皆さまおはようございます☀️
PS-Customizeの渡邊です。
先日修理したリファービッシュ基板搭載のCECHA00ですが、戻り先でトラブルが発生し、結局基板交換をすることになりました。
リファービッシュ基板ゆえ、基板交換をすると90nm RSX搭載のものに戻ってしまうので、できる限り避けたかったのですが...
不具合が出ているようではダメですからね...
お客さまにはご迷惑をおかけしました。
ということで、切り替えて前に進みましょう!
交換する基板は90nm RSX搭載品ですが、できる限りの対策をしようと思います!
まずはSysconのファンコンを書き換えます。
👆はCECHA00のデフォルトの設定値になります。
(ロット等によって若干異なるようです。)
RSX側はかなり高めに設定されており、ファンの回転数が20%→25%上がるためには、83°C以上になる必要があります。
恒例の余談タイム👇
殆どの90nm RSXに使用されている低Tgアンダーフィル(膨張や反りの影響を受けないよう、パッケージとダイを固定する素材)は約70°Cで柔らかくなるとされています。
また、ソルダーバンプ(パッケージとダイの間の微細なはんだボール)は"高鉛はんだ"が使用されているようです。
これらの素材では、CTE(熱膨張係数)が異なるため、局所的な応力集中や偏りが発生する恐れがあるうえ、アンダーフィルのTgを超えた冷熱サイクルを繰り返すと、ソルダーバンプにクラックが入るなどして、3034 YLODを引き起こすと考えられています。
この一連の問題はバンプゲートと言われ、2006〜2008年に製造されたGPUにおけるNVIDIAの技術的な設計ミスが原因です。
GeForce 6000系〜一部の9000系のGPUや一部のnForceチップセット等が影響を受けているとされています。
RSXは、GeForce 7800 GTXのカスタム品であるため、同様にこの問題の影響を受けていると考えられました。
閑話休題...
ということで、90nm RSXを長持ちさせるためには、温度を70°C以下に保つことが重要であると思われます。
CELL、RSX、SBの全てのファンコンの値を書き換えました。
具体的な値は秘密(笑)ですが、最低回転を20%→25%に変更し、ファンの音がギリギリ不快に感じない(主観)レベルで、最高負荷時でもCELLが〜69°C、RSXが〜64°Cくらいをキープするように調整しました。
RSXは69°Cで警告画面を表示し、70°Cで強制シャットダウンするように変更しました。
CELLは問題ないため、警告画面を表示する温度とシャットダウンする温度は変更していません。
変更後...
殻割りはしていないですが、XMBでアイドリング時はこのくらいの温度です👇
十分冷えていますね!❄️
ついでにRSXの情報を確認してみました。
このRSXは、Foundaryが1でVIDbinが2なので...
東芝 大分工場製で拡張仕様グレード品のようです。
まさかの拡張仕様グレード笑
マジですか!
拡張仕様グレードは、いわゆる"当たり石"で、発熱量が少ないなどの特徴があります。(コンシューマーグレードよりは優れていると思われますが、このRSXがどのような理由で"拡張仕様グレード"と分類されているのかはわかりません。)
このグレードは、主にエンジニアリングサンプルや評価用の機体に搭載することを想定していたと思われます。
コンシューマーグレードと拡張仕様グレードの違いは、昨今のGPUのグレードに例えるとRTX3080Tiと3090のようなものです。これらは共に同じコアを使用していますが、このコアの中でも"当たり石"(≒オーバークロック耐性がある、あまり発熱しない等)は3090となります。
Foundaryは、
1...東芝 大分工場
2...Sony 長崎工場
3...Fujitsu
4...TSMC
*TSMCで製造されたことはないという情報もあります。3,4は現在のところ見たことがないため存在するかは不明です。
VIDbinは、
2...拡張仕様グレード
3...コンシューマーグレード(殆どはこちら)
*VIDbinの種別は90nm RSXのみ存在します。
とりあえずここまで!
ご覧くださいまして、ありがとうございました✨
2025.4.13 作成
2025.5.27 修正