基本、くだらないことを真剣に考えているみえリハビリテーション研究会の番條です。
先週の口に続き、今週も口腔機能の一つである、咀嚼機能について少し話したいと思います。
咀嚼(そしゃく)=噛むこと
咀嚼筋は咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類の筋から構成されています。
開口するときは、外側翼突筋、舌骨上筋群
閉口するときは、咬筋、側頭筋、内側翼突筋
の筋活動が起こります。
みなさんは食事の時にどのくらい噛むことを意識していますか?
噛む行為が身体にどのような影響を及ぼすか、最近では色んなことが言われるようになりました。
最近は、食べ物も軟食化してきており、強く噛むということ自体が減ってきています。
それが、幼少期から続いているとしたら、以前に比べて人の持つ噛む能力が落ちている可能性は大いにあります。
そこからくるマイナス要因として、肥満、脳内循環量の低下、記憶・学習能力の低下、顎骨形態の異常など様々な影響が及ぼすことが報告されています。
時間をかけて噛むことで脳の働きが活発になり、神経ヒスタミンが分泌されます。
神経ヒスタミンは満腹中枢や交感神経を刺激し、脂肪細胞からレプチンを分泌します。
レプチンは食欲を抑える効果があるので良く噛むということは肥満防止にもつながります。
最近では、小学生において視力と口唇閉鎖能力にも関係があると言われており、また、発育過程において粉末物を与え続けると海馬領域の神経新生が減少する報告もあります。
海馬は記憶を司る部分ですね。
このように脳機能においても咀嚼機能は重要であることが言われています。
小学生の時点でここまで咀嚼の重要性について言われています。若い時から噛む機会を設けていないと、それは大人になってからはもっと深刻な問題となるはずです。
実際に、加齢に伴い、口から食べることが難しくなってきている方や義歯の方では、当然ながら咀嚼回数の減少を招き、脳への刺激が少なくなることで認知症や脳機能の増悪を助長する要因にもなります。
義歯による咀嚼能率(ものを噛む能力)は、天然歯の約3割程度と言われています。
このことからも、高齢者で総義歯の方は、咀嚼における脳へ刺激が天然歯の方よりも少なくなることが予想されます。
厚生省と日本歯科医師会は1989年から8020運動を推進しています。
「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」と言うものです。
これは生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように、という願いを込められているようです。
<参考>厚生省「成人歯科保健対策検討会中間報告」1989年(平成元年)―抜粋―
「残存歯数が約20本あれば食品の咀嚼が容易であるとされており、例えば日本人の平均寿命である80歳で20本の歯を残すという、いわゆる8020運動を目標の1つとして設定するのが適切ではないかと考えられる。」
素晴らしい活動だと思います。
ぜひ自分も普段から噛むことを意識して強い歯を増やしていきたいです。
また、噛む動作だけでなく噛み合わせも注目されています。
噛み合わせの不調は全身に影響を及ぼします。
噛み合わせにズレが生じることで肩こり、腰痛、また、集中力が続かないといったメンタルへの影響も大きいと言われています。
では、左右差なく噛み合わせが良いとどうでしょう。
脳は活性化し、自立神経や内分泌が安定し、ホルモン分泌もスムーズになります。
また、精神状態も安定し、免疫系も機能します。
というのも、下顎のずれを修正するだけで前頭眼窩皮質の血流が増加することがわかってきました。
その部分は、ホルモン分泌などに関わる視床下部や脳下垂体に関わっています。
つまり、噛みあわせを改善することが免疫系やうつ、認知症の改善といったことにも影響を及ぼすことができます。
最近では、噛み合わせを改善するとインスリンの分泌が促され、血糖値の高まりを正常に戻すことから生活習慣病の予防、また食欲の抑制やエネルギー代謝の促進により体重増加を抑える効果も言われています。
噛む力と噛みあわせの時の左右のバランスを見るだけでも全身の状態がさらに向上できるかどうかが判断できるということですね。
現時点でのその人が持つ隠された能力を引き出してあげましょう。
下顎の位置がずれていると頭の傾きに影響し、そこから頸椎、胸椎、腰椎の位置異常が起こり、姿勢異常が起こり、身体全体のバランスを崩す恐れもあるということです。
まずは、自分の噛みあわせのチェックから行ってみましょう。
チェックとして自分の正面写真を撮り、両目を結ぶラインと口角を結ぶラインを引いて平行かどうかを見てください。
左に噛み癖のある人は、左の口角が上がっている可能性があります。右なら逆ですね。
噛み癖を知ることも色んな気づきが得れそうです。
ぜひ試してみてください。
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