政府系金融機関が貸倒引当の厳格化で赤字に | 公会計の動向

政府系金融機関が貸倒引当の厳格化で赤字に

 8月13日付け日本経済新聞朝刊1面に「政府系金融が赤字転落、不良債権処理を厳格化、前期1470億円」の記事。

 記事は、日本政策投資銀行など政府系9金融機関の16年度決算が出そろい、金融庁が不良債権処理の厳格化を促した結果、最終損益が前年度の5594億円の黒字から1470億円の赤字に転落したと報じる。政府系金融機関には民間では融資しにくい分野に資金を供給する役割があるものの、国民生活金融公庫は5期連続の債務超過で、業績悪化に歯止めがかからなければ、将来の国民負担につながる恐れもあると記事は評する。政府系金融機関の16年度の業績が大幅に悪化した要因は、融資の焦げ付きに備えて従来より厳格に貸倒引当金を積み増したり、回収不能に陥った債権が増えたためで、9機関のうち国民公庫、中小企業金融公庫、住宅金融公庫が赤字になったとのこと。赤字幅が大きい中小公庫は1990年代後半以降、民間金融機関による「貸し渋り」批判が生じた際に、中小企業に積極的に融資しており、その一部が焦げ付いたもようで、16年度決算では不良債権を厳しく見積もったほか、特殊法人の旧中小企業総合事業団から16年7月に、赤字事業である信用保証協会向け保険業務を引き継いだ影響も出たと記事は伝える。中小企業向け融資を主な業務とする国民公庫も債務超過から脱却できなかったとのこと。住宅公庫は個人向け住宅ローン債権の貸倒引当金を大幅に積み増して初の債務超過に陥ったもので、住宅ローンの焦げ付きは最終的に最大9千億円程度に達する見通しとのこと。政府系金融機関は原則として民間企業と同様の会計手法を適用しており、15年からは回収可能性を自主的に判定する自己査定や焦げ付きに備えた貸倒引当金の水準が適切かどうかを、金融庁が検査しているとのこと。中小公庫が貸倒引当金に繰り入れた額はその前の年度の2倍強の1448億円、住宅公庫は同19倍の4431億円に膨らんだとか。9機関合計の不良債権残高は8兆円で、中小公庫や沖縄振興開発金融公庫の不良債権比率は10.5―14%に達したとか。公営企業金融公庫は貸出先を地方自治体に限定しており、不良債権はゼロとしているが、自治体の運営する水道やバス事業の一部はすでに赤字に陥っており、政府系金融機関の不良債権が今後膨らむ懸念は払拭(ふっしょく)できないと記事は評しているが、まあ、公営公庫は融資機関というよりは地方自治体の共同起債機関的な側面が強いので、さすがにちょっと煽り過ぎと思われる。政府系金融機関は融資の原資の大半を郵便貯金や国債(財投債)を資金源とする財政投融資からの借り入れで調達しており、その合計額は113兆円に達しており、民間金融機関のように資金調達などを通した外部からのチェック機能は働きにくく、財務状況の悪化が続けば郵貯の資産悪化につながり、将来的に国民負担を招く危険性もあると記事は伝える。