(委員長・辻公雄弁護士)が22日、カラ残業問題で市が被った損害約2億9百万円を磯村隆文前市長に賠償請求すべきだとする2次報告書を関淳一市長に提出したこと、ヤミ年金問題では、公金支出を決定した総務局長らも互助組織、労働組合と共同責任があるとして、未返還分の181億円の賠償請求をするよう市に求めていることを伝え、辻公雄委員長が記者会見で、8月末に提出した1次報告書に対する市の対応について「報告書を恭しく受け取りながら、ごみ箱に投げ捨てようとする勢力が庁内に厳然として存在する」と批判したと報じる。調査委メンバーが怒りの矛先を向けたのは、前市長室長や総務局で、今回の報告書ではヤミ年金返還に関する前市長室長の議会答弁の経緯や、35億円の年金資産の扱いについて、総務局と労組側が内密に協議していたとし、「改革を根本的に骨抜きにしようとする企て」と述べたとのこと。辻委員長によると、調査委は今回の報告で調査を終える予定だったが、一連の市の対応に危惧を覚え、調査の延長を決めたとか。 調査委は10年、ヤミ手当を巡る住民訴訟が大阪高裁で和解した際、「今後、不透明な給与、手当の支給が行われないよう地方自治法、地方公務員法を順守する」と磯村前市長が誓約した点を重視し、カラ残業問題で適切な措置をとらなかった前市長には市に損害を与えた賠償責任があると指摘して、11―15年度のカラ残業手当の総額を推定し、職員の返済分を除いて計2億9百万円と算定したとか。関市長が磯村前市長に2期目の退職金約4600万円を返還するよう求めた対応について「不十分。前市長に対し、市は特に厳しい立場で臨むべきだ」と述べたと記事は伝える。ヤミ年金問題では、市職員互助組合連合会(互助連)を構成する4互助組合や、市労働組合連合会および7単組に加え、5年度以降に各管轄の互助組合に公金支出を決定した歴代の総務局長、交通局長、水道局長、教育長に共同不法行為の責任を指摘し、市に賠償請求するよう求めたとのこと。互助連が保有する年金資産約35億円を、労組側が「すべて職員の掛け金」と主張している点は「主張に根拠はなく、賠償義務に基づき市に返還すべきだ」としたとか。21日に更迭された前市長室長が市議会で「ヤミ年金の一部について時効が成立していると判断している」と、調査委の1次報告書と相反する答弁をした経緯にも触れ、「報告書を無価値化し、法的責任の明確化と追及を頓挫させる目的でなされた」と主張し、「市労連に対する配慮が要因とみられ、不正常な労使関係が改善されていない」と厳しく批判したとの由。報告書を受け取った関市長は「前回の報告に続き、真摯(しんし)に受け止める」と話したとか。