最近、「8002F1F9でアップデートエラーループが発生し使用できなくなった。」というお問い合わせを多くいただきますが、今回はその原因と修理方法の一例の紹介になります。

まずはじめに、考えられる主な原因は、
①Wi-Fi/Bluetoothモジュール(以下、無線モジュールと呼称)に電源を供給する部品が故障
②無線モジュール自体が故障

となります。

原因がいずれの場合でも、アップデートループに陥る前は、Wi-Fi接続やBluetooth機器との通信ができず、コントローラーによる無線経由での電源ONが出来なくなっていたはずです。

 

今回紹介する修理方法は、最も簡単な代替品(AMS-1117-1.8V)の実装です。
はんだごてとリード線、はんだの三点セットで実装できます。

なお、3.3V系の回路に問題があったり、モジュール自体が故障している場合は、この方法では修理できません。


※この方法で修理した機体においては、今のところ不具合は見受けられませんが、代替品の実装による悪影響や何らかの致命的な欠陥等がないとは言い切れません。この修理を行うことによるリスクが心配な場合は、ヒートガンやリワークステーション等の道具や機器、専用の修理パーツを用意して修理してください。

よく故障するレギュレーターは、RT8057GQWデータシート)というもので、品質はあまりよくないようです。

 

8002F1F9エラーは、YLODのように突然発症することはなく、部品に何らかの異常がある状態でアップデートをしたときのみ起こります。(別の部品に不具合がある場合は、異なるエラー番号が表示されることがあります。)

アップデートをする前に異常(無線LANに接続できない、コントローラーが無線で使えない等)に気づいた場合は、速やかにバックアップを取りましょう。

代替品の実装方法については写真の通りですが、作業をする前に原因が当該レギュレーターなのかを確認してください。

本体が通電&スタンバイの状態とし、テスターで写真の1.8Vを示している箇所を計測してください。
出力が1.8~2.4V前後であれば正常です。0Vになっていれば代替品の実装で直る可能性が高いです。0Vを超える場合は、レギュレーターまたはその他部品の交換が必要です。

また、2.4Vを超える(3V前後)場合は、モジュールを損傷している恐れがありますので、レギュレーターとモジュールの両方を交換する必要があります。

写真は、CECH-4000Bにて三端子レギュレーター(AMS1117-1.8V)を実装した様子です。

実装後、本体を起動してアップデートを進めたところ、エラーが表示されることなく正常に終了し、起動できるようになりました。

原因と思われるRT8057GQWは、修理前の出力が0Vの場合は取り外さずに実装したままとしてください。
なお、0Vを超える電圧である場合は、この方法では修理できません。まずはレギュレーター自体を交換して出力電圧が正常になるかを確かめてください。

当店では、新品のRT8057GQWへの交換により修理を行っております。
同じような症状でお困りのかたは是非お問い合わせください。

※新品の無線モジュールの仕入れが困難なため、無線モジュールの交換による修理は行っておりませんでしたが、これについても仕入れの目途が立ち次第、対応いたします。

 

 

※ホームページに掲載した記事の移植です。

2024.3.30 作成

2025.3.12 修正